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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻10号

2007年10月発行

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・26

腹膜炎様症状を呈し再手術を要した子宮内膜症術後出血の1例

著者: 古澤嘉明1

所属機関: 1亀田総合病院産婦人科

ページ範囲:P.1296 - P.1299

文献概要

症例

 患者:34歳,3経妊・3経産
 主訴:膀胱刺激症状,発熱
 既往歴:月経困難症にて入院歴あり.
 現病歴:月経困難症にて当科を受診した.内診,超音波およびMRI検査にて子宮内膜症,左卵巣チョコレート嚢腫と診断された.月経困難症はときに発熱,腹膜刺激症状を伴い非常に強く,Gn-RHアナログ製剤使用後に腹腔鏡下手術の方針となった.Gn-RHアナログ製剤(酢酸リュープロレリン)を4週間ごと,計6回投与後,腹腔鏡下左卵巣嚢腫摘出術を施行した.
 手術所見:左卵巣は約4cmに腫大し子宮広間膜後葉から仙骨子宮靱帯付近に強固に癒着し,チョコレート様内溶液が認められた.左付属器周囲の癒着はく離後,チョコレート嚢腫カプセルをはく離・摘出し,正常残存卵巣組織に数針の縫合・結紮を行い止血,形成した(図1a,b).手術時間は2時間7分,出血量は20ml,Re-AFS分類は25ポイントであった.
 術後経過:術後経過はおおむね順調であったが,術後4日目の退院時診察にて内診,超音波検査上,左付属器周囲に6cm大のlow echoic massを認め左卵巣周囲血腫と思われた.ダグラス窩,膀胱子宮窩に少量のecho free spaceを認めた.術後出血と考えられたが推定出血量は300ml以下と考えられ,また腹痛は軽度でありバイタルサインに変化がないため保存的に経過観察の方針とした(図2a,b).翌日,血液検査を再検したがHbの低下は認めず,退院,自宅安静の方針となった.
 退院翌日に38℃台の発熱,下腹痛,腰痛にて外来受診し,膀胱刺激症状も認められた.血液検査にて強い炎症徴候を認め,尿検査にて膿尿も認められたため,術後尿路感染疑いにて再入院となった.
 検査所見:WBC 10,600/ml,RBC 315/ml,Hb 9.5g/dl,Ht 29.1%,Plt 25.7/ml,CRP 12.51mg/dlであった.また,尿蛋白(-),尿糖(-),WBC 30~50/1視野,クラミジアトラコマティスIgG,IgAともに陰性であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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