icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻12号

2007年12月発行

今月の臨床 不妊診療─現在の課題と将来展望

男性不妊症の治療―射精障害・勃起障害のストラテジー

著者: 岩本晃明1 松下知彦2

所属機関: 1国際医療福祉大学病院リプロダクションセンター男性不妊部門 2大船中央病院泌尿器科

ページ範囲:P.1471 - P.1477

文献概要

はじめに

 男性不妊症外来において勃起障害や射精障害(無精液症/精液減少症・逆行性射精)を訴える症例は必ずしも少なくない.平成10年に行われた旧厚生省厚生科学研究白井将文班1)によって行われた本邦での初の男性不妊症実態調査によれば,男性不妊症829例中勃起障害は172例(20.7%)を占め5人に1人ということになり,男性不妊の原因として重要な位置を占める.Sigmanら2)によれば,2,122例の男性不妊症の評価によって射精障害,EDを合わせても2.4%と低頻度であった.因みに筆者らの前任地聖マリアンナ医科大学病院の男性不妊外来の19年間の頻度は1,686例中73例(4.3%)であった.本稿では射精障害,勃起障害についてその原因と治療の戦略を解説する.

参考文献

1)永尾光一:男性不妊の実態及び治療等に関する研究〔矢内原巧(編):平成11年度厚生科学研究(子ども家庭総合事業)報告書〕.pp892-894,2000
2)Sigman M, Jarow JP:Male infertility. In:Campbell's Urology. 8th ed Vol2, Chapter43, p1487, Saunders, 2002
3)白井将文:射精のメカニズム 内分泌疾患・性機能障害.図説泌尿器科学講座4.pp225-226,メジカルビュー社,東京,1991
4)小谷俊一:射精障害-病態に応じた治療選択.泌尿器外科20:655-661,2007
5)Martina S, Martina F, Alcolea R, et al:Triplet pregnancy achieved through intracytoplasmic sperm injection with spermatozoa obtained by prostatic massage of a paraplegic patient:case report. Hum Reprod 14:1546-1548, 1999
6)岩本晃明,武村 宏,馬場克幸:ART時代における生殖医療の治療および手術.臨泌59:27-35,2005
7)Bennett CJ, Seager SW, McGuire EJ:Electroejaculation for recovery of semen after retroperitoneal lymph node dissection:case report. J Urol 137:513-515, 1987
8)山中幹基,上坂裕香,伊藤伸一郎,他:射精障害における三環系抗うつ薬アモキサピンの有効性の検討.日性機能学会誌21:255-260,2006
9)阿部輝夫:オルガスム相障害の治療法.セックスレスの精神医学.p182,筑摩書房,東京,2004
10)阿部輝夫:男性性機能障害カウンセリングの実際.臨床と薬物治療18:888-893,1999
11)岩本晃明,山川克典:男性性腺機能低下症の診断と治療.日本医事新報4315:153,2007
12)永尾光一,三浦陽一:性生活のカウンセリング.コメディカルARTマニュアル(森 崇英,久保春海,高橋克彦,編).pp305-309,永井書店,大阪,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら