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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科6巻9号

1952年09月発行

文献概要

境界領域

百日咳の免疫

著者: 岡田博1

所属機関: 1名古屋大學

ページ範囲:P.417 - P.419

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1)百日咳免疫の特異性
 百日咳と言う病氣は冤疫學的に甚だ興味がある。通常此の病氣に一度かゝると先づ再びかゝることがないと言われる程の強力な免疫を殘すのであるが,それにも拘らず同様に強い免疫を残す痳疹,ヂフテリーや猩紅熱などに新生兒は生後約半年は免疫を持つているのに,此病氣には出生直後でもかゝるのである。それで何處の國でも百日咳の致命率は乳兒に最も高く,しかも月齢の若い程著るしい。百日咳は麻疹,ヂフテリー,猩紅熱と同樣我が國に廣く侵淫していて大多數の母親が感染をうけているに拘らず何故この様な差が起るかと言う理由は結局百日咳免疫の特異性に歸せられるのである。
 百日咳では麻疹やヂフテリー其他の病氣と異なり,感染後可成り早い時期にその抗體は流血中より消失し,又體組織からも同様見出すことが出來なくなるのであつて,このことは既往に百日咳にかゝつたものとそうでない者の血清の凝集反應に殆んど差がなく(岡田,1950)又體組織抗體の一指標として考えられる・凝集原・による皮膚反應を調べてみても同樣に著るしい差が現われないのである。それでは結局かゝつた後の恒久免疫の存在場所は何処かと言うと即ち肺,氣管及び氣管支の抗體産生組織にあると考えられるのであつて,それ故に母體からの抗體の賦與と母乳によるその補給が主體と説明されている新生兒の先天免疫では母體に液性抗體の少ない百日咳にそれが存在しないのは當然であると考えられるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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