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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻1号

1952年01月発行

文献概要

速報・豫報

腟トリコモーナスの細菌を件わない培養

著者: 淺見敬三1

所属機関: 1慶應義熟大學醫學部寄生虫學教室

ページ範囲:P.36 - P.37

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 腟トリコモーナス(Trichomonas vaginalisDon-né1836)を試験管内で培養したという記録ぼ古くからある。1922年にLynchが口腔,腟,尿,の3ヵ所から得たトリコモーナスを,人血清を稀釋した培地を用いて培養に成功したのが最初の様で,それ以後多數の研究者が各種の,腟トリコモーナス用の増地を發表している。本原虫の培養も腸管寄生原虫類例えば赤痢アメーバ等と同様に,培養に際して同時に存在する細菌群の培地えの移行を避ける事が至難であり,又一面此の様な細菌が培地内に共棲しなくては原虫も増殖し得ないという事實がある。即ち原虫の培養とは云つても嚴密には原虫と細菌との混合培養なのであり,此の爲に非常な不便を伴つていた。1例をとると,腟トリコモーナスの病原性を確めんとする人體接種試験は過去にも數多く行われているのであるが,原虫と共に多少の差はあれ必す細菌が同時に腟内に移入接種される爲に,トリコモーナスのみの純粋の病原性を云々する事は不可能となる。又治療藥の試験管内試験においても,その藥剤が原虫に一次的に作用して效果があるのか,或は共棲菌に先づ作用し二次的に本原虫の生活環境を惡化せしめて殺滅するのかという根本的な問題に遭遇して了う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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