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今月の臨床 婦人科がんを見逃さないために 婦人科がん早期診断の要点・問題点
1. 子宮頸部悪性腺腫を見逃さないために
著者: 梅咲直彦1 田中哲二1 田中和東1
所属機関: 1和歌山県立医科大学産婦人科
ページ範囲:P.1064 - P.1067
文献購入ページに移動Adenoma malignumはextremely well differentiated adenocarcinoma, minimal deviation adenocarcinomaとも呼ばれ,子宮頸部の高分化型腺腫の一亜型である.組織的には構造異型を伴う頸管腺が子宮頸部の深部まで浸潤像を示すものの,構成している細胞の異型性がきわめて乏しく,その結果細胞診などで異常を示すことが少なく診断に苦慮することが多い疾患である.また,子宮頸部腺癌の3%程度の発症頻度で,稀な疾患である.
その予後は加来1)の文献的考察では2年の無病生存率が31%に過ぎず,通常の子宮頸部腺癌に比較し不良と報告している.一方,Hiraiら2)は5年無病生存率は83%と報告し,従来予後不良とされてきたのは早期発見が困難なためで,早期例では予後は良好と報告しており,予後成績に関しては一致した見解が得られていない.
治療法としては広汎性子宮全摘術が行われる.また,臨床的特徴としてはPeutz─Jeghers syndrome(PJS)が約10%合併することが報告されている.
本稿では,子宮頸部悪性腺腫を見逃さないための診断法について記述する.
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