文献詳細
連載 イラストレイテッド産婦人科小手術・10
文献概要
1 はじめに
2003年のアンケート調査から,日本国内では約600万人の女性が過多月経を自覚していると推計された(株式会社社会情報サービスより)1).
こうした女性たちは子宮筋腫,子宮腺筋症,子宮内膜増殖症,子宮内膜癌などの疾患と診断されることが多いが,鉄欠乏性貧血に陥りながらも器質的な疾患は認められないことも少なくない.全身状態不良などのハイリスクにより開腹手術が困難な症例,患者本人がどうしても子宮全摘出を受け入れられない症例,器質的な疾患がないために子宮全摘出を選択しづらいが過多月経や不正出血により支障が生じている症例に,低侵襲治療として子宮内膜破壊手術が行われるようになった.
欧米では特殊な子宮内膜破壊専用の器械(子宮内腔にフィットする高温蒸散バルーン型,扇状バイポーラ電極型,超高温還流液使用子宮鏡型など)を用いて,主に一般開業臨床医のもとで積極的に行われているようである.ただし,これらの器械は厚生労働省の輸入承認を得られていない本邦では,現実的に一般に普及することが難しい状況である1,2).
そこで,本邦の多くの臨床実地家はレゼクトスコープによる子宮鏡下手術の一環として子宮内膜破壊術を行っている.
2003年のアンケート調査から,日本国内では約600万人の女性が過多月経を自覚していると推計された(株式会社社会情報サービスより)1).
こうした女性たちは子宮筋腫,子宮腺筋症,子宮内膜増殖症,子宮内膜癌などの疾患と診断されることが多いが,鉄欠乏性貧血に陥りながらも器質的な疾患は認められないことも少なくない.全身状態不良などのハイリスクにより開腹手術が困難な症例,患者本人がどうしても子宮全摘出を受け入れられない症例,器質的な疾患がないために子宮全摘出を選択しづらいが過多月経や不正出血により支障が生じている症例に,低侵襲治療として子宮内膜破壊手術が行われるようになった.
欧米では特殊な子宮内膜破壊専用の器械(子宮内腔にフィットする高温蒸散バルーン型,扇状バイポーラ電極型,超高温還流液使用子宮鏡型など)を用いて,主に一般開業臨床医のもとで積極的に行われているようである.ただし,これらの器械は厚生労働省の輸入承認を得られていない本邦では,現実的に一般に普及することが難しい状況である1,2).
そこで,本邦の多くの臨床実地家はレゼクトスコープによる子宮鏡下手術の一環として子宮内膜破壊術を行っている.
参考文献
1)可世木久幸 : 機能性子宮出血(過多月経)に対する新しい治療法.臨婦産58 : 309─315,2004
2)Clark T J,et al : Outpatient thermal balloon ablation of the endometrium. Fertil Steril 82 : 1395─1401, 2004
3)日本産科婦人科内視鏡学会(編) : 産婦人科内視鏡下手術スキルアップ.メジカルビュー,2002
4)高瀬幸子,他 : 当科におけるレゼクトスコープ症例の検討.日産婦内視鏡学会誌13 : 73─78,1997
5)保坂 猛,他 : 当院における子宮鏡検査と子宮鏡下手術の現況.日産婦内視鏡学会誌15 : 97101─97105,1999
6)高瀬幸子,他 : 当科におけるレゼクトスコープ症例の検討.日産婦内視鏡学会誌15 : 97─100,1999
7)高瀬幸子,他 : 当科における子宮鏡下手術の現況.日産婦内視鏡学会誌20 : 74─78,2004
8)日本産婦人科医会 : 研修ノートNo.71. 内視鏡下手術,2003
9)Gervaise A, et al : Contraceptive information after endometorial ablation. Fertil Steril 84 : 1746─1747,2005
10) Sagiv R, et al : Endometrial carcinoma after endometrial resection for dysfunctional uterine bleeding. Obstet Gynecol 106 : 1174─1176,2005
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