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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻7号

2005年07月発行

文献概要

今月の臨床 月経前症候群と月経痛─どう対応するか 月経痛

機能性月経痛への対処法―漢方療法

著者: 後山尚久1

所属機関: 1大阪医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1005 - P.1008

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はじめに

 漢方医学の症候論において,「月経痛」や「月経困難症」は一般的には独立した症状としては扱われない.通常,疼痛性症状として漢方治療の対象となるのは,「頭痛,肩の痛み,腹痛,腰痛,神経痛」などである.これらの治療薬としての漢方方剤の選択は,もちろん随証によるが,乱暴な見方をすると「駆お血生薬」を含む方剤がそれぞれの痛みの除去に用いられている.また,「利水生薬」も高い頻度で用いられている.ほかには「芍薬」,「桂枝」などが含まれることが多い.痛みの基本病態には,おおまかにいえば「お血」と「水毒」が関与しているといえるが,もちろん個々の症例によってさまざまであり,漢方医療の基盤としての個別的な対応が必要である.

 月経痛は,漢方医学の理論からみれば月経困難症の1つの症状であり,基本的には,月経困難症を治療するなかで月経痛も解消させるという方向性としての漢方療法となる.

 本稿では,月経痛に対して,漢方治療がどこまで有効なのか,その臨床応用は実際的なのか,ほかの治療法に比べてpriorityは高いのか,あるいは実際のレジメにはどのようなものがあるのかについて触れてみたい.

参考文献

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2) 後山尚久 : 月経困難性,月経前症候群の漢方治療.産婦治療82 : 97─102, 2001
3) 牧田和也,小見由里子,松浦菜穂子,他 : 機能性月経困難症に対する芍薬甘草湯の鎮痛効果とその効果判定時期の検討.産婦人科漢方研究のあゆみ19 : 54─58, 2002
4) 竹原幹雄,坪倉省吾,後山尚久,他 : 月経困難症に対する漢方薬の選択.漢方医学23 : 86─90, 1999
5) 太田博孝,田中俊誠 : 月経困難症に対する桂枝茯苓丸の奏効機序.産婦人科漢方研究のあゆみ18 : 112─115, 2001
6) 中島聡子,田中哲二,王 春蓮,他 :難治性月経困難症に対する芍薬甘草湯と当帰芍薬散の周期的交互投与療法.産婦人科漢方研究のあゆみ18 : 116─119, 2001
7) 筒井末春,中野弘一 : 森田療法,新心身医学入門.pp185─186,南山堂,東京,1996
8) 後山尚久 : 成熟期,熟年期女性の身体とこころ.Medicina 38 : 2004─2008, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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