文献詳細
連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・11
文献概要
症 例
患 者 : 30歳代前半の女性(中国人)
既往歴 : 帝王切開2回
現病歴 : 最終月経は7月30日から5日間.9月5日,市販の妊娠反応検査で陽性.9月15日から不正性器出血を認め,9月16日に当科初診となった(最終月経から換算して妊娠6週6日).
妊娠反応は陽性であった.やや多めの性器出血がみられ,子宮内膜の肥厚を認めたが,胎嚢は確認できなかった.進行流産の診断にて子宮内膜除去術を行い帰宅とした.2週間後の再診を指示したが来院せず,10月11日(妊娠10週3日)に性器出血にて来院した.妊娠反応は陽性であった.経腟超音波にて帝王切開瘢痕部に胎盤様のエコー像を認めた(図1).
以上より,通常の流産もしくは帝王切開瘢痕部妊娠(以下,瘢痕部妊娠)が疑われ,入院管理が必要であることを説明した.しかし,満床であり,出血もそれほど多くなかったため,その日は帰宅としてベッドが空き次第連絡することとした.翌日,本人より,母国である中国で治療を受けたいとの強い申し出があった.移動中の出血の危険性を十分に説明したうえで,紹介状を渡した.
患 者 : 30歳代前半の女性(中国人)
既往歴 : 帝王切開2回
現病歴 : 最終月経は7月30日から5日間.9月5日,市販の妊娠反応検査で陽性.9月15日から不正性器出血を認め,9月16日に当科初診となった(最終月経から換算して妊娠6週6日).
妊娠反応は陽性であった.やや多めの性器出血がみられ,子宮内膜の肥厚を認めたが,胎嚢は確認できなかった.進行流産の診断にて子宮内膜除去術を行い帰宅とした.2週間後の再診を指示したが来院せず,10月11日(妊娠10週3日)に性器出血にて来院した.妊娠反応は陽性であった.経腟超音波にて帝王切開瘢痕部に胎盤様のエコー像を認めた(図1).
以上より,通常の流産もしくは帝王切開瘢痕部妊娠(以下,瘢痕部妊娠)が疑われ,入院管理が必要であることを説明した.しかし,満床であり,出血もそれほど多くなかったため,その日は帰宅としてベッドが空き次第連絡することとした.翌日,本人より,母国である中国で治療を受けたいとの強い申し出があった.移動中の出血の危険性を十分に説明したうえで,紹介状を渡した.
参考文献
1)矢嶋 聰 : TEXT産科学.pp44─46,南山堂,1994
2)Godin PA, Bassil S, Donnez J : An ectopic pregnancy developing in a previous caesarean section scar. Fertil Steril 67 : 398─400, 1997
3)赤平純一,芳賀 勇,鈴木俊明,他 : 帝王切開瘢痕部妊娠の1例.産と婦66 : 1822─1825, 1999
4)齋藤さやか,横溝 玲,田村充利,他 : MTX療法が有効であった頸管妊娠,帝切後瘢痕部妊娠の2例.仙台市立病院医誌23 : 73─77, 2003
5)板倉敦夫 : 頸管妊娠の子宮動脈塞栓術.臨産婦55 : 1034─1036, 2001
掲載誌情報