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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻11号

2007年11月発行

今月の臨床 胎盤と臍帯の臨床

臍帯

3.捻転の異常

著者: 宇津正二1

所属機関: 1聖隷三方原病院産科

ページ範囲:P.1382 - P.1387

文献概要

はじめに

 子宮内の胎児にとって唯一の生命線である臍帯には,2本の臍帯動脈と1本の臍帯静脈がウォールトンジェリーに包まれながらほどよく捻れている.これは,母体からの酸素供給や栄養・代謝などの重要な循環経路である臍帯血管を保護するために被覆,補強の目的で備わっている天与の安全機構で,胎盤から胎児の臍輪部までをしっかりつないでいる.しかし,それでもなお,ときとして胎児と子宮壁の間で挟まれて圧迫されたり,屈曲,捻転,牽引というような偶発的な力によって臍帯血流障害が発生する例がある.健常胎児にとってはほとんどの場合は一過性の血流遮断で,病的な血流障害には至らず胎児異常発生の頻度は低いが,羊水過少や前期破水,絨毛膜羊膜炎,臍帯炎,切迫早産などの子宮内の病的状態に晒されている場合には,供給系唯一のライフラインである臍帯静脈の血流障害により胎児自身の発育を妨げたり,胎児脳にダメージを残したり,胎児の生命までも脅かすこともある.本特集の他稿でも詳しく述べられているが,実際の臨床で遭遇するさまざまな臍帯異常を表1に示した.

 これらの臍帯異常がすべて胎児異常に直結するわけではないが,本稿では子宮内胎児発育遅延(FGR)からしばしば子宮内胎児死亡(IUFD)にまで至る病的な臍帯過捻転の症例を臍帯異常の典型例と考え,その病態と診断,治療や予防対策などについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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