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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科60巻4号

2006年04月発行

雑誌目次

今月の臨床 女性診療科外来プラクティス I 主訴と好発疾患

主訴から想定すべき疾患

著者: 岡井崇

ページ範囲:P.359 - P.365

1 主訴と好発疾患

 外来診療で患者の訴えを聞くことが重要なのはいうまでもないが,症候の詳細を聴取するに当たって,想定される疾患,あるいは可能性のある疾患が頭のなかに浮かんでいなければよい問診とはいえない.有能な医師の問診には1つ1つに意味がある.例えば,“不正性器出血”の主訴に対して,出血時期と月経との関係を問うのはホルモン異常による出血の可能性を念頭に置いてのことであり,性交時の出血の有無を問うのは頸癌などの頸部病変の可能性を考えてのことである.したがって,主訴から想定すべき重要な疾患が抜けることなく整理されて頭のなかに入っていなければならない.詳しい問診によって,それらのなかから可能性のより高い疾患を選別し,手順よく診察と検査を進めるのが外来診療の基本である.

 本稿では症候ごとに鑑別すべき疾患を一覧表に示すが,実地臨床の場では,誤診や見逃しが大事に至る悪性疾患と救急疾患は,頻度にとらわれず常に鑑別の第一に考えておくべきであることを付記する.

II 腫瘍外来 1. 腫瘍外来の検査

1) 細胞診および組織診(頸部,体部)

著者: 本山悌一 ,   中原健次

ページ範囲:P.366 - P.367

1 はじめに

 腫瘍外来における細胞診と組織診について,検体の精度管理の視点も加えて述べる.

2) コルポスコピー,コルポ下狙い生検

著者: 平沢晃 ,   片岡史夫 ,   青木大輔

ページ範囲:P.369 - P.375

1 はじめに

 コルポスコピー(腟拡大鏡診 : colposcopy)とはコルポスコープ(腟拡大鏡)を用い,子宮腟部のびらんや腟壁病変の観察を行うことである.特に,頸部病変の範囲の把握や病変の推定診断,生検部位の確定にコルポスコピーは必要不可欠な検査である.近年の子宮頸がん検診の普及と子宮頸がんの罹患年齢の若年化により,今後,二次精検を必要とする患者が増加していくことが予測され,正確なコルポスコピーとそれに基づいた組織診の重要性はますます高くなると考えられる.

 コルポスコピーは1925年にHinsenlmannによって開発された.彼はさらに光源やレンズなど機器の改良を行い,1938年には酢酸加工法を考案して今日の検査法の礎を築いた.その後グリーンフィルターの使用や単眼式から双眼式への改良,さらにはコルポスコピー所見に関する研究が進められ,子宮頸部病変の早期診断法の一翼を担うに至った.

 本邦では1950年ごろより安藤,増渕らによって研究が始まった.その後,栗原や平井の業績に加え,子宮がん検診の普及に伴い重要視されてきた1).1975年には第1回日本コルポスコピー研究会が発足し,その後,同研究会を母体とした組織は幾度かの発展的に改組を経たのち1998年に日本婦人科腫瘍学会になり現在に至っているが,この間,コルポスコピーの研究と普及に大きく貢献してきた.

 コルポスコピー所見の捉え方に関する国際分類も変遷を経てきている.1965年にはグラーツで行われた国際子宮頸部病理・コルポスコピー学会(International Federation for Cervical Pathology and Colposcopy : IFCPC)にてcolposcopic nomenclatureが採択された.本邦においては当時の日本コルポスコピー研究会で検討され,IFCPC分類をもとに多少の見解が加えられた分類が作成され実地臨床で用いられてきた.2002年にはバルセロナで第11回IFCPCが開催され,新国際所見分類(バルセロナ分類)が採択された.そこで,日本婦人科腫瘍学会はこれに対応して新分類を作成し,そのなかでバルセロナ分類をそのまま採用せず,本邦で混乱なく受け入れ可能な分類とした.以下に,バルセロナ分類との相違点を要約する.

 (1) HPV所見を採択しない.

 (2) Gradingは腺開口を含めた白色上皮,モザイク,赤点斑について記載する.

 (3) 白斑は異常所見に採用する.

 (4) ヨード塗布試験とdeciduosisは採用しない.

 (5) Atypical vesselはgradingしない.

 本稿ではコルポスコピー修得を目指すための基礎的知識を中心に述べるが,特に所見の実際については「新コルポスコピースタンダードアトラス : 日本婦人科腫瘍学会2005」2)も参考にされたい.

3) 超音波検査

著者: 那波明宏 ,   吉川史隆

ページ範囲:P.376 - P.381

1 検査対象と目的

 日常の婦人科腫瘍外来において,その簡便性,患者に対しての非侵襲性,そして何よりも内診と同時に施行できるために,特に経腟超音波検査は日常臨床の場において各種婦人科腫瘍の診断精度向上に大きく貢献しており,われわれ婦人科腫瘍医にとって必要不可欠の検査手段となっている.しかし,超音波検査が有用であっても,疾患診断の補助とすべきであって,まず内診において不正性器出血の有無,仮に出血があればどこからの出血が考え得るのか,骨盤腔内臓器の可動性に異常はないのか,さらに骨盤内腫瘍の形態,触診感や可動性などを把握したのちに,疾患のイメージを描くことが重要である.超音波検査はそのイメージを確認するスクリーニング検査であることを認識して,さらに病理学的検査,CT,MRIなどの追加検査を進めていくことが肝要であろう.

 検査対象としては,子宮筋腫,子宮腺筋症,子宮体癌,子宮内膜ポリープ,各種卵巣,卵管腫瘍,絨毛性疾患,骨盤内再発腫瘍などの症例が挙げられる.

4) MRI

著者: 大西裕満 ,   村上卓道 ,   中村仁信

ページ範囲:P.383 - P.387

1 はじめに

 MRIは超音波検査と比較し設備費,検査費が高く,検査時間も長く,外来診察室で簡便に施行することができないなどの短所を有する.しかしながら,MRIの優れたコントラスト分解能は骨盤内腫瘤の診断に大きく寄与し,MRI検査は臨床において多いに活用されている.

5) CT

著者: 出口雅士 ,   丸尾猛

ページ範囲:P.389 - P.395

1 はじめに

 骨盤内女性性器腫瘍は,軟部組織のコントラストに劣るCTでの詳細な描出は困難であり,現在ではMRIによる精査が一般的となっている.これまでCTでは横断像しか得られなかったが,多列検出器型CT(MDCT)の登場に伴い,非常に高速に3次元の情報が得られるようになり,画像の再構築により任意の断面の情報や血管造影と同様の透過画像が得られるようになってきた.これらの新しい技術を応用することで,CTでもこれまで以上に精密で有用な画像が得られるようになっている.

 CTの利点としては広範囲を短時間でスキャンできること,広く普及し緊急での撮影が容易である点が挙げられる.しかし,良性疾患では急性腹症として発症する卵巣腫瘍の茎捻転の診断以外にはほとんど適応がなく,もっぱら進行期悪性疾患におけるリンパ節転移・遠隔転移の診断に用いられている.以前は卵巣嚢胞性腫瘤の充実性部分の有無の診断に造影CTが有用と考えられていたが,高速撮影可能なMRIでダイナミック造影を行うほうが圧倒的に多くの情報が得られるため,卵巣嚢胞性腫瘤の充実性部分の有無の診断にはMRIを行うべきである.

6) 婦人科領域のFDG─PET

著者: 河邉讓治 ,   鳥居顯二 ,   塩見進

ページ範囲:P.397 - P.401

1 はじめに

 婦人科領域におけるF─18フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いたポジトロンCT(PET)の臨床的有用性は海外の文献を中心に広く示されているが,わが国ではようやく2006年4月から婦人科疾患のいくつかに保険適用が認められることになり,臨床利用が進む環境が整えられることになる.本稿では,婦人科担当医がFDG─PETをオーダーするために知っておくべきことを述べる.

2. 良性疾患

1) 子宮筋腫

著者: 小西郁生 ,   伊東和子 ,   大平哲史

ページ範囲:P.403 - P.407

1 外来における子宮筋腫の臨床診断を慎重に

 一般に,子宮筋腫は内診と超音波検査によって容易に診断できるものと考えられており,また臨床的取り扱いも症状の有無を考慮し,手術療法,GnRHアナログによる保存的治療,子宮動脈塞栓術(UAE)や集束超音波療法(FUS)などのインターベンショナルな治療,または経過観察が選択されている.ところが,実際は「子宮筋腫」と考えた腫瘤のなかには組織学的に異なる種々の疾患が含まれており,悪性腫瘍である可能性もある.近年,「子宮筋腫」と診断しGnRHアナログ療法やUAEを行ったあとに平滑筋肉腫と判明し,予後不良であった症例が散見される.したがって,子宮筋腫という臨床診断はあくまでも慎重に行うことが重要である(図1).

 「子宮筋腫」と考えた腫瘤が通常の平滑筋腫(usual leiomyoma)でない頻度は,平滑筋肉腫(leiomyosarcoma : LMS)が0.13~0.7%で,組織学的に筋腫とも肉腫とも断定できない中間群,すなわちsmooth muscle tumor of uncertain malignant potential(UMP)も含めると約1.0%と考えられる.さらに,内膜間質肉腫(endometrial stromal sarcoma : ESS)も0.15%の頻度で含まれており,鑑別診断にはESSも重要である.実際,MRI導入前の時代の臨床診断を後方視的に検討すると,「子宮筋腫」と考えて手術を行った腫瘤の約5%が組織診断の異なる腫瘍であり1),小児頭大以上の巨大腫瘍など「筋腫でない可能性もある」と考えた場合は18.6%が悪性腫瘍であった1).近年では,これら通常の筋腫と異なる腫瘍群は,MRIを用いて予測することがある程度可能となってきた.

2) 卵巣良性腫瘍

著者: 落合和徳

ページ範囲:P.408 - P.413

1 はじめに

 WHOでは,以前から卵巣腫瘍をその発生母組織から分類してきた.その発生母組織は,表層上皮,性索間質(顆粒膜細胞,莢膜細胞),胚細胞,間質細胞であり,日本産科婦人科学会の卵巣腫瘍組織分類もこれに準拠している.臨床的にはさらにこれを良性群,境界悪性群,悪性群に分類し取り扱いの目安としている1)

 手術時の腫瘍割面の肉眼的所見から,嚢胞性腫瘍と充実性腫瘍の比率は3対1であり,要約すると嚢胞性腫瘍のほとんどが良性であり,悪性のものは充実性部分を含むことが多い.そのため,手術時の割面から,ある程度良悪性の鑑別が可能である.しかし最終的な診断は病理組織学的に行われなければならない.

3) 子宮内膜症,子宮腺筋症

著者: 岩部富夫 ,   原田省 ,   寺川直樹

ページ範囲:P.415 - P.419

1 はじめに

 子宮内膜症とは,子宮内膜あるいはその類似組織が子宮外の骨盤内でエストロゲン依存性に発育・増殖する疾患である.本症は生殖年齢婦人のおよそ10%に存在し,月経痛と不妊を主症状とする.子宮内膜症の発生病因としては,卵管を逆流した月経血中に含まれる内膜細胞が腹膜に移植したのち増殖するという移植説と,腹膜が腹腔内貯留液の刺激によって化生を起こすという化生説が有力である.いずれにしても,月経血の逆流がキーファクターになるものと考えられている.

 子宮内膜症は,腹腔鏡検査あるいは開腹手術による肉眼所見によって確定診断される.しかしながら,日常臨床において,すべての症例に腹腔鏡検査が施行されるわけではない.直視下の診断が行われず,自他覚所見から総合的に診断された場合は「臨床子宮内膜症」として取り扱う.本症に特有の症状や診察所見から,卵巣腫大や癒着を伴った進行子宮内膜症を診断することは比較的容易である.臨床子宮内膜症の正診率はおよそ80%といわれている.一方,子宮腺筋症は,子宮筋層内に異所性子宮内膜組織を認める場合に用いる疾患名であり,広義の子宮内膜症に属する.従来は,骨盤内内膜症が外性子宮内膜症と呼ばれていたのに対して,腺筋症は内性子宮内膜症と呼称されていたが,現在では独立した疾患名として用いられている.

 本稿では,外来診察で必要な検査・診断法について子宮内膜症と子宮腺筋症に分けて概説する.

3. 悪性疾患

1) 頸癌

著者: 佐護直人 ,   原浩一 ,   岩坂剛

ページ範囲:P.421 - P.425

1 はじめに

 子宮頸癌は,スクリーニングの浸透により早期診断,早期治療が定着し,最近40年の間に大幅な死亡率の低下がみられるようになった.本稿では,女性診療科外来の視点から子宮頸癌について概説する.

2) 体癌

著者: 高橋尚美 ,   八重樫伸生 ,   和田裕一

ページ範囲:P.426 - P.429

1 病因・病態

 子宮体癌の多くは,プロゲステロンの拮抗がない内因性,外因性のエストロゲンの曝露により,発生母地である子宮内膜が異形成から癌へと進行し発生すると考えられている.このような過程で発生した体癌は全体の約9割を占め,核異型のgradeが低く,類内膜癌で,予後のよいtype Iに分類している.残りの約1割を占めるのは,核異型のgradeが高いか,漿液性腺癌もしくは明細胞腺癌で,p53抑制因子の突然変異がある予後の悪い群であり,type IIと分類している1),表1に子宮体癌の増悪因子・軽減因子を示す.

 また,遺伝性癌症候群の1つであるhereditary non─polyposis colon cancer(HNPCC)は,右側大腸癌,子宮内膜癌,その他の癌が発生する症候群で,修復遺伝子の転座が病因である.

3) 卵巣癌

著者: 駒井幹 ,   嘉村敏治

ページ範囲:P.430 - P.433

1 悪性卵巣腫瘍外来の意義

 進行卵巣癌に対する治療の進歩により寛解率は向上したものの,長期生存予後の改善はほとんど認められない.このため卵巣癌外来の意義は,早期診断と治療方針の早期決定であると考えられる.さらに,その後の治療や退院後のフォローアップまでの流れにおいて常に合理的でかつ患者QOLを優先した管理を外来において行わなければならない.近年の医療技術の向上により,必ずしも入院管理が必要ではない症例も増加しており,外来医療の占める役割が大きくなっていると考えられる.

2 診 断

1.スクリーニング

 卵巣癌においては,先述したように早期発見が非常に重要である.しかし,子宮癌と異なり精度の高い早期発見の方法が確立されておらず,スクリーニングの方法が模索されている.腫瘍マーカーのみでの検診として,Jacobsら1)は45歳以上22,000人を対象とし,I期での診断率は32.7%に過ぎなかったとしている.経腟超音波による検診としては,Van Nagellら2)は14,469人を対象とし,I期症例においても発見率は64.7%と腫瘍マーカーのみでの検診に比して超音波の有用性を報告している.小林3)は施設受診者7万人あまりに対し,経腟超音波および6種類のマーカーコンビネーションアッセイを用いた検診を行い,さらに両者をコンピュータ解析したところ,通常の集団検診に比して69.6倍の癌発見率であったとし,その有用性を報告している.しかしながら,どの報告にもかなりの偽陰性群の存在を認めており,スクリーニングとして完全な方法はいまだなく,またスクリーニングにより死亡率が改善することを実際に証明した報告もない.医療経済が厳しくなりつつある現在ではcost for valueの問題もあり,真に有効なスクリーニング手法の開発が待たれるところである.

4) 悪性腫瘍治療後のフォローアップ

著者: 庄子忠宏 ,   杉山徹

ページ範囲:P.434 - P.439

1 はじめに

 婦人科悪性腫瘍治療後のフォローアップの基本は,再発・再燃の早期診断と患者のQOLの改善・維持である.婦人科悪性腫瘍に対する治療は集学化しており,標準的治療やプロトコール治療(実験的治療)の効果,合併症・有害事象を熟知して,フォローアップを行う必要がある.本稿では,代表的な婦人科疾患である子宮頸癌,子宮体癌,卵巣癌に区分して治療後フォローアップの留意点について概説する.

 欧米では,このようなフォローアップよる再発診断率より,患者自身が自覚症状により病院を訪れて再発がみつかる率が高く,医療経済的側面からも頻回なフォローアップが必ずしも標準的に推奨されていない.また,この背景には早期再発診断・早期治療開始が生存期間の延長と必ずしも相関しないこともある.しかし,われわれは本稿で述べるように厳格にフォローアップし,再発早期診断を行い,今後の治療の進歩により生存期間延長・QOL維持をはかっていくべきと考える.必要な検査を厳選して,経済的側面にも配慮したフォローアップを行うべきである.

5) ポリープ切除

著者: 武田真人 ,   櫻木範明

ページ範囲:P.441 - P.443

1 はじめに

 子宮に発生する有茎性の腫瘤,すなわちポリープ(polyp)は日常最も多く遭遇する疾患の1つである.ほとんどが良性であるが,稀に悪性疾患もあり,また外来では処置が困難な場合もある.本稿では子宮頸管ポリープおよび内膜ポリープの一般的な取り扱いについて述べる.

6) 子宮腟部びらんとCISの外科処置

著者: 武田真人 ,   櫻木範明

ページ範囲:P.444 - P.447

1 はじめに

 子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia : CIN)の若年罹患者の増加により,妊孕性を温存する治療法の必要性が高まっている.CINの子宮温存療法は,(1)子宮頸部円錐切除[コールドメスやレーザー,超音波による円錐切除,LEEP]と,(2)非切除治療[低周波電流,超音波,レーザーによる凝固や蒸散,光線力学療法(PDT)]に分けられる.頸部円錐切除は頸部の短縮,子宮口の閉鎖により月経困難,不妊,破水や早産などが問題になり,若年例についてはその適応について十分検討する必要があるが,根治性や確実な病理標本の提供という観点から蒸散法などの非切除治療を安易に選択すべきではなく,病巣の範囲が小さく浸潤癌が否定的な症例に限定すべきと考えられる.現在の頸部円錐切除術はレーザーによる円錐切除術やloop electrosurgical excision procedure(LEEP)が主流である.これらの治療とコールドナイフを用いた円錐切除術との大きな違いは,(1)術後出血の低減,(2)切断面および周囲に対する蒸散・凝固療法を追加し,子宮腟部粘膜の剥離はしない,(3)Strumdorf縫合をせず,切除面を開放するといった点にある.LEEPは円切や凝固法の利点を取り入れた方法で,切除時間も短く,出血も少量で,術後合併症もきわめて少ない方法である.切除面の損傷が小さく断端病巣の判定がより確実で,創部が閉鎖せず残存病巣を埋め込まないなどの長所がある反面,内頸部病変のある症例には適さないといった問題もある.検査所見をしっかり把握したうえでそれぞれの利点を生かした治療法を行うべきと思われるが,当科ではCINの子宮温存治療としてNd─YAGレーザーによる円錐切除術を採用しており,LEEP症例は少ない.レーザー法が頸部の大小や形状態,切除範囲の広さなどに対する操作の自由度において優り,工夫によりLEEPの長所を補い得ると考えているからである.また,病理組織学的検討を重視するため,蒸散法は特殊な場合を除き行っていない.LEEPは外来治療可能な方法として多施設で行われているが,レーザーによる円錐切除術も麻酔法や止血を考慮すればday surgeryは可能で,広義の外来治療と考えられる.本稿では,当科で行っているNd─YAGレーザーによる円錐切除術や術前検査などについて述べる.

7) 外来化学療法

著者: 藤原恵一 ,   勝俣紀之

ページ範囲:P.448 - P.451

1 はじめに

 癌化学療法は,G─CSFや制吐剤などの支持療法の発達により,「化学療法は危険な治療であるので入院治療が原則である」という考え方から,「化学療法は危険な治療には変わりはないが,注意しながらやれば外来治療が可能である」という考えが一般的となってきた1).また,最近では,医療費削減を目標とした入院期間の短縮が求められるようになったこと,医療費包括化の流れにもかかわらず外来化学療法は非包括化されていること,必要要件を満たしていれば外来化学療法加算が導入されたことなど,病院運営の点でもそのメリットがみられるようになったために外来化学療法が急速に広まるようになった1).しかし,外来で癌化学療法を行うことの最大のメリットは,患者が日常生活を送りながら抗癌剤投与が受けられることによって,より良好なQOLを保つことが可能となることである.

 一方,外来化学療法を行う施設側のメリットとしては,センター化して行うことによって業務の効率化がはかれる点が挙げられる.しかしその反面,数十種類に及ぶ各科のプロトコール(レジメ)を集中管理しなければならないなど,安全管理面での格別の配慮が必要となってくる.最も重要な点は,それまで各科独自で工夫して行っていた業務をセンター業務として標準化することである.これは,各科の慣行を見直す作業となるので,当初はいろいろと抵抗も多いが,安全管理面では不可欠なことを強調し,十分理解を得たうえで必ず行わなければならない.また,施設側の責任として,患者のアメニティを重視した設備の整備とともに,化学療法に精通した腫瘍専門医,化学療法専門看護師,薬剤師の配備など人的な整備も不可欠である1)

 本稿では,これらの点について具体的に述べる.

III 内分泌外来

1. 内分泌外来の検査 1) 基礎体温

著者: 工藤美樹

ページ範囲:P.452 - P.453

1 はじめに

 正常な月経周期が成立するためには,視床下部─下垂体─卵巣系の内分泌機能と卵巣─子宮系の子宮内膜機能が協調して働く必要がある(図1).この一連の調節系の機能検査のうち内分泌外来で一般的に行われるものとして,BBTについて述べる.

1. 内分泌外来の検査 2) ホルモン検査

著者: 工藤美樹

ページ範囲:P.454 - P.455

1 はじめに

 正常な月経周期が成立するためには,視床下部─下垂体─卵巣系の内分泌機能と卵巣─子宮系の子宮内膜機能が協調して働く必要がある.この一連の調節系の機能検査のうち内分泌外来で一般的に行われるものとして,ホルモンについて述べる.

1. 内分泌外来の検査 3) 子宮内膜組織検査(子宮内膜日付診)

著者: 工藤美樹

ページ範囲:P.456 - P.457

1 はじめに

 正常な月経周期が成立するためには,視床下部─下垂体─卵巣系の内分泌機能と卵巣─子宮系の子宮内膜機能が協調して働く必要がある(図1).この一連の調節系の機能検査のうち内分泌外来で一般的に行われるものとして,子宮内膜組織検査(子宮内膜日付診)について述べる.

2. 無月経,月経不順の診断法・治療法

著者: 谷内麻子 ,   石塚文平

ページ範囲:P.458 - P.463

1 はじめに

 月経周期異常(無月経,月経不順)は,小児・思春期から性成熟期,更年期にかけて女性に起こりうる病態であり,患者自身で自覚しやすいため産婦人科への受診理由によくみられるものである.その診断・治療は患者の年齢,婚姻状態,挙児希望の有無,個人のライフスタイルなどにより大きく異なるが,月経周期異常の原因として器質的疾患が存在する可能性もあり,的確な診断と治療が必要となる.

 本稿では,性成熟期女性における月経周期異常を中心に,その診断・治療について述べる.

3. 過多・過少月経

著者: 千石一雄

ページ範囲:P.464 - P.467

1 はじめに

 月経血量の異常,特に過多月経は女性のquality of lifeに影響を及ぼす重要な病態である.日本産婦人科学会用語解説集によれば,過多月経は「月経の出血量が異常に多いものをいう.ふつう150 ml以上をいう」とあり,また過少月経は「月経の出血量が異常に少ないものをいう.ふつう20~30 ml以下であり,月経持続期間が3日以内のものは過少と判断される」と定義されている.しかし,いずれも患者の訴えで判断するものであり,厳密なものではない.また,原因も器質的疾患,卵巣ホルモン分泌異常による機能性ならびに内科的全身疾患などよるものなど多岐にわたるため,適切かつ迅速な診断,治療が必要とされる.

4. 月経困難症(月経痛)

著者: 堀川道晴 ,   千石一雄

ページ範囲:P.468 - P.471

1 はじめに

 月経困難症とは月経中あるいはその直前・直後における月経随伴症状で,下腹部痛や腰痛などが病的に強く,そのため日常生活が著しく障害され,治療を必要とするものをいう.月経痛は婦人科領域において最も多い訴えの1つであり,軽度の月経痛は成熟婦人の70~80%にみられるが症状が重症であり,何らかの治療を必要とするものは3~8%とされる.

 月経困難症は原発性月経困難症(機能的)と続発性月経困難症(器質的)の2つに分類することができる.原発性月経困難症とは骨盤内に疼痛の原因となる器質的病変が認められないものをいい,初経後排卵周期が確立すると出現し,排卵周期の成熟とともに頻度も低くなり,症状も弱くなっていく.一方,続発性月経困難症は疼痛の原因となる器質性病変が骨盤腔内に存在する場合をいう.

 原因疾患としては子宮内膜症,子宮腺筋症,子宮筋腫などが最も多く,それ以外では骨盤内炎症,骨盤内癒着,子宮頸管狭窄などによって起こる.したがって,一般に各疾患の好発年齢により発症頻度が異なる(表1).

5. 月経前症候群

著者: 南佐和子

ページ範囲:P.472 - P.475

1 はじめに

 1931年にFrankらにより月経前緊張症として精神症状を主体とする病態が報告されたが,近年では身体症状も合わせて月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)として把握するほうが理解されやすい.日本産科婦人科学会用語解説集1)では,月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)は,「月経前3~10日の間に続く精神的あるいは身体的症状で,月経発来とともに減退ないし消失するもの」と定義されている.一方,月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder : PMDD)はPMSの2~9%にみられる重症型で精神症状が中心となる.

6. 機能性子宮出血

著者: 金崎春彦 ,   宮崎康二

ページ範囲:P.477 - P.481

1 はじめに

 機能性子宮出血(dysfunctional uterine bleeding)は局所性または全身性の原因が同定できない子宮からの出血であり,一般的には子宮内膜からの出血のうち月経と器質性出血を除外したものとされている(図1).もちろん妊娠に伴う出血も除外されなければならない.機能性子宮出血は思春期や更年期といった女性のライフサイクルにおける内分泌環境の急激な変化に伴い生じることが多く,幼年期や老年期には比較的少ない.不正性器出血の診断を行う場合は,機能性子宮出血を含めて各年齢別の高頻度原因を常に念頭に置いて診断を勧める必要がある(表1)1).悪性腫瘍などの器質的疾患,血液疾患による出血性素因を適切に除外したうえで,それぞれの時期における内分泌動態,背景に留意しつつ,不正出血の診断と治療について考えていく必要がある.

IV 不妊・避妊・不育症外来

1. 不妊症の検査

著者: 田村博史 ,   杉野法広

ページ範囲:P.483 - P.487

1 はじめに

 不妊症の原因は多岐にわたり,必ずしも単一の原因とは限らず,複数の原因を有する場合も多い(表1).大きく捉えると,卵胞発育や排卵があるか,卵管の通過性はどうか,子宮の形態異常はないか,ホルモン異常はないか,精子に異常はないかということになる.不妊原因を特定し治療法を決定するために検査を行うが,最低限の必須項目として1次検査(スクリーニング検査)を実施し,異常がみつかった場合に必要に応じて2次検査を実施する(表2).また,各不妊症検査は,月経周期のなかで適切な時期に施行する必要がある.月経中の卵胞期初期には基礎ホルモン値の測定,LH─RH負荷試験,TRH負荷試験が,月経終了後の卵胞期中期にはHSGや通水・通気検査が,排卵周辺期には超音波検査,血中ホルモン値(エストラジオール,LHなど)測定,頸管粘液検査,性交後試験(フーナーテスト)が,黄体期初期には超音波検査による排卵確認が,黄体期中期には血中プロゲステロン値測定,子宮内膜日付診がある(図1).

 本稿では,不妊症検査の中心的役割を有する超音波検査法および不妊原因因子別に必要な検査項目を挙げ,その概要を示す.

2. 排卵障害

著者: 伊藤理廣

ページ範囲:P.489 - P.493

1 病因・病態

 正常な月経周期は間脳─脳下垂体─卵巣というホルモン産生器官の一連のホルモンのダイナミックな働きにより卵巣から排卵が起き,子宮からは月経が定期的に起こる.すなわち,正常な月経周期のためには確実な排卵が必要である.排卵障害の原因はさまざまだが,受診の動機としては結婚して挙児希望を持つまでは,無月経あるいは月経異常として受診し,結婚後は不妊症として受診する場合が多い.

 月経周期異常は基礎体温表をもとに次の4つの種類に分類される(図1).すなわち,(1)持続性無排卵周期症 : 排卵がまったくなく,出血のみある場合,(2)散発性無排卵周期症 : 基本的には排卵があるが,ときどき排卵が行われない場合,(3)黄体機能不全症 : 高温相が9日以内や,高温相の形が不整形,(4)排卵性周期不整症 : 排卵までの日数が変動する場合,である.

3. 子宮・卵管の器質的異常

著者: 和泉俊一郎 ,   呉屋憲一 ,   鈴木隆弘

ページ範囲:P.494 - P.499

1 不妊症における子宮因子と卵管因子とは

 生殖において,子宮および卵管が重要な役割を担っていることは万人の認めるところである.発生学的にも同一のミュラー氏管由来であり1),その役割も連続的であるが,その機能を表1に要約した.まず生殖の初期の段階で,精子は腟から卵管へ移動することが必要である.その際,子宮は単なる通り道としてではなく,腟円蓋部を頸管粘液で覆い,精子を子宮頸管内へ誘導し,精子の「旅」をサポートしている.精子は,子宮内膜の子宮内液を通過後,卵管の線毛を遡上して,卵管内膜から卵管内液の種々の物質を介してサポートされ,受精能を獲得する.排卵された成熟卵は,卵管采が捕捉し,卵管膨大部で受精する.受精卵は,卵管を子宮に向かって輸送されながら卵割を繰り返す.さらに子宮は,卵管から到来した接合子(zygote)をその腔内に数日間保持したのち,最適条件に整えられた子宮内膜へ接合子を受け入れ,着床を完成させる.着床の後は,外界から胎芽/胎児(embryo/fetus)を保護し,分娩までの期間はその生育の場として機能する.以上の機能に起因する不妊症であれば,子宮性または卵管性不妊ということになる.したがって,これらの機能を総合的に評価するために,表2に列記した検査が施行される.不妊症の系統的ルーチン検査については別項で解説されているが,そのなかで表2に列記されたものが本稿の主題に関連する検査である.

 また本稿は,表2の検査から明らかとなった子宮および卵管の器質的疾患の不妊症としての病因・病態,診断,治療について解説がすることが趣旨である.すなわち,例えば黄体機能不全で代表される子宮(内膜)の機能異常については,子宮性不妊というよりもむしろ内分泌異常として取り扱われることが一般的である.したがって本稿では,子宮および卵管の器質的疾患について焦点を絞り解説する.

4. 原因不明不妊

著者: 綾部琢哉

ページ範囲:P.501 - P.505

1 病因・病態

1. 不妊原因の考え方

 不妊症の検査のなかで,絶対的な不妊であると断定できるものは少ない.表1に挙げた例は,自然妊娠が期待できないものと考えてよいであろう.これ以外のさまざまな状況は,たとえ可能性は低くても,絶対に自然妊娠しないとはいいきれない.
 
したがって,検査により何らかの異常がみられても,それが絶対的なものでない限り,不妊原因の候補ではあるが一時保留しておき,その間,ほかの検査や治療を進めていくことになる.そして,ほかに原因が認められないか,あるいは何らかの治療をしてもなお妊娠に至らない場合,消去法により,保留にしていたものしか残らないという考え方をしていくことになる.

5. 男性不妊

著者: 柴原浩章 ,   小田切幸平 ,   高澤環志 ,   平野由紀 ,   鈴木達也 ,   鈴木光明

ページ範囲:P.507 - P.513

1 病因・病態

 不妊外来を訪れるカップルに占める男性不妊の頻度は40%~50%に上る.精液検査の結果,精液量・pH・精子濃度・精子運動率・精子正常形態率・抗精子抗体などがWHOによる基準値1)を下回る場合,さらに1~2回の再検査を行い,一度でもすべての項目に合格すれば男性因子なしと判定する.

 男性因子ありと判定した場合,精液所見不良となる原因を特定するため,以後は泌尿器科学的精査に委ねることになる.男性不妊症の原因はその病態により,表1に示すように造精機能障害,精路通過障害,副性器障害,性機能障害,免疫性不妊症,その他に分類できる.

6. 避妊法

著者: 田辺清男 ,   斉藤英子

ページ範囲:P.515 - P.519

1 はじめに

 世界では数多くの避妊法が用いられているが,現在日本で利用可能な避妊法には,近代的避妊法として経口避妊法,子宮内避妊器具,永久避妊法(卵管結紮,精管結紮など)などが,また古典的な避妊法としてはコンドーム,ペッサリー,殺精子剤,周期的禁欲法(オギノ式,リズム式,基礎体温法など),洗浄法,性交中絶法(腟外射精法)などがある.日本では圧倒的にコンドームが使用されているが,コンドーム以下の方法は古典的避妊法と呼ばれている通り,前近代的な方法といえる.なお,女性用コンドームは発売中止となり,また殺精子剤としては錠剤のみが現在利用可能である.

 本稿では,低用量経口避妊剤の種類と処方の考え方,子宮内避妊器具の種類,および緊急避妊法を中心として概説し,最後に避妊法の選択の実際に関して述べる.

7. 不育症の検査

著者: 竹下俊行

ページ範囲:P.521 - P.525

1 はじめに

 不育症の原因は多岐にわたる.そのため,原因検索にはスクリーニングによる網羅的な検査が必要となってくる.従来では原因不明とされていた症例でも徹底したスクリーニングにより何らかの異常が検出されることが多くなった.2003~2004年の日本産科婦人科学会生殖内分泌委員会に設置された「ヒト生殖のロス(習慣流産など)に対する臨床実態の調査」小委員会(齋藤滋小委員長)では,不育症のスクリーニングとして最適と考えられる検査項目の一覧を発表した(表1)1).1次スクリーニング項目と2次スクリーニング項目に分かれており,1次には不育症の原因病態として比較的検出頻度の高い項目が列挙されている.

 本稿では,日産婦生殖内分泌委員会が提案した検査項目を中心に概説する.

8. 不育症の治療

著者: 竹下俊行

ページ範囲:P.526 - P.529

1 はじめに

 「不育症の検査」の項目で述べたように,不育症の原因は多岐にわたる.したがって,治療も各原因病態に応じて行うようになる(表1).

V 思春期外来

1. 思春期早発・遅発

著者: 田坂慶一 ,   橋本香映 ,   清水彰子

ページ範囲:P.531 - P.535

1 はじめに

 思春期とは身体的に未熟な小児期から性的に成熟した成熟期への移行期間をいう.この時期は身長の著しい増加があるが,最も特徴的な変化は性徴の変化で,性機能の発現開始,すなわち乳房発育ならびに陰毛発生などの第二次性徴出現に始まり,初経を経て第二次性徴の完成と月経周期がほぼ順調になるまでの期間をいう.その期間はわが国の現状では7~8歳ごろから17~18歳ごろまでになる.

 思春期の身体的特徴は直接的,間接的に視床下部の成熟,生殖器への刺激,性ホルモンの分泌の結果として起こる.つまり,視床下部における性ホルモンに対する感受性の閾値が低下し,ゴナドトロピン,特にLH律動的分泌が夜に始まる.やがて昼間でもGnRHの律動的分泌が定着する.この作用を受けて,卵巣の卵胞が発育し,エストロゲン分泌地が増加する.増加したエストロゲンはやがて二次性徴を促し,初経を引き起こし,やがて視床下部─下垂体にポジティブ・フィードバックに作用しLHサージをもたらし,排卵性月経周期が確立する(図1).

2. 性器異常・奇形

著者: 長塚正晃

ページ範囲:P.536 - P.543

1 はじめに

 性分化異常の患者は一般外来ではきわめて稀であるが,産婦人科医は性分化メカニズムを十分に理解し,精神的ケアを含め診療に当たることが重要である.性分化異常が診断されるのは(胎児期)新生児期,思春期,性成熟期であり,一方,本特集は外来診療が中心であるが性分化についての知識は必要と考え,(1)外性器異常,(2)腟・子宮異常の代表的疾患について述べる.

3. 若年女性の体重変動に伴う月経異常とその背景

著者: 古谷健一 ,   今井加納子 ,   芝崎智子 ,   松田秀雄 ,   笹秀典 ,   牧村紀子

ページ範囲:P.545 - P.549

1 はじめに

 今日,社会的・家族的な背景を持つ摂食障害や過度のダイエットによる “やせ女性”が問題となっている.一方,食生活の欧米化や過食による “肥満女性”も存在する.このような若年女性の極端な体重異常は,無月経や不正出血などの月経異常の原因になるとともに生殖機能における障害も併発し,その後の骨密度低下や生活習慣病の原因として関心が寄せられている.

 本稿では,若年女性の体重変化と月経異常に関して自験例を交えて概説し,さらに最近関心の高いアディポサイトカインの成績を含めて考察したい.

VI 更年期・老年期外来

1. 更年期障害,婦人科心身症

著者: 後山尚久

ページ範囲:P.550 - P.557

1 はじめに

 女性診療においては,そのライフサイクルを考慮に入れなければならない.女性はそれぞれのライフステージで別々の顔を持って生活し,年代によってストレス要項がさまざまである.したがって,すべての年代で心身症と呼べる状況が観察される.心身症は「精神身体症」とも呼ばれ,この疾患概念は現実的なストレス環境への反応から生じる「現実心身症」と,通常のストレスと考えられるようなものでも,その受け止め方や対処の仕方に関して,個人それぞれの性格傾向や心理反応(すべてを悲観的に受け止める,自責の念が強い,完全主義,過剰適応など)の偏位に起因する「性格心身症」に大別される1).心身症は精神的ストレス,身体的ストレスと密接に関係した身体環境から生まれるが,非特異的な刺激によって起きる機能的な身体の“歪み”の原因がストレスと理解される.ストレッサーは物理的あるいは生理的因子としての職場,家庭,地域社会における問題がクローズアップされている.

 女性のライフステージにおいて最も心身症の発症に適した時代が更年期である.更年期世代の女性はストレスに包囲された環境にあり,不定愁訴発症女性の約7割が解決できない問題を抱えている.その要因は配偶者の生活態度や配偶者との対人関係,子供の生活に関する問題や将来への心配,高齢両親の介護が多くの部分を占めている2).更年期の心身症として治療対象となるものが更年期障害,あるいは更年期不定愁訴症候群である.本稿では,女性更年期障害の診療について心身症としての臨床的対応を含めて解説したい.

2. 外陰・腟異常

著者: 樋口毅 ,   水沼英樹

ページ範囲:P.558 - P.561

1 はじめに

 閉経を挟む前後約10年の期間が更年期と定義されるが,更年期を境として卵巣機能は低下し,エストロゲン産生は低下する.エストロゲンの低下によりホットフラッシュ,発汗異常などの典型的な更年期症状の発現を認めることが多いが,エストロゲン低下の影響は女性の体全身へ波及する.エストロゲン受容体を有する外陰,腟も例外ではなく,萎縮性変化が現れ,外陰や腟の掻痒,灼熱感,性器出血も含めた帯下異常,あるいは性交痛という訴えとして認められる.

 本稿では,更年期以降にみられる萎縮性外陰炎,腟炎を中心に述べる.

3. 性器脱,膀胱・直腸瘤,排尿障害

著者: 石河修 ,   角俊幸

ページ範囲:P.563 - P.573

1 はじめに

 近年,わが国における高齢化社会の進行は著しく,そのため性器脱や排尿障害といったいわゆる女性骨盤底医学(female urologyやurogynecologyとも称される)の領域の疾患は増加の傾向にある.これらの疾患は,生命には直接支障をきたさないものの,健康度やQOLを著しく低下させ,社会的な問題となっている.本稿のテーマは,「性器脱,膀胱・直腸瘤,排尿障害」であるが,性器脱,膀胱・直腸瘤はその成因から最近では「骨盤内臓器脱」と称されるようになっている.また,更年期・老年期女性の排尿障害(下部尿路症状)の大部分は「尿失禁」であるため,本稿ではこの2つについて解説する.

4. 女性内科的疾患 1) アルツハイマー病,認知症

著者: 大藏健義

ページ範囲:P.575 - P.579

1 はじめに

 更年期の女性では,40歳代後半からもの忘れを訴える頻度が増してくる.この時期のもの忘れは,大部分は正常の老化の範囲内にあるが,日常生活や社会的活動,あるいは職業的機能に支障をきたすようになると問題とされ,アルツハイマー病(Alzheimer's disease : AD)の初期と鑑別しなければならない.後述するように,ADの発症と閉経後のエストロゲン低下との関係が報告されている.ADは一度発症すると病状は確実に進行し,現在の治療薬では治癒させることは不可能である.したがって,できれば予防することが何よりも大切であるが,確実に予防する方法はない.しかし,閉経後早期にエストロゲン補充療法(ERT)またはホルモン補充療法(HRT)を行うことにより,ADの発症を半減できるという報告は数多くあり,その理論的根拠も十分に存在する1).このことについては後述する.

 ADを発症した場合には,早期に発見して早期に治療やケアを行うという観点から,更年期・閉経外来に従事している婦人科医にとっても,ADは重要な疾患であることはいうまでもない.したがって,ここではまずADの予防についてエストロゲンとのかかわりについて述べ,次いでADを発症したときの治療の実際についても言及する.

4. 女性内科的疾患 2) 高脂血症

著者: 若槻明彦

ページ範囲:P.580 - P.583

1 病因・病態

1. リポ蛋白代謝

 肝内で合成された超低密度リポ蛋白(VLDL)が血中に分泌され,中間密度リポ蛋白(IDL),低密度リポ蛋白(LDL)へと変換される.LDLは肝のLDL受容体から取り込まれ,血中濃度が維持されるが,血管壁内にも侵入する.高密度リポ蛋白(HDL)は肝や消化管から分泌されたり,VLDLからIDLへの異化過程でも産生される.血中にLDLが増加すると血管内皮下に取り込まれ,活性酸素に酸化変性される.マクロファージは酸化される前のLDLは認識しないが,酸化されたLDLのみを一方的に貪食後,最終的に破裂して泡沫細胞となり,粥状硬化に進展する.中性脂肪(TG)の増加はHDLコレステロール(HDL─C)を低下したり,LDLを超悪玉の小型粒子に変化させたり動脈硬化に促進的に作用する.一方,HDLは泡沫細胞内に存在するコレステロールを血管壁外に汲み出す脱泡沫作用を有し,粥状硬化の進展を抑制する.

 したがって,高脂血症とは血中にLDLコレステロール(LDL─C)やTGが増加した状態を指し,HDL─Cの低下も治療の対象となる.

4. 女性内科的疾患 3) 動脈硬化

著者: 大道正英

ページ範囲:P.585 - P.593

1 はじめに

 わが国の疾病構造は,生活習慣の欧米化や高齢化などにより大きく変化しつつある.現在,死因の第一位は悪性新生物であるが,第二位の心疾患と第三位の脳・血管疾患とを合計すると,悪性新生物を上回るようになった.つまり,脳・心・血管系の疾患による死亡が第一位であり,全死因の約3割を占める.脳・心・血管系の疾患には動脈硬化が存在し,その病態は動脈壁にコレステロールが沈着し,動脈壁の弾力性が失われ,血液の循環が悪くなるものである.すなわち,動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞という2大死因につながるので,これを予防できるかどうかがその後の人生を大きく左右する.

 動脈硬化による心・血管系疾患の発症は加齢とともに上昇する.その発症は女性と男性でやや異なり,男性では55歳以前の発症は女性の5~8倍で,女性では閉経前の発症はとても少ない.しかし,閉経後に急増して55歳以降は男性と同等の発症率となる1).これは閉経によるエストロゲンレベルの低下による心・血管系への保護作用の破綻がその大きな要因として考えられている.多くの疫学調査において,閉経後女性に対する女性ホルモン補充療法が動脈硬化による心筋梗塞の発症を約半分に低下させるとの報告がある2, 3).しかしながら,最近,心・血管疾患への一次予防を目的とした前方視的大規模無作為臨床試験であるWomen's Health Initiative(WHI)の結果より,ホルモン補充療法は大腿骨頸部骨折の発症を減少させることが確かめられたが,心・血管疾患のリスクを下げないことが明らかになった4, 5)

 動脈硬化症は症状を伴わないことが多く,その診断,予知,および発症予防は閉経後のquality of lifeの向上のために重要である.そこで本稿では,まずエストロゲンの血管への生理作用および作用機構を説明し,さらには超音波装置を用いた非侵襲的な動脈硬化病変の検索の紹介,最後にWHIの結果を踏まえた今後の心・血管疾患の対策を考察したい.

4. 女性内科的疾患 4) 骨粗鬆症

著者: 太田博明

ページ範囲:P.595 - P.599

1 骨粗鬆症の定義

 骨粗鬆症の明確な定義は,1993年に香港で開かれた世界骨粗鬆症会議にて,骨折がなくても診断が可能であることに初めてコンセンサス1)が得られ,1994年,WHO2)により「低骨量と骨の微細構造の劣化が特徴的で,その結果,骨の脆弱性が増加し,骨折を起こしやすい全身性の骨疾患」と採択された.簡単にいえば骨が病的に弱くなり,軽微な外力が加わっただけで骨折を起こしてしまう状態のことをいう.

 さらに,病態がより明らかにされたことにより,2000年にNIH(米国国立衛生研究所)コンセンサス会議3)において,骨質の劣化に関して具体的な定義が呈示された.すなわち,「骨粗鬆症とは骨密度が著明に低下し,骨折リスクが増大する骨疾患であり,骨強度とは骨密度と骨質の両側面を総合的に反映して現れるものである」と採択された.主な変更点は,骨強度は骨密度だけでなく,骨質にも影響されると明記されたことである.この骨質を規定するものとして,図1が提唱されている.

4. 女性内科的疾患 5) 更年期と肥満や体脂肪分布異常

著者: 堂地勉 ,   簗詰友美

ページ範囲:P.600 - P.603

1 はじめに

 肥満が高血圧症,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症などの内分泌・代謝異常や生活習慣病を伴いやすいことはよく知られている.しかし,肥満の程度とこれらの異常の発生頻度や重症度は必ずしも相関しない.肥満が体脂肪組織の過剰な蓄積であると定義すれば,その蓄積量の多寡(肥満度)よりも蓄積部位の異常(体脂肪分布の異常)がさまざまの内分泌・代謝異常と関連して重要であることが明らかになりつつある.上半身型体脂肪分布は内臓(腸間膜や大網)に脂肪が過剰に蓄積し,下半身型体脂肪分布に比較して月経異常,高脂血症,糖尿病および高血圧症が多い1, 2).上半身型体脂肪分布と関連する高脂血症,高血圧症および糖尿病などの内分泌・代謝異常は,インスリン抵抗性(インスリンに対する感受性の低下)を共通の基盤として病因論的に密接に関連する疾患として認識されるようになっている.体脂肪分布異常と肥満は類似するが,厳密には異なる.欧米では肥満をgeneralized obesity(あるいはoverall adiposity),体脂肪分布異常をabnormal body fat distributionとして明確に区別している.

 中年太りという言葉があるように,更年期(中高年)は,思春期や産褥期と並んで女性が肥満になりやすい時期である.これらの時期はいずれも内分泌環境が大きく変化する時期である.しかし,肥満の成因には内分泌環境の変化だけではなくストレスも関与する.ここでは,更年期と肥満や体脂肪分布異常について概説する.

VII 乳腺外来

1. 乳がん検診の進め方

著者: 永井宏 ,   永井堅

ページ範囲:P.604 - P.609

1 はじめに

 2003年8月24日の乳がん見落としの記事に端を発した朝日新聞キャンペーン効果は,乳がん検診のあり方に論を賑わし大きな波紋を及ぼした.それを受けて検診の体制の見直しが急務となり,対がん戦略の基本となる「がん」検診について,厚生労働省では2003年12月に「がん検診に関する検討会」を老人保健局に設け,「がん」の分野での予防と医療の専門家を11名委員に任命し,2004年の3月までに6回にわたって検討会を開催した.そして,これまでに市町村で行われてきたがん検診のあり方を巡って,さまざまな問題点の指摘を行い,その結果,「乳がん」と「子宮がん」における検診のあり方を見直す目的で,中間報告という形で報告書を厚生労働省に提出した.

 本稿においては,現在までの産婦人科医の取り組みと,今後の乳がん検診参加への対応について述べる.

2. マンモグラフィ,超音波検査

著者: 藤野久仁子 ,   榎本智子 ,   植木實

ページ範囲:P.611 - P.615

1 はじめに

 乳房は主に乳腺組織と脂肪によって構成されており,年齢,月経周期,妊娠,閉経,ホルモン補充療法などによって変化するreproductive organsの1つである.女性のトータルケアが求められる産婦人科医にとって,このようにさまざまに変化する乳腺に関する知識は十分に必要である.乳癌を含めた乳腺疾患のスクリーニングを行うためには,視触診とともに乳腺の画像診断法の中心であるマンモグラフィ,超音波検査手技を取得することは大切であると思われるので,以下に両者の検査法と特徴について述べる.

3. 乳腺外科医へ紹介するポイント

著者: 谷内麻子 ,   石塚文平

ページ範囲:P.617 - P.621

1 はじめに

 乳房の癌検診を希望して,あるいは乳房の腫瘤触知,疼痛,乳汁分泌などを主訴として女性診療科を受診する患者は少なくない.女性に多い代表的乳腺疾患として,乳腺症,線維腺腫,乳癌が挙げられる.好発年齢は線維腺腫が20~40歳代,乳腺症は30~50歳代と比較的若年である.乳癌は40~50歳に発症のピークがあり,わが国においてその罹患率,死亡率ともに近年増加傾向にある.2004年3月,厚生労働省のがん検診に関する検討会は,老人保健事業に基づく乳がん検診の見直しを行い,マンモグラフィによる検診を原則とし,検診対象年齢は40歳以上,検診間隔は2年に一度と改訂した.

 このような社会的な動きのなかで,外来診療に当たる医師としては,乳房に関する何らかの主訴を持って外来受診する患者のなかから,乳癌の早期発見・早期治療に努めなくてはならない.マンモグラフィの有用性は誰しもが認めるところであるが,外来には何らかの症状を訴えて来院する患者が多いため,初診時には問診および乳房の視診・触診によるスクリーニングが基本となる.Cochraneら1)は,専門医に紹介すべき所見として表1のような基準を提唱している.診療に当たっては,乳癌との鑑別を常に念頭に置き,必要があれば速やかに乳腺外科に紹介し,生検などの精密検査による診断,およびその後の加療を依頼することが重要である.

4. 乳腺腫瘤の鑑別

著者: 大野真司

ページ範囲:P.622 - P.625

1 検査対象と目的

 腫瘤に対して迅速かつ適切な診断の流れのなかで正しい診断を行うためには,視触診の基本的手技を体得するとともに,腫瘤を形成する疾患の知識を身につけておくことが大切となる.本稿では,乳腺腫瘤の診断の進め方と鑑別点,各疾患の特徴について概説する.

2 検査の進め方と評価

 いかに画像診断や生検技術が進歩したとはいえ,視触診が診察の第一歩であることに変わりはなく,初診時の視触診によりある程度の診断をつけて,その後の検査計画が方向づけられる(図1).主な画像検査はマンモグラフィと乳房超音波検査であるため,別項を参照していただきたい.

5. 乳癌治療の最新情報

著者: 福富隆志

ページ範囲:P.626 - P.629

1 はじめに

 本稿は近年著しい進歩を遂げた乳癌診療の実際について,新しい話題に最新のデータ(evidence)を取り入れて記述するように心掛けた.乳癌は,従来,日本には比較的少ないがんであったが,近年の乳癌の増加は微増というより激増といってよいものである.近年,「日本乳癌学会」により,「乳癌診療ガイドライン」,また検診に当たる医師のために「マンモグラフィのcategory分類」などの書物も出版され,現時点での標準医療が記載されている.しかし,これらによって医療が硬直化し,その進歩が阻害されることは避けねばならない.本稿では,こうした新たなる蹉跌を乗り越えていこうとする試みが述べられている.

VIII 感染症外来

1. 腟・外陰炎

著者: 京哲 ,   尾崎聡

ページ範囲:P.631 - P.633

1 はじめに

 腟炎,外陰炎は互いに合併することが多いため外陰腟炎として扱われることが多い.代表的なものとしてカンジダ腟炎,トリコモナス腟炎,非特異性腟炎がある.診断のために重要なことは,外陰,腟の洗浄を先行させないこと,帯下が感染以外の原因,特に子宮頸癌,子宮内膜癌などの悪性腫瘍に起因する場合があることを忘れてはならない.

2. 子宮頸管炎

著者: 京哲

ページ範囲:P.635 - P.637

1 はじめに

 厳密には子宮頸管炎(cervititis)は,子宮頸内膜の炎症と定義されている.しかし,実際の日常診療においてわれわれが子宮頸管炎と認識している病態は頸管内膜の炎症というよりはむしろ子宮頸部の炎症である.したがって本稿では,子宮頸管炎を子宮頸部の炎症病変として解説する.

3. 子宮内膜炎,子宮傍結合織炎

著者: 進伸幸 ,   青木大輔

ページ範囲:P.639 - P.641

1 子宮内膜炎

1. 病因と病態

 子宮内膜の炎症である.一般に成熟女性では,頸管粘液の存在と月経周期に伴う内膜の剥脱と再生のため,外科的処置を受けた場合や,何らかの免疫抑制状態でなければ感染症は惹起されにくい.逆に,定期的な内膜剥離がない閉経後の場合や,子宮口が開いていて上行感染が生じやすい場合,子宮口が閉じていて分泌物が貯留しやすい場合などは,内膜炎が生じやすい.

 1) 産褥性

 胎盤,卵膜の遺残,また分娩後の子宮内処置が誘因となる.分娩後や流産後は,子宮内腔の処置が行われ,月経周期の回復までは時間がかかり,また子宮口が開いているので,腟からの上行性感染が起こりやすい.外陰,腟からの上行性感染の原因菌としては,連鎖球菌,ブドウ球菌,大腸菌,腸球菌,嫌気性菌などが挙げられる.

4. 付属器炎,骨盤腹膜炎

著者: 吉村秀一郎 ,   石丸忠之

ページ範囲:P.642 - P.647

1 はじめに

 女性の骨盤内炎症性疾患をpelvic inflammatory disease(PID)といい,以前は付属器炎,骨盤腹膜炎,卵巣炎などという言葉が使われていた.付属器炎・骨盤腹膜炎は,女性上部生殖器の感染症であるが,原因の大半は下部生殖器からの病原微生物の上行感染である.通常,子宮内感染(子宮内膜炎,筋層炎,傍結合織炎)→子宮付属器炎→骨盤腹膜炎の順に進行していくので,個々の疾患を区別するのは困難なため,骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease : PID)として一括する.

5. 膀胱炎と尿路感染症

著者: 中田真木

ページ範囲:P.649 - P.653

1 膀胱炎とは

 膀胱炎の典型的な臨床像は,排尿時に疼痛や苦痛(dysuria)があり,排尿を終えても尿意が収まらず何度も排尿を繰り返し,排出した尿は細菌の増殖と多数の白血球の混入のために混濁し,粘膜面からの出血を混じてしばしば血尿となる急性炎症の経過である.膀胱炎は,性活動期から中高年層までの広い年齢層の女性に多数みられ,その大半で,外尿道口の開く腟前庭から膀胱へ入り込んで増殖したE.coli, Enterococcusなど,腸管由来の細菌が起炎菌となっている.

 女性の尿道は長さが約4 cmと短く,蓄尿相には外尿道口から尿道内へ細菌が侵入しやすい.排尿の際には,尿道内腔は尿の流れによって洗い流され尿道内に入り込んだ細菌は再び押し戻される.腟と前庭部の清潔度の低下,脱水に伴う排尿量や排尿回数の減少,閉塞性排尿などがあると,排尿時に尿道内腔の洗い流し効果は不十分になり,膀胱炎を起こしやすくなる.

6. 性感染症

著者: 野口昌良

ページ範囲:P.654 - P.657

1 クラミジア・トラコマティス感染症

1. 病因・病態

 クラミジア・トラコマティスの感染によって発症する.感染は性行為により成立する.性器のみならず,性交渉の状況により肛門内,咽頭にも感染が起きる.とりわけ女性の場合は,尿道炎を主体とする男性と異なり,子宮頸管に初感染したものが上行性に子宮から卵管を経由して容易に腹腔内に侵入し,子宮付属器炎や骨盤腹膜炎を発症し,さらに上腹部に及べば劇症の肝臓周囲炎を発症する.

 妊婦に感染すると流早産を誘発するだけではなく,分娩時に産道感染が成立しやすく,新生児結膜炎や新生児肺炎発症の原因となる(図1).

IX 付録

1. インフォームド・コンセント

著者: 野末悦子

ページ範囲:P.658 - P.663

1 はじめに

 今ではインフォームド・コンセントという言葉は医療関係者だけでなく,外来を受診するほとんどすべての人が知っているが,はじめてこの言葉が用いられたのは,アメリカの医療事故の裁判のときで,1950年代のことだといわれている1).その後,患者の知る権利や,治療の自己決定権が常識的なこととして捉えられるようになり,この問題はさらに一般的になってきている2).スタートが裁判事件だっただけに,医師が身を護るために必要であると捉えられている部分もなきにしもあらずであるが,一番大切なことは,治療法を選ぼうとしたときに,患者の立場に立ち,それぞれの患者の理解度に応じて十分な説明を行い,医師と患者の双方が納得したうえで治療を開始することができるように努めることであり,インフォームド・コンセントの本来のあるべき姿であろう.

 本稿では,具体的に,それぞれの訴えで来院した場合のインフォームド・コンセントについて考えてみたい(表1).

2. 婦人科診療に重要な検査とその正常値

著者: 後藤清美 ,   吉松淳 ,   楢原久司

ページ範囲:P.664 - P.667

1 血清脂質

 エストロゲンは血中総コレステロールの低下作用を有する.更年期女性では,閉経を迎えることによりトリグリセライドを含む血中脂質の上昇,すなわち高コレステロール血症の頻度が増大し,粥状動脈硬化を起こし心疾患の原因となる.

 血清脂質,特にトリグリセライドは食事によって摂取される脂肪であり,食後や長時間の空腹状態によって上昇することが知られており,早朝空腹時採血が推奨されている.

3. 保険診療の手引き

著者: 秋山敏夫

ページ範囲:P.668 - P.673

1 はじめに

 近年,「小さな政府」の掛け声とともに,国民医療費の増大による政府財政の圧迫が叫ばれ,医療環境は疾病の治療のみならず保険制度の抜本的改革まで問題が山積している.

 保険診療は各種法令と診療報酬点数表および厚生労働省の各種通知によって定められている(保険診療は約束にしたがった契約診療).この契約診療は,法律的に,対価を得て一定の事務を遂行する「準委任契約」(民法第656条)の一種とされている.なお,契約当事者は病院開設者と患者である1).これにより,手術や処置,検査,薬剤の用法・用量・投与期間には制限がある.

1. 保険給付の対象

 医師が診療の必要があると認める疾病や負傷であり,健康診断や予防医療,正常妊娠や正常分娩,人工妊娠中絶,美容医療などは給付の対象外となる.

2. 療養の範囲

 診療,薬剤や治療材料の支給,処置・手術,その他の治療,居宅の療養,病院や診療所への収容や看護の提供を旨とする.

3. 給付の期間

 転帰まで.ただし,退職後の継続療養は診療開始日より5年間である.

4. 現物給付と現金給付

 患者は医療機関から医療サービスの現物(療養や療養費の給付)を提供される(現物給付).このサービスの範囲は健康保険法などの法律で定められており,全国均一の価格が診療報酬体系により決められている.この代金は医療保険制度から審査支払機関を通して医療機関に支払われる.一方,保険証を提示せず自費で受診した場合などの療養費,出産手当金,分娩費,育児手当金は受給権のあるものが,一定の手続きにしたがって申請・請求することによって現金で支給される(現金給付).

5. 診療方針に関する法令

 1) 健康保険法

 前述の保険給付の対象,療養の範囲,期間に関し妥当,適切なものでなければならない.保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師は都道府県知事の登録を受けた医師である必要がある.この法律の43条には後述の保険医療養担当規則が定められており,保険医はこれを順守しなければならない.

 2) 医師法

 24条には「診療したときは,遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」とされており,診察者の氏名,主訴,既往歴,現病歴,検査や治療の内容,診断名,転帰などを記録する必要がある.管理者は,完結の日から5年間,この診療録(カルテ)の保存が義務付けられている.

 3) 保険医療養担当規則

 前述のように,保険診療は約束にしたがった契約診療である.保険医の診療方針では,12条に「保険医の診療は,一般に医師として診療の必要があると認められる疾病又は負傷に対して,適切な診断をもととし,患者の健康の保持増進上妥当適切に行なわなければならない」とされる.

 18条には「保険医は,特殊な療法又は新しい療法については,厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない」とされ,学術雑誌などに記載されるすべてが許可されるものではない.

 19条には「保険医は,厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し,又は処方してはならない」とされ,適応外使用が制限される.

 20条には医師の具体的方針が挙げられており,「健康診断は,療養の給付の対象として行ってはならない」「各種の検査は,診療上必要があると認められる場合に行う」「各種の検査は,研究の目的をもって行ってはならない」「投薬は,必要があると認められる場合に行う」「手術は,必要があると認められる場合に行う」「処置は必要の程度において行う」などに考慮し診療する必要がある.薬剤の使用に当たっては適応症,用法・用量,投与期間に制限があり,薬剤添付文書の確認が求められている.

 22条には「患者の診療を行った場合は,遅滞なく,定められた様式又はこれに準ずる様式の診療録に,診療に必要な事項を記載しなければならない」とされ,カルテの記載義務が定められている.

4. 汎用薬剤一覧

著者: 福岡恵理子 ,   杉山恵理花 ,   鈴木洋史

ページ範囲:P.674 - P.693

本稿では,婦人科領域の疾患に適応を持つ薬剤を中心に,婦人科で汎用される主な薬剤についてまとめた.大きく「抗生物質・抗菌薬」「抗真菌薬・抗ウイルス薬・抗寄生虫薬」「女性ホルモン剤」「女性ホルモンと男性ホルモンの合剤」「その他のホルモン剤」「抗癌剤」「抗悪性腫瘍療法補助薬」「造血薬」に分かれている.適応症は,婦人科領域に関連するもののみの記載とし,疾患により用法・用量が異なる薬剤は,婦人科領域疾患における用法・用量のみの記載とした.

連載 Estrogen Series 66

ホルモン療法に関する北米更年期学会の推薦

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.697 - P.699

Women's Health Initiative(WHI)は更年期後女性におけるホルモン療法(hormone therapy : HT)に関するランダムコントロール試験を行っていたが,その結果としてリスクの増大を認め,試験を中断したことは周知の事実である.それまでホルモン療法を推進してきた多くの産婦人科医は,そのような結果をどのように受け止めるべきかについて,いまや多少の混乱状態にある.ここでは,北米更年期学会(The North American Menopausal Society : NAMS)より出されたrecommendations1, 2)をご紹介したい.以下に,その要約示す.

 NAMSは,また,この分野に関する用語の統一を呼びかけている.用語の統一こそ正確なコミュニケーションの第一歩であるからである.HTには,周知のごとくestrogen therapy(ET)とestrogen plus progestin therapy(EPT)がある.文末を参照のこと.

病院めぐり

日本医科大学多摩永山病院

著者: 中井章人

ページ範囲:P.702 - P.702

日本医科大学多摩永山病院は,日本医科大学の附属病院として昭和52年に設立されました.産婦人科(現 女性診療科・産科)は設立当初から診療科の1つとして設置され,以来,29年間が経過しています.

 当院は,東京の中心から多摩川沿いに西へ約30 km離れた多摩ニュータウンに位置します.このニュータウン計画は,面積3,000 haに居住者およそ30万人を目標に約30年前に始まったものです.しかし,都内(23区)に比較し医療施設が少なく,特に周産期部門ではさまざまな問題を抱えた地区ということができます.周産期統計によれば,東京都の出生率,出生数は減少傾向にあり,合計特殊出生率は一昨年,過去最低を記録しています.しかし,群部を含めた多摩地区では,東京都全域の3分の1にあたる約3万3千の年間出生数があり,出生率も東京都の平均を上回る水準で,この数字は過去15年間減少することなく推移しています.この出生数の推移に対し,多摩地区において分娩を取り扱う産婦人科施設と医師数は減少の一途をたどり,産婦人科医師数は東京都全域で1,000分娩当たり約15名であるのに対し,多摩地区では約7名と,その半数にも満たない状況にあります.

国立病院機構九州医療センター

著者: 久保紀夫

ページ範囲:P.703 - P.703

<歴史>

 国立病院九州医療センターは,厚生省から21世紀に向けて国立医療機関にふさわしい機構の強化をはかるため,また国立医療機関としての役割分担を明確にするため策定した再編成計画の昭和61年度着手分の1つとして,国立福岡中央病院と国立久留米病院を統合し高度総合医療施設として平成6年7月1日に開設されました.九州全域を診療圏とする高度先駆的医療,難病の専門医療,循環器疾患を主とする高度救急医療と高度周産期医療を主たる診療機能として開院しましたが,平成11年3月には政策医療推進計画において高度総合医療施設に位置付けられました.

 現在では循環器病,がん,血液・造血器疾患,肝疾患,成育,免疫異常疾患,内分泌・代謝疾患,腎疾患,感覚器疾患,精神科疾患など10の政策医療分野の専門医療施設として,またエイズ,災害時の九州ブロック拠点病院として診療,臨床研究,教育・研修の3の柱に情報発信という機能を加え,多様な医療ニーズに応じています.平成16年4月には独立行政法人となり,さらなる経営改善を推進のうえ経営基盤を確立し,再編成計画の見直しによって位置づけられた機能を果たすべく飛躍を目指しています.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

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今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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