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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻3号

1952年03月発行

綜説

妊娠中毒症とヒスタミン

著者: 足高善雄1 南溢1

所属機関: 1奈良醫科大學

ページ範囲:P.89 - P.99

文献概要

1)まえがき
 妊娠中毒症は古來から學説の疾患と呼ばれている様にその本態に就ては未だ究明の域に達していないが,眞柄教授は1)2)3),細菌體から多糖體を抽出するZinnser, Parker等の方法に從つて胎盤絨毛物質から水溶性,アルコール不溶性の1物質を取出し,之を妊娠動物に投與したところ,妊娠中毒症患者の病變と極めて近似した一定變化が之等實驗動物の諸臓器に出現することを確認して本症患者の血管拘縮症殊に胎盤に生ずる凝固壊死が本症の根本的原因であるとする興味深い新知見の詳細に就て先年日本産科婦人科學會総會の宿題報告として述べられた。當初本物質が多糖體抽出法に依つたものであるから妊娠中毒症は絨毛多糖體によるアレルギーであろうと考えられていたが,その後該抽出物質の大部分がポリペプチードであることが明かにされた。但し本物質の抗原性を缺くか極めて弱い點から觀てこつ絨毛水溶性物質のうちで動物に妊娠中毒症様病變を起させる主成分はポリペプチードであろうとしたがこの場合未だアレルギーとは断定し得ず,本物質が妊娠動物にのみしか作用しないことと,妊娠中毒症患者の病變がRossle等の云うヒペレルギー性變化に似ていることからアレルギー様疾患又はパテルギーと考えてよかろうと述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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