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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻2号

1952年02月発行

症例研究

異常経過をなしたる卵巣僞粘液性嚢腺腫の3例

著者: 田中益雄1

所属機関: 1三縣縣縣立醫科大學産科婦人科教室

ページ範囲:P.72 - P.75

文献概要

緒言
 卵巣嚢腫中良性のもので旺盛な増殖性を有するものは僞ムチン嚢腫と漿液嚢腫であり腺様の構成をもち内腔に分泌物がたまり腺腔が次々と新しくつくられ多房性となり各房の隔壁が消失して更に大きな室に合流割面が蜂の巣のように大小多数の室に分たれるようになる。僞ムチン嚢腫は増殖力が特に強く無限に發育し,腹部一杯を占める所謂巨大嚢腫となるが増殖は一般に緩慢である。私は最近21歳未婚者で小児頭大の僞ムチン嚢腫が3ヵ月後全重量10kg即ち妊娠子宮より發育速度の強度な症例を經験したので報告する(症例第1)
 卵巣有莖嚢腫の自然破裂は比較的稀有なるものである。一般に破裂は外傷性のもの多く,其の原因として衝突腹部の打撲墜落鉗子分娩時に粗暴なる觸診交接等擧げらる。自然破裂は經過中嚢腫壁の病的變化例えぱ脂肪變性壞死嚢腫内容増加による内壓の上昇腹壓の上昇又比較的屡々莖捻轉により誘發せられるものであるが,私は最近18歳未婚の處女に何等誘因と思われるものなく僞ムチン嚢腫の自然破裂に依り腹水を伴う急性腹膜炎の症状を呈した症例を經験したので報告する(症例第2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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