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連載 症例
術前診断で良性と判断し腹腔鏡下手術を施行した卵巣悪性腫瘍の2例
著者: 津田浩史1 西村貞子1 真鍋隆夫2 井上健3 裵英洙3 赤土みゆき2 康文豪1 深山雅人1 梶谷耕二1 伊庭敬子1 徳山治1 張良美1 山本浩子1 川村直樹1
所属機関: 1大阪市立総合医療センター婦人科 2大阪市立総合医療センター放射線科 3大阪市立総合医療センター病理部
ページ範囲:P.1127 - P.1131
文献購入ページに移動近年,内視鏡周辺機器や手術法の進歩により,従来開腹で実施されていた手術が腹腔鏡下にて施行されることが多くなった.その対象は多岐にわたるが,特に良性卵巣腫瘍は絶好の適応疾患になると考えられる.しかしながら,良性卵巣腫瘍の腹腔鏡下手術の実施に際しては,術前の良性・悪性の鑑別が非常に重要になる.被膜破綻を認めない初期卵巣悪性腫瘍に対して腹腔鏡下手術を実施した場合,被膜破綻による悪性細胞の腹腔内撒布を引き起こしかねず,初期卵巣悪性腫瘍に対しては禁忌とされている1,2).卵巣腫瘍の良性・悪性の鑑別は,腫瘍マーカーおよび画像診断(超音波断層法,MRI,CT)に基づいて実施されるが,初期病変の場合は必ずしも容易ではない.
今回われわれは,術前診断は良性であったにもかかわらず,境界悪性腫瘍および卵巣甲状腺癌と診断された症例を経験したので報告する.
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