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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻8号

2005年08月発行

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・3

子宮内膜細胞診で陰性と判定された子宮体癌の2例

著者: 井上卓也1 上田博久1 高尾由美1 武内英二2 小野一雄2

所属機関: 1滋賀県立成人病センター婦人科 2同 病理部

ページ範囲:P.1162 - P.1165

文献概要

症例①

 患 者 : 68歳

 主 訴 : 不正性器出血

 既往歴 : 特記すべきことなし.

 現病歴 : 2003年3月,不正性器出血を自覚したため近医を受診した.近医にて子宮内膜細胞診が施行されたが結果は陰性であった.4月に再び不正性器出血を自覚したため近医を再受診し子宮内膜細胞診が再検されたが,陰性であったため経過観察を指示された.しかし,その後も不正性器出血が持続するため5月に当科外来を受診した.

 初診後の経過 : 内診時に少量の性器出血を認め,経腟超音波で腫瘤状の異常陰影を認めた.子宮内膜細胞診を行ったが,前医と同様,陰性の結果であったが,MRI検査でもやはり子宮内に異常陰影を認めたため,子宮体癌を疑い子宮鏡検査を施行した.子宮鏡では内腔へ突出する腫瘤状の部分を認め悪性疾患を疑った.しかし,子宮鏡検査の際に行った子宮内膜全面掻爬では少量の子宮内膜組織しか採取できず,病理組織診断もmetaplastic changeで悪性の確定診断はできなかった.

参考文献

1) 日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告 2000年度子宮体癌患者年報.日産婦誌56 : 19─34,2004
2) 日本産科婦人科学会,日本病理学会,日本医学放射線学会(編) : 子宮体癌取扱い規約(改訂第2版).p18,金原出版,1996
3) 鈴木光明,大和田倫孝,佐藤尚人,他 : 子宮体癌検診の実態,問題点と解決策.産と婦45 : 1173─1178,2002
4) 渡辺明彦,落合和彦 : 子宮内膜細胞診の採取器具の特徴と選択法.産婦人科の実際51 : 899─919,2002
5) Osmers R, Volksen M, Schauer A : Vaginosonography for early detection of endometrial carcinoma?Lancet 335 : 1569─1571, 1990
6) Karlsson B, Granberg S, Wikland, et al : Transvaginal ultrasonography of the endometrium in woman with postmenopausal bleeding ; a Nordic multicenter study. Am J Obstet Gynecol 172 : 1488─1494, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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