文献詳細
文献概要
連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・1
前回帝切後に経腟分娩(VBAC)し,癒着胎盤のために子宮内反症をきたしショック状態になった1例
著者: 深石孝夫1 松井啓人1 鏡一成1 清水和子1 高木剛2 田村友宏2
所属機関: 1桐生厚生総合病院産婦人科 2群馬大学医学部附属病院産婦人科
ページ範囲:P.893 - P.897
文献購入ページに移動患 者 : 30歳代後半
既往歴 : 2年前に腎盂腎炎
妊娠歴 : 1経産(帝王切開)
経 過 : 今回の妊娠経過中,特に異常を認めなかった.妊娠40週2日,陣発にて入院した.GBS陽性のためPIPC点滴,前回帝切のためヴィーンFにて血管確保し経過を観察した.その後,無事,経腟分娩となり,3,140 gの女児を娩出した.アプガースコアは9─10─10であった.児を娩出後,胎盤が娩出しなかったので,10~20分経過後に臍帯牽引,Crede圧出法,Brant─Andrews法など各種の胎盤娩出法を施行したが娩出できなかった.その後,突然,疼痛を訴えショック症状となった.血管確保をもう1本追加し,カコージンなど昇圧薬を使用しショックの治療を行った.
初診時の所見
状況として子宮内反症を疑ったが,超音波断層法,内診にて子宮内反症の所見はとれなかった.しかし状況は子宮内反症を疑い,ショック対策を施行し手術を決定した.このとき疼痛が強かったので胎盤を環納し,内反症の整復はできなかった.
参考文献
掲載誌情報