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今月の臨床 月経前症候群と月経痛─どう対応するか 月経前症候群
月経前症候群への対応―月経前症候群の漢方療法
著者: 田中哲二1
所属機関: 1和歌山県立医科大学産科婦人科学教室
ページ範囲:P.980 - P.985
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月経前緊張症ないし月経前症候群(以後,本論文では月経前症候群と総称する)とは,月経前に数日間持続する精神的身体的症状で,月経発来とともに軽減するあるいは消失するものである.月経周期に連動して周期的に月経前の一時期のみ不定愁訴が出現することから,診断は比較的容易である.時に月経困難症を伴っていると,詳細な問診をとらないとその周期的な症状出現が不明瞭なこともある.症状はきわめて多様であり,原因は不明であり,病態生理も解明されていないことから,西洋医学的には対症療法が中心的治療法となる.重症症例は精神障害患者が急性発症しているかのごとく,興奮や不安が自制困難な状態を呈することもあり1),不定愁訴症候群の診療経験の少ない産婦人科医師の場合は患者の問診を十分にとらずに精神疾患と即断して,安易に精神科に紹介して向精神薬療法漬けにしてしまうこともありうる.これは更年期障害の急性発作にも類似しており,漢方薬や内分泌療法で完治できる可能性を産婦人科医師自身が患者から奪うことになる.ただし,重症精神症状を訴える患者の場合は向精神薬の使用はやむをえないことも現実である.
漢方医学に習熟した臨床家は,すでに各医師が独自のスタイルで漢方療法を行っており,月経前症候群に対しても随証療法に基づくテーラーメイド療法を行っていると推察される.本論文では,このような熟練の漢方医家を対象とした総説ではなく,月経前症候群に対する漢方薬の使用経験の少ない医師や,「証」や漢方薬についてほとんど知識のない産婦人科医師を対象に,すぐにも臨床応用できる漢方療法として,筆者が簡便化した治療法選択例を紹介したいと考えている.100%ということはあり得ないが,有効率の高い無難な治療法と理解していただきたい.本論文で紹介する治療法選択例を最初として,漢方に興味を持ったならば,一見難しそうに思わせている随証療法というものも自然に理解できるようになり,いわゆる熟練の漢方医家の一員に加わることは容易であろう.
月経前緊張症ないし月経前症候群(以後,本論文では月経前症候群と総称する)とは,月経前に数日間持続する精神的身体的症状で,月経発来とともに軽減するあるいは消失するものである.月経周期に連動して周期的に月経前の一時期のみ不定愁訴が出現することから,診断は比較的容易である.時に月経困難症を伴っていると,詳細な問診をとらないとその周期的な症状出現が不明瞭なこともある.症状はきわめて多様であり,原因は不明であり,病態生理も解明されていないことから,西洋医学的には対症療法が中心的治療法となる.重症症例は精神障害患者が急性発症しているかのごとく,興奮や不安が自制困難な状態を呈することもあり1),不定愁訴症候群の診療経験の少ない産婦人科医師の場合は患者の問診を十分にとらずに精神疾患と即断して,安易に精神科に紹介して向精神薬療法漬けにしてしまうこともありうる.これは更年期障害の急性発作にも類似しており,漢方薬や内分泌療法で完治できる可能性を産婦人科医師自身が患者から奪うことになる.ただし,重症精神症状を訴える患者の場合は向精神薬の使用はやむをえないことも現実である.
漢方医学に習熟した臨床家は,すでに各医師が独自のスタイルで漢方療法を行っており,月経前症候群に対しても随証療法に基づくテーラーメイド療法を行っていると推察される.本論文では,このような熟練の漢方医家を対象とした総説ではなく,月経前症候群に対する漢方薬の使用経験の少ない医師や,「証」や漢方薬についてほとんど知識のない産婦人科医師を対象に,すぐにも臨床応用できる漢方療法として,筆者が簡便化した治療法選択例を紹介したいと考えている.100%ということはあり得ないが,有効率の高い無難な治療法と理解していただきたい.本論文で紹介する治療法選択例を最初として,漢方に興味を持ったならば,一見難しそうに思わせている随証療法というものも自然に理解できるようになり,いわゆる熟練の漢方医家の一員に加わることは容易であろう.
参考文献
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