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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻2号

2007年02月発行

文献概要

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・19

画像診断上,充実部分を認めない単房嚢胞性腫瘤を形成した子宮内膜症由来の卵巣明細胞腫瘍(境界悪性)の1例

著者: 木村薫1 鈴木昭久2 大坪眞紀3 本道隆明1 保倉宏1 花岡由里子1 佐近普子1 川口研二4

所属機関: 1JA長野厚生連篠ノ井総合病院産婦人科 2信州大学医学部産婦人科 3北里研究所病院産婦人科 4JA長野厚生連篠ノ井総合病院病理科

ページ範囲:P.195 - P.197

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症例

 患者:52歳,女性.閉経47歳,3経妊・3経産(結婚:21歳)

 主訴:下腹痛

 既往歴:高血圧,慢性腎炎,十二指腸潰瘍,狭心症(疑い)

 現病歴:1999年7月,下腹部の鈍痛が1か月以上続くため当科を受診した.初診時の内診所見では,下腹部正中線上に臍高に達する小児頭大の腫瘤を触知した.経腟エコーでは,単房性で充実部分を認めない111.3×111.6mmの,内部が均一でlow echoicな腫瘤を認めた(図1).MRI矢状断では,T2強調画像で高信号(図2),T1強調画像で低信号(図3)の130×110mmの単房性で充実部分を認めない腫瘤を認めた.CA 125は3U/ml,子宮腟部細胞診はclass Iであった.

参考文献

1)金澤浩二 : 婦人科腫瘍委員会報告-2002年度卵巣腫瘍患者年報.日産婦誌57 : 1022-1045,2005
2)赤松信雄 : 卵巣上皮性悪性腫瘍.臨婦産52 : 600-607,1998
3)佐藤賢一郎,水内英充 : 卵巣悪性腫瘍の超音波所見.臨婦産59 : 1505-1517,2005
4)鈴木光明 : 卵巣チョコレート嚢胞から発生した卵巣明細胞腺癌症例.臨婦産58 : 1459-1461,2004
5)Horiuchi A, Itoh K, Shimizu M, et al : Toward understanding the natural history of ovarian carcinoma development : a clinicopathological approach.Gynecol Oncol 88 : 309-317, 2003
6)落合和徳 : 卵巣良性腫瘍.臨婦産60 : 408-413,2006
7)鈴木光明(編著) : 産婦人科診療指針.p325,中外医学社,2005
8)山田陽子,福原正生,對馬彰利,他 : 卵巣腫瘍の術前診断の精度に関する検討.産婦の実際55 : 725-728,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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