文献詳細
連載 イラストレイテッド産婦人科小手術・9
文献概要
1 はじめに
子宮頸管ポリープは,日常の婦人科診療でしばしば経験される疾患であるが,通常は外来で切除治療がなされ,組織学的にはほとんどが良性である.
子宮頸管ポリープ1)は,頸管粘膜が限局性に増殖した有茎性で表面平滑,深紅色な小腫瘤で,1~数個発生することもある.外子宮口より露出し,接触により容易に出血する.ごく稀に癌肉腫などの悪性病変が合併することがあるため,切除時には病理組織学的検索が望ましいと考えられる2).
筋腫分娩1)は,粘膜下筋腫が有茎ポリープ状となって子宮腔内に懸垂し,茎が延長することによって筋腫結節は子宮頸管を通り,外子宮口から腟内に脱出した状態をいう.陣痛様の疼痛と出血を伴うことから上記のように称されている.壊死を起こしていなければ弾性硬の腫瘤である.ときに日常診療で遭遇する疾患であるが,もともと貧血を有している例も多く,出血が持続する例では輸血や緊急手術が必要となる場合があるので侮れない.特に茎が太い場合には切除によって思わぬ出血をみることがあるので,術前にMRI,カラードプラなどで茎の太さ,血流の状態を可能な範囲で検討することが望ましいと考える.
治療法は子宮全摘術,捻除術,切除術があるが,今回は捻除術,切除術について述べさせていただく.捻除術は難しさもなく簡便であり,可及的もしくは緊急時に対応でき,子宮鏡下切除術は直視下で切除,止血が可能であり,それぞれの状況に合わせての選択が望ましい.
本稿では,われわれが日常に行っている切除術について述べてみたい.
子宮頸管ポリープは,日常の婦人科診療でしばしば経験される疾患であるが,通常は外来で切除治療がなされ,組織学的にはほとんどが良性である.
子宮頸管ポリープ1)は,頸管粘膜が限局性に増殖した有茎性で表面平滑,深紅色な小腫瘤で,1~数個発生することもある.外子宮口より露出し,接触により容易に出血する.ごく稀に癌肉腫などの悪性病変が合併することがあるため,切除時には病理組織学的検索が望ましいと考えられる2).
筋腫分娩1)は,粘膜下筋腫が有茎ポリープ状となって子宮腔内に懸垂し,茎が延長することによって筋腫結節は子宮頸管を通り,外子宮口から腟内に脱出した状態をいう.陣痛様の疼痛と出血を伴うことから上記のように称されている.壊死を起こしていなければ弾性硬の腫瘤である.ときに日常診療で遭遇する疾患であるが,もともと貧血を有している例も多く,出血が持続する例では輸血や緊急手術が必要となる場合があるので侮れない.特に茎が太い場合には切除によって思わぬ出血をみることがあるので,術前にMRI,カラードプラなどで茎の太さ,血流の状態を可能な範囲で検討することが望ましいと考える.
治療法は子宮全摘術,捻除術,切除術があるが,今回は捻除術,切除術について述べさせていただく.捻除術は難しさもなく簡便であり,可及的もしくは緊急時に対応でき,子宮鏡下切除術は直視下で切除,止血が可能であり,それぞれの状況に合わせての選択が望ましい.
本稿では,われわれが日常に行っている切除術について述べてみたい.
参考文献
1)杉山陽一,他 : 7章 子宮の疾患.婦人科学.改訂8版.pp170─171,pp183─197,金芳堂,1991
2)深谷 暁 : 子宮頸管ポリープに発生した扁平上皮内癌の1例.産婦人科治療81 : 725─728,2000
3)宮内彰人 : 妊娠・診察 初期から中期 子宮頸管ポリープ合併例の切除は有益か?周産期医学34 : 74─75,2004
4)福田耕一 :子宮頸管ポリープ切除の適否.産婦人科の実際50 : 293─298,2001
5)谷口晴記,一尾卓生 : 筋腫分娩に対する経腟的子宮筋腫捻除術.産婦人科手術のコツ(日本産婦人科手術学会).pp66─67,メジカルビュー,2001
6)小畑孝四郎,向林 学,梅本雅彦,他 : 初心者のための婦人科内視鏡手術8.子宮鏡下手術.産婦人科治療85 : 21─233,2002
7)林 保良,小野晃子,関 賢一 : 子宮鏡下手術.産婦人科治療81 : 511─516,2000
8)安藤正明,他 : TCR,内視鏡下手術.日本産婦人科医会研修ノートNo.71. pp99─105,2003
9)岩田嘉行,他 : 第3章 子宮鏡下手術.産婦人科内視鏡下手術(岩田嘉行編).pp145─199,南山堂,2001
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