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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科60巻1号

2006年01月発行

今月の臨床 ART 2006

ARTの健全な発展のために

ART施行施設に求められるもの

著者: 高橋克彦1

所属機関: 1広島HARTクリニック

ページ範囲:P.16 - P.19

文献概要

はじめに

 ART医療はほかの産婦人科医療と比べて以下の特徴がある.

 1.チーム医療

 ARTを実施するためには不妊症専門臨床医のほかに,泌尿器科医師,看護師,IVFコーディネーター,生物科学者,胚培養士,カウンセラー,受付,研究員などとの共同作業が必要となり,部門間の意志疎通が重要である.

 2.培養室(laboratory,ラボ)の存在

 ラボはART医療特有の部門であるが,高い妊娠率を得るためにヒト胚を培養するラボの明確な基準(施設,人的資源など)は存在しない.また,精子,卵,胚,凍結胚を取り扱うことによるリスクに対する基準もない.

 3.急速な技術進歩

 ICSI, PGDなどの新しい技術が普及し,また非配偶者間体外受精,代理母のように社会に影響を及ぼす問題も出現しているが,それらの適応,実施の是非について倫理的,社会的な対応が追いつかないでいる.

 4.急速な施設数の増加

 わが国の特徴として急速な施設数の増加が挙げられる.2004年度までに登録されたIVF実施施設数は600を超え,世界一であるが,その80%以上が年間IVF実施数100例未満の小規模施設である(2003年度).ART医療の水準を一定に保つにはある程度の治療周期数が必要であり,このような施設における医療の質の低下が危惧される.

 以上のようなわが国ART医療の特殊性を考慮すると,ARTの健全な発展のためにART施行施設に求められるものは品質管理システム(quality management system : QMS)の導入であると考える.

参考文献

1)日本規格協会(編),対訳 : ISO9001品質マネジメントの国際規格.財団法人日本規格協会,東京,2003
2)日本エル・シー・エー(編): 医療機関におけるISO9001マネージドケア・ジャパン,東京,2002
3)高橋克彦 : ART医療質の向上─JISARTの役割.産婦人科世界57 : 31─36, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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