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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻2号

1952年02月発行

原著

腟塗抹標本による子宮癌早期發見例—附,正常組織と癌組織との本質差

著者: 川中子止善1 山本浩1

所属機関: 1慶大産婦人科

ページ範囲:P.52 - P.58

文献概要

 組織細胞所見による子宮癌の早期發見並びに診斷上,細胞分裂の有無は極めて重要な所見である。と云うのは正常子宮腟部粘膜上皮に細胞分裂像を認めることは殆んど無いが,癌腫化せる組織には常に見受けられる。之れは癌組織と正常組織とを比較した場合一見して解る相違で,他の相違は皆之れに附隨して起るものである。從つて分裂像の有無が癌腫か否かの分岐點となる。これは癌腫の本質に觸れる重大な問題で,我々の考えは次の如くである。
 正常組織の成長と分割正常組織と云つても茲では其の範圍を子宮腟部粘膜の重層扁平上皮だけに限る。腟部上皮も他の多くの體細胞組織と同様上皮細胞の分裂は個々別々に随時行われるのでは無く,集團的に統制され一日の内の或る一定した時刻,多くは夜間一齊に行われる。分裂に要する時間は凡そ15分から30分以内の短時間で終る。我々が正常組織の細胞分裂に殆んど遭遇出來ないのは,細胞分裂の時刻と組織片探取時刻とが旨く一致しない爲である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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