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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻8号

2005年08月発行

連載 TOPICS

ガイドラインをふまえた性感染症に対する抗菌薬治療の実際

著者: 松田静治1

所属機関: 1(財)性の健康医学財団

ページ範囲:P.1143 - P.1145

文献概要

若者に増える最近の性感染症の特徴

 近年,若年者の間で性感染症(STD,STI)が急速に増えてきている.1999年の感染症新法の制定に伴い,従来の性病予防法で規定された性病という名称はなくなり,クラミジア,トラコマチス感染やHIVをはじめ,ウイルス感染を加え,現在STDには10種類以上の疾患がある.厚生労働省の感染症発生動向調査では大都市を中心にSTDは増加し,罹患年齢も10代後半~20代の間で増加がみられている.また臨床病態が比較的軽微で目立った自覚症状がなく,周囲に感染が拡がるばかりでなく,STDは性器に限局するものとする従来の概念が大きく変わり,性交以外の性行為による感染も増えていることに注意しなければならない.

 クラミジアや淋菌ではオーラルセックス(経口感染)により口腔(咽頭炎)への感染も拡がってきている.この背景には性に関する意識や性行動の変化が挙げられよう.なかでも問題は,性行動の活発な若者や未婚女性におけるSTDの増加で,セックスパートナーが多いほど,人工妊娠中絶の既往を有するものほど,感染頻度の高い傾向がみられる.治療で問題なのが耐性淋菌感染症(ニューキノロン系薬,β─ラクタム系薬耐性など)の増加で,有効薬剤が限られていることである.

参考文献

1) 松田静治 : 最近の性感染症の動向について.日本医師会雑誌 131 : 1545─1550, 2004
2) 日本性感染症学会(編) : 性感染症診断・治療ガイドライン.日本性感染症学会誌 15 : 5─59, 2004
3) 松田静治 : 抗菌薬使用の手引き─産婦人科領域感染症(日本化学療法学会,日本感染症学会編).pp127─135, 2001(ガイドラインと改編し,本年中に刊行予定)
4) CDC : STD Treatment Guideline. MMWR 51 : 32─51, 2002
5) 松田静治 : 性感染症─細菌の動向ならびに性器クラミジア感染症,淋菌感染症を中心とした診断と治療.東京都医師会雑誌57 : 396─404, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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