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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻6号

2005年06月発行

連載 もうひとつの国境なき医師団・11

骨盤腹膜炎から覗いた救急医療

著者: 東梅久子

ページ範囲:P.916 - P.917

文献概要

リハビリテーションセンターでの腹痛

 ある日,性産業従事者を対象としたリハビリテーションセンター内の移動診療所に,腹痛を訴える27歳の女性が訪れた.診察すると,左付属器に鵞卵大の有痛性の腫瘤を触知する.左卵巣嚢腫の診断で,専門医の受診を必要とする手紙を,施設長に宛てて書いた.腹痛を理由に逃亡することを恐れる施設の職員は,性産業従事者の訴えを聞き入れないことが多い.

 翌日,施設に電話をすると,彼女はいなかった.夜に腹痛が強くなり,職員が病院につれて行った.診察した医師は手術をすすめたものの,彼女が拒否したので帰宅させたという.施設は彼女に手を余し,責任逃れのために,退所させたとしか思えないような対応ぶりだった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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