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今月の臨床 PCOS─新たな視点 PCOSの診断と治療
2.基本的な治療の考え方
著者: 本田律生1 大場隆1 岡村均1
所属機関: 1熊本大学大学院医学薬学研究部先端生命医療科学部門成育再建・移植医学講座産科学分野
ページ範囲:P.1177 - P.1179
文献購入ページに移動多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS)は無月経や希発月経などの月経異常や不妊の原因であるばかりでなく,インスリン抵抗性や耐糖能異常,脂質代謝異常を伴うことが注目されている.2003年のロッテルダムでのPCOSに関するカンファレンスにおいても,PCOSは高アンドロゲンと多嚢胞性卵巣を伴った卵巣機能障害を示す症候群であり,臨床所見として月経異常,高アンドロゲン血症,肥満,インスリン抵抗性や高LH血症を伴い,2型糖尿病や心血管障害のリスクを高める病態であると理解されている1).日本における本症候群の診断基準では,アンドロゲン過剰の考え方は中心的なものではなく,またインスリン抵抗性の概念も取り入れられてはいない.近年,本症候群をインスリン抵抗性症候群の1つとして捉える見方があり,臨床症状の改善を目的にインスリン抵抗性改善薬の投与が行われ,その有用性の報告が多数なされている.
本稿では,PCOSの治療に対する基本的な考え方について,インスリン抵抗性への対応の考え方を中心に概説する.
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