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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻5号

1952年05月発行

雑誌目次

綜説

Pregnanediolに就いて

著者: 坂倉啓夫 ,   木多泰正

ページ範囲:P.185 - P.195

 Pregnanediolは黄體ホルモン(Progesterone)の排泄型で生物學的に黄體ホルモンの生理作用を持つていない。であるからPregnanediol (以下pregnと略す)を定量することはprogesterone(以下progeと略す)の代謝を推定出來ることになる。

原著

余の骨盤内鏡(Pelvioscope)を以てする膣式不妊手術

著者: 岩井正二

ページ範囲:P.196 - P.198

 余は産科と婦人科第18巻第9號に腟式不妊手術の一新法と題して余の行つている方法を發表したがその際之に新法と名づけることに就ては當時自分としても誠におこがましく,少しく氣がひけたように感じたのである。然しその後例数を重ねるに從い益々この方法が全くそれに値する方法であることを痛感し,又讀者から種々問合せ等がくるので以下少しく詳しく記載して大方の御批判,並びに追試を仰ぎたい。
 卵管下妊手術に於て問題となる點は次の3點である。(1)卵管に到達する方法(2)卵管に加える操作。(3)手術の行われる時期。即ち妊娠,産褥この時間的關係。の3點である。本稿に於て論ずるのは專ら卵管に到達する方法即ち開腹の經路に就てであつて,他の2點及びそれらと遠隔成績との關係に就ては後の機會に譲る。

妊婦に用いた砒素驅梅劑の副作用と豫防

著者: 福島修 ,   北井德藏

ページ範囲:P.199 - P.203

 砒素驅梅劑はEhrlichのサルヴァルサン創始以來,改良に改良を加えられて次第に副作用が少くなり,殊に重篤なる副作用或は中毒を起すものは非常に少くなつた。併し乍ら注射後の副作用はなお問題とするに足る程度に見られている。我々が昨年以來本教室中島教授の宿題報告の一部として取扱つた梅毒患者にても既に相當の副作用を見ている。そこで之等の副作用と之に用いた副作用豫防對策に對する臨床的效果に統計的な観察を試みたので茲に發表したいと思う。

症例研究

尿管結紮部不全による尿浸潤の合併したリンパ瀦溜症の一例について

著者: 小林隆 ,   唐澤陽介

ページ範囲:P.204 - P.206

1.緒言
 子宮頸癌手術に於て,腫脹の有無に拘らす所屬リンパ腺は勿論,骨盤内に豊富に存在するリンパ系統の廣汎な剔除を必要とすることは既に議論の餘地のないところであるが,其の結果生ずる非生理的なリンパ流路の爲に「リンパ潴溜症」を發生し,其の頻度も10%を超えるものと考えられる。その發生機序,臨牀所見,及び症例のいくつかは先に小林等が詳細に報告したが,其の後の検索により一見「巨大リンパ潴溜症」と考えられるが如き特異な例に遭遇したので,こゝに報告する。

妊娠悪疽に對するグルクロン酸の效果

著者: 今西義則

ページ範囲:P.207 - P.211

緒言
 惡疽は日本婦人に於ては全婦人の約半數に來ると云われ,大石氏は25.4%,久慈氏は44.0%,谷口氏は36.2%の數を學げて居る。其の原因即ち妊娠中毒症の原因に關する業績は枚學に遑なく議論百出,今尚明らかではないが胎兒側より分泌する一種の化學的物質が母體に毒素として作用するものであると現今一般に信ぜられて居る。又Jegorow氏(1935)はアレルギーを以て説明し,アレルギー現象と肝臓機能とが緊密な關係のある事は既明の事實である。(Doerr,Monwarning, Kämmerer氏等)。眞柄氏はアレルギー様疾患又はパテルギーと考えてよかろうと發表し,九島氏は絨毛産生物による母體全身臓器殊に腦下垂體間腦系機能の失調の結果起るものであり,妊娠失調症と云うべきであり,妊娠失調症なる概念はLichtwitz氏及久慈氏等の見解でもあると發表して居る。而してその治療方法も實に多種多様の方法が今日迄報告せられ特に最近Philpott,Handel-man氏等はメチオニンが妊娠惡疽に有效であると發表して居る。私は最近妊娠惡疽に封し解毒作用あるグルクロン酸を使用し一應有効なものと認めた。
 グルクロン酸の妊娠惡疽に對する成績は今日迄本邦に於て全然その報告を見ないので例數甚だ僅少ではあるが發表し大方諸賢の御批判を仰ぐ次第である。

先天性食道閉鎖症の1例

著者: 山口龍二 ,   後藤仲 ,   新津岩樹 ,   並木岡一

ページ範囲:P.211 - P.213

 先天性食道閉鎖症は1642年Sehawの報告以來歐米では既に300有餘の報告を見るが,本邦では1913年内村の報告以來,未だ10數例に過ぎない。我々は昭和26年8月,當科に於て高年初産婦の一新産兒にHappischの定型的先天性食道閉鎖症の1例を經瞼したので,その臨床的及び解剖,組織所見を報告する。

診療室

膣式子宮下部横切開挽出術の經驗

著者: 坂倉啓夫 ,   山田達郎 ,   藤田一善 ,   中山孝

ページ範囲:P.214 - P.218

緒言
 妊娠中絶法中妊娠早期(4ヵ月迄)では子宮内容除去術は誰しもが認める最良の方法であるが,妊娠中期(5ヵ月〜7ヵ月)の中絶法が問題となつて來る。その方法を分類すると
 1.自然娩出法
  a.器械的方法
   ブージー,メトロイリーゼ,コルポイリー   ゼ等。
  b.藥剤的方法
   内服叉は注射(筋肉内,際脈内,子宮内)   等である。
  c.併用法a.b.を併用する方法

基礎體温法による受精阻止

著者: 山口哲 ,   飯塚理八

ページ範囲:P.219 - P.221

1.受胎調節法の種類
 受胎調節法を大別すると,精子と卵子との融合すなわち受精を阻止する方法と受精卵が子宮内膜に着床するのを阻止する受胎阻止法との2法がある。受胎阻止法は子宮桿,子宮輪の如き器具を子宮腔内に挿入する器械的方法と子宮内膜に沃丁等の塗布を行う化學的方法との2法がある。前者は危險性が大である上,效果が不確實であり,後者は實施法そのものには危險は少いが矢張り效果が不確實である。このほが受胎阻止法は必ず醫師の手を借りねばならぬ不利があるので,現在一部の人に用いられているにすぎず,大多數の人々は受精阻止法を行つている。從つて受胎調節法は受精を阻止する方法であるといつても過言でない。

座談会

産婦人科領域に於ける日常各種診斷法の再檢討(其の2)

著者: 橋爪一男 ,   赤須文雄 ,   長谷川敏雄 ,   安井修平 ,   間島僴 ,   藤井吉助 ,   久慈直太郞 ,   平澤益吉 ,   中山盛祐 ,   眞柄正直 ,   堤辰郞

ページ範囲:P.222 - P.228

 橘爪 この前東邦醫大におきまして行なつた座談會の續きをやりたいと思います。つきましてはこの前非常に活發な議論が澤山出まして參考になる點が多々ございました。この座談法は「もう本に書いてあるから問題ないんだ」というわけではなく,たとえばピスカツエックというものは今後教科書から抹殺すべしというふうに皆さんの忌憚のない御意見を伺いたいと思います。
 今日はその續きというわけでございますけれども,皆さん方の興味深いような問題を先に致したいというわけで,おしまいの方から致します。まず一番目に子宮穿孔について皆さん方のお話がございましたらお話を伺いたいと思います。どなたか御發言ございませんか。「人工流産における子宮穿孔の診斷」ということです。皆さん優秀な技術をおもちでないかと息いますが,よその方の經驗を取上げてなさつてもよろしうございます。

最近の産婦人科の動き

人排卵の誘發

著者: 齊藤幹

ページ範囲:P.229 - P.230

 Willis E.BrownはProgress in clinical Endoc-rinology(1950)で人排卵の誘發について次のように述べている。婦人科的疾患殊に無月經,機能性出血等の治療に當つては人工的に排卵を誘發しえたならば問題を一氣に解決できるであろうと瘻々考えられる。事實現在まで多くの先人により人排卵誘發實験が行われているがなかなか實現困難な現状であるが現在考えられ又行われている排卵誘發についての大略を述べてみることとする。之に先立つて排卵の有無を適格に知る方法が必要である。この方法には色々あるが中でも適時開腹して卵巣に排卵の痕跡又は黄體或は卵の存在を認めうれば一番確實であるが一般に用いる事は到底できない。從つて間接的に排卵の存在を示す子宮内膜像の分泌性變化,基礎體温の二相性變化等の徴候より綜合的に排卵を推定している。この外に尿中Pregnandiolの測完によつても排卵を推完できるが簡單に之を應用することはできず,腟細胞の變化或は頸管粘液の變化を見る方法もあるが確實性に乏しく,人によつては中間痛を參考とする事ができるが凡ての人に之を求める譯にはゆかない。
 排卵のメカニズムの詳細は尚不明であるが大體次のように考えられている。即ち下垂體前葉より分泌される卵胞成熟ホルモン(Follikel stimula-ting hormone略してF.S.H.)は卵巣に働らいて卵胞を發育させる。

學會

受胎調節法の學術討論會の概況

著者: 山口哲 ,   原田肇

ページ範囲:P.231 - P.233

 第4回日本産科婦人科學曾總會は岡山公開堂に於て3月30日より4月1日までの3日間に亘つて行われた。最終日の總會演説の終了後直ちに同會場に於て岡山地方部會が開催され,「受胎調節法の婦人科學的研究」と題して,學術討論會が行われた。
 同討論會は非常な人氣を呼び,會場は立錐の餘地もない程の盛況で,岡山醫大の八木教授の司會で本法に關する討論が活發に行われた。討論により決定的な結論は出なかつたが,討論の封象となつた受胎調節法は何れも現在我が國で行われている代表的なものであるので,此處に其の概要を記して,同會に出席されなかつた人々の参考に供する。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

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69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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