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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻8号

1952年08月発行

文献概要

綜説

妊娠中毒症と自律神經

著者: 九嶋勝司1

所属機関: 1福島醫大

ページ範囲:P.335 - P.338

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I
 一般に中毒症の主要原因は胎盤絨毛にあると考えられている。しかし晩發産褥子癇の如く全然絨毛成分が無い時期にも中毒が起るから,中毒症原因は單一なものではなく,多元的なものであると考えねばならぬ。原因を異にするにも拘らず症候が同一であるとすれば疾病發生機序に共通性があるのであろうと考えねばならぬ。異なる原因によつて浮腫,蛋白尿,高血壓,痙攣等の中毒症状が或は單獨に,或は合併して起る如き機序を求めて間腦機能の異常こそ之に該當するものであると考えるに至つた。即ち間腦には諸種の物質代謝中枢血管収縮中枢,痙攣中枢等が存在し,如何なる原因による場合にもその機能に障害が起りさえすれば中毒症様症歌が起り得るからである。更に間腦は内分泌系と共に個體の生活機能を調節する主要臓器であるから中毒症は所謂妊娠毒に因る中毒ではなく,妊娠現象に封する母體の順應性が破綻するために起る妊娠失調症であろうと言う見解を述べたのが3年前のことである。その後の實験によりこの見解に對する信念を益々深めつつあるが,中毒症が失調症であり,間腦と關聯するものであるならば,間腦は自律神經中枢の存在する部位であるから,當然中毒症は又自律神經機能の異常を伴う筈である。以下自律神經機能の面から中毒症を眺めて見よう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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