文献詳細
今月の臨床 妊娠中の偶発症候─産科医のプライマリケア
文献概要
はじめに
妊娠中の偶発合併症は生殖可能年齢婦人に起こりうる疾患の数とほぼ同数,またヒトに起こりうるすべての事故の種類数だけあり概説することは困難である.妊娠中の偶発合併症の診断・治療に際して注意しなくてはならないことは以下の通りである.
(1)血液検査所見は非妊時の正常範囲を当てはめることができないものがある.当該妊婦の妊娠週数の正常範囲を考慮する必要がある.
(2)子宮の増大により腹部臓器の解剖的位置関係に変化が生じている可能性がある.
(3)非妊時に比して感染しやすくなっている可能性がある.
(4)非妊時に比してhypovolemiaに気づかれにくい可能性がある.
(5)母と児の命,二者択一の場合は母体生命を優先する.
(6)薬剤による治療時には児への影響を考慮する.
(7)外科手術の際は児への影響を考慮して適切な時期を模索する.
(8)合併症によっては早期の児娩出を考慮する.
(9)腹部打撲の可能性がある外傷においては胎盤早期剥離が数時間後に起こってくる可能性があるので,受傷後数時間のCTGモニターが望ましい.
本稿では,妊娠中に発見された偶発合併症により手術が必要となった場合の影響,妊娠中の外傷の影響,妊婦交通事故後の注意についてのみ記載する.
妊娠中の偶発合併症は生殖可能年齢婦人に起こりうる疾患の数とほぼ同数,またヒトに起こりうるすべての事故の種類数だけあり概説することは困難である.妊娠中の偶発合併症の診断・治療に際して注意しなくてはならないことは以下の通りである.
(1)血液検査所見は非妊時の正常範囲を当てはめることができないものがある.当該妊婦の妊娠週数の正常範囲を考慮する必要がある.
(2)子宮の増大により腹部臓器の解剖的位置関係に変化が生じている可能性がある.
(3)非妊時に比して感染しやすくなっている可能性がある.
(4)非妊時に比してhypovolemiaに気づかれにくい可能性がある.
(5)母と児の命,二者択一の場合は母体生命を優先する.
(6)薬剤による治療時には児への影響を考慮する.
(7)外科手術の際は児への影響を考慮して適切な時期を模索する.
(8)合併症によっては早期の児娩出を考慮する.
(9)腹部打撲の可能性がある外傷においては胎盤早期剥離が数時間後に起こってくる可能性があるので,受傷後数時間のCTGモニターが望ましい.
本稿では,妊娠中に発見された偶発合併症により手術が必要となった場合の影響,妊娠中の外傷の影響,妊婦交通事故後の注意についてのみ記載する.
参考文献
1) Mazze RI, Kallen B : Reproductive outcome after anesthesia and operation during pregnancy : a registry study of 5,405 cases. Am J Obstet Gynecol 161 : 1178─1185, 1989
2) Kallen B, Mazze RI : Neural tube defects and first trimester operations. Teratology 41 : 717─720, 1990
3) Honein MA, Paulozzi LJ, Mathews TJ, et al : Impact of folic acid fortification of the US food supply on the occurrence of neural tube defects. JAMA 285 : 2981─2986, 2001
4) Kady DE, Gilbert WM, Anderson J, et al : Trauma during pregnancy ; an analysis of maternal and fetal outcomes in a large population. Am J Obstet Gynecol 190 : 1661─1668, 2004
5) Aitokallio─Tallberg A, Halmesmaki E : Motor vehicle accident during the second or third trimester of pregnancy. Acta Obstet Gynecol Scand 76 : 313─317, 1997
6) Pearlman MD, Tintnalli JE, Lorenz RP : A prospective controlled study of outcome after trauma during pregnancy. Am J Obstet Gynecol 162 : 1502─1510, 1990
7) Towery R, English TP, Wisner D : Evaluation of pregnant women after blunt injury. J Trauma 35 : 731─736, 1993
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