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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻13号

1952年12月発行

雑誌目次

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臨牀嬬人科産科 第6卷  總索引

ページ範囲:P.1 - P.8

科別索引
産嬬人科

原著

新産兒のエルモノグラムに就いて

著者: 武藤友美

ページ範囲:P.699 - P.704

1 まえがき
 新産兒に於ける血液像の變化は,周知の如くSchilling6)の所謂分娩血液像から比較的安定した乳兒血液像への移行期であつて,其の變動は赤血球系,白血球系共に顯著であるが,從來の樣な總白血球數と各種白血球の百分率による白血球像の表し方では,Schilling,6)佐藤彰4),尾河氏7)等も唱うる如く各種白血球の變動に關し,往々にして重大な錯誤を來す場合があり,新産兒期に於ける百分率による好中球の著明な減少と淋巴球の著明な増加の如きも,一見兩者いずれの影響の爲であるか,判斷するこにが出來ない。随つて同氏等は之を各白血球の絶對數からみて,一定容積内の各種白血球の消長を論じ,新産兒期に於ける白血球の著明な消長の主體をなすものは好中球の消長に他ならぬと説明している。
 然し乍ら,新産兒に於ける末梢血液像に現れた各種白血球の絶對數値は一定容積内の各種白血球の外界刺戟に對する反應壯態即ち新産兒造血臟器に於ける各白血球動員状態を示しているのであつて,其の變動を容易に窺知する爲には一定の基準を示す必要がある。

新生兒成熟微としでの化骨核の意義

著者: 齋藤祐吉

ページ範囲:P.704 - P.711

緒言
 産科領域に於ける新生兒哺育に關しては,その成熟度を判定することが必要な條件である。
 從來は在胎日數・體重・身長・その他によつて成熟度を判定したのであるが,これ等のみによつては必ずしも正確を期することは出來ない。從つて他に一層正確なる徴候が探求されたのである。

Hyaluronidase添加による大量皮下注射液吸收促進成績と其の添加量の問題に就いて

著者: 渡邊金三郎 ,   大鹽乾郎

ページ範囲:P.711 - P.714

緒言
 Duran-Reynal及びMc Cleanによつて各單獨に發見され,Chain and DuthieによつてHyaluronidaseと名付けられた本酵素は,その特性により臨床的應用面は甚だ廣く,且つ又將來性を有して居り,既に明にされたもののみでも數種をあげることが出來,大量の皮下注射液吸收促進への應用もその一つである。本方面の開拓者はHechter;Schwarzman,Gaisford and Evans等であり,我國に於ては榊原,加來に負うところが多く,其の後諸家の成績發表をみるに至つた。余等も早くより主に手術後の處置としてRinger氏液注射時に本酵素を使用し,その卓效を認め發表するところがあつた。然るにHyaluronidase添加の際皮下注射量に對し,果して何單位添加が妥當であるかの量的問題になると,指針となるべき文献に乏しく,僅かにMadinavetiaの吸收促進速度はHyaluronidaseの量に大體比例するとの説によらなければならない現況である。依つて余等はこの量的問題を解決すべく,使用例につぎ臨床的検討を加え,或る成績を得たので茲に報告する。

症例研究

Rh因子不適合によらず所謂副腎卒中にもとずいた新産兒重症黄疸の1例

著者: 永原貞郞 ,   河田謙二

ページ範囲:P.715 - P.718

 新産兒重症黄疸乃至赤芽細胞症の原因として,近時血液因子が重要視されているが,日本人に於ては白人に比してRh陰性者は遙に夥いため,本症の原因を因子Rhのみに求めることは困難である。一方新産兒に於ては副腎出血は殆んど生理的に起るとされている。われわれは,臨床上重症黄疸を認め赤芽細胞症と疑われた患者を死後病理解剖學的に検索し,その原因が所謂腎卒中にもとずいたと診斷した症例をえたので,茲にその所見の概要を報告する次第である。

人魚體奇形に就て

著者: 三宅正明 ,   石原力 ,   篠塚昭夫

ページ範囲:P.718 - P.721

 余等は兩近兩下肢の癒合奇形Terata sympod—a, Sympodia, Sympus—所謂人員體形成Sirenen—bildungの1例を觀察する機會を得たのでここに報告する。

完全中隔腟を伴なう完全重複子宮の一剖檢例

著者: 黑田直 ,   松澤茂隆

ページ範囲:P.722 - P.723

 某醫師に封する業務上過失致死被告事件で解剖に附された1女性屍(妊婦)に,1成熟胎兒を容れた完全重複子宮(完全中隔膣を伴なう)を見出し,しかもその死因が特異體質に基くショツク死であつたという,やや珍らしい例に遭遇したので簡單に報告する。
 1.29才の妊婦。これまで1回,人工妊娠中絶を受けたことがあるという。今回の妊娠は,最終月經が昨年(昭和26年)8月28日より同30日までで,以後妊娠は順調に經過し,分娩豫定日を數日後に控えた昭和27年5月28日,某醫院を訪れた。そこで重複子宮を發見され,手術(帝王切開?)の目的で翌29日同院に入院,翌30日,手術に先立ち,腰麻醉のために腰椎穿刺を行い,「ペルカミン」を注入したところ,數分を出ずして卒然死亡した。その結果,業務上過失致死の疑いで,當東京大學法醫學教室に於て解剖するところとなつた。

子宮峽部筋腫と妊娠

著者: 柳原敏雄

ページ範囲:P.724 - P.726

緒言
 子宮筋腫は大部分が體部筋腫であり,頸筋腫は4〜5%にすぎぬ。本例は右傍子宮結締織内に發育せる腫瘍にして,妊娠2ヵ月兼右廣靱帶内腫瘤又は右側充實性卵巣腫瘤の疑いの下に開腹,三林氏の云われる子宮峡部筋腫であつたので,寫眞と共に報告をなし,併せて妊娠との關連に一私見を述べてみたいと思う。

典型的巨大子宮頸部筋腫例

著者: 土橋宏

ページ範囲:P.726 - P.727

 子宮筋腫は婦人科手術中割合多く,其の中子宮頸部筋腫は全子宮筋腫の約5%と云われている。
 最近,子宮筋腫は症状の現れ次第早期に手術される傾向が強くなつた爲,子宮筋腫の巨大なるは漸次少くなつている傾向なり。

論説

子宮頸癌の新國際分類に對する我々の意見

著者: 川中子止善 ,   中村實

ページ範囲:P.728 - P.735

 今回發表になつた子宮頸癌の新國際分類法で,一番問題になるのは第0期と第1期である。0期は勿論1期でもその診斷は臨床所見だけでは不充分で,塗抹又は組織標本による組織細胞學的検査を概ね必要とする。然も0期又は1期の如き病變が頸部に限局してる時期に,癌であるか癌でないかを迅速且つ正確に診斷し,治療を加えることが望ましい。
 大體癌は正常組織から一足飛びに發生することはあり得ない。即ち正常組織から漸次前癌性又は疑癌の状態に移行し,斯樣な時期を暫く經過し,然る後突如として癌性化するというのが一般の常識である。されば前癌(疑癌)期と癌最初期の間には明に一線が引かれる譯である。此の境界線に立つて前癌と癌を取捨選擇し,敏速に處理する重大な役目を擔うのが婦人科醫である。處が此の境界線に相接する前癌と癌とを區別することは,實際問題として現在迄非常に困難とされている。それは兩者の境界線に相接する最終期前癌性變化と最初期癌性變化とを,明確に識別する組織細胞學的基準乃至目標が誰からも示されず,人によつて各々診斷目標が異る結果,それから生ずる成績の統計は種々雑多で餘り信を置き難い。

境界領域

上腹部疼痛と胆道内蛔虫症

著者: 川島健吉

ページ範囲:P.736 - P.737

 蛔虫症の多少はその邦の丈化並に衞生状態の一標準であるとさえ云われているが,我國では不幸食物の關係上早くから蛔虫が廣く蔓延している。殊に今次戰爭以來食料や驅虫劑の不足等のため,都會,田舍を問わずその罹患率が甚しく激増したので,最近では所謂外科的蛔虫症なるものが重要なる疾患の一つとして注目せられるに至つた。特に蛔虫の胆道内迷入により惹起せられる急性上腹部疼痛發作はその鑑別診斷上極めて大切である。更にこれに續發して發生する各種の合併症を考え合わすと極めて大きな問題である。
 茲に胆道内蛔虫迷入症の臨床症状を述べるに際し,先づ最近發病時から精細にその經過を觀察し得た1症例について記載し,次いで本疾患に關する二,三の事項について考察を試みたい。

檢室査

性ホルモンの微量定量法

著者: 山本浩

ページ範囲:P.738 - P.739

 性ホルモンの定量法は臨床醫家にとって,その必要性は痛感されていることであるが,實際に利用し得るものは殆んどなかつたが,最近應用し得る微量定量法が現われたので之を紹介する。
 定量法には化學的定量法と,生物學的それとあるが,前者は血液又は尿より性ホルモンを簡單,且つ純粋に抽出する方法がないので,比色法螢光法によつたが,之らは不純物のために微量測定が困難である上に,更に化學的定量法では生物作用を現わさない成分迄も測定値の中に含まれているかも知れないし,又逆に生物作用を持つた類似の物質を測定し得ない場合も起り得るし,その抽出操作中に有效物質のlossがある等で臨床的には,むしろ生物作用を持つすべての物質を測定した方がその目的にかなうわけである。そこで生物學的定量法では血液又は尿中の性ホルモン量が多ければ,そのまま測り得るし,少くなければ濃縮するだけで直ちに測り得るので簡單であるが,しかし現在迄の方法では微量は測定出來なかつた所が,最近非常な微量測定法が發表された。

産婦人科の動き

乳腺炎の治療

著者: 藤井久四郞

ページ範囲:P.740 - P.742

 産褥に屡々起る乳腺炎は以前から治療しにくい疾患の一つであつたが,サルフア劑や抗生物質が發見されてからは,やはり他の領域と同樣に,その治療が一變して外科的療法は過去のものになつたであろうか?近頃の歐米の數種の文献からうかがつてみることにしよう。
 乳腺炎の病原菌は殆ど常に溶血性黄色ブドウ球菌であることは以前からいわれておるが,最近のVon Hans Muth (1950)の100例についての研究によると,溶血性黄色ブドウ球菌87%,白色ブドウ球菌4%,大腸菌4%,溶血性黄色ブドウ球菌と白色ブドウ球菌との混合1%,溶血性黄色ブドウ球菌と大腸菌との混合3%,白色ブドウ球菌と大腸菌との混合1%である。即ち混合感染の場合5%を加えると,溶血性黄色ブドウ球菌は實に92%を占めている。したがつて乳腺炎は一應サルフア劑やペニシリンの適應症である。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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