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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション

ここが聞きたい105例の対処と処方 I 周産期

【つわり,妊娠悪阻】1.悪心,嘔吐などの症状がひどくなり,体重が5 kg以上減ってしまった妊婦です.

著者: 柳下正人1

所属機関: 1東京医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.347 - P.349

文献概要

1 診療の概説

 「つわり」とは,全妊婦の50~80%に認められ,妊娠5~6週ごろより,早朝の空腹時を中心に悪心・嘔吐・食欲不振などの消化器症状が出現し,通常は妊娠12~16週ごろに自然軽快する病態である.「妊娠悪阻」とは「つわり」が重症化し,食事摂取量不良と頻回の嘔吐による栄養障害のため,電解質バランスの異常,5%以上または5 kg以上の体重減少,ケトーシス,肝・腎・神経系など臓器障害をきたすものであり,全妊婦の0.1~0.35%程度に認められる 1)

 成因は今なお不明であるが,hCGの嘔吐作用,hCG上昇による甲状腺機能亢進,エストロゲンおよびプロゲステロン分泌亢進による消化管蠕動運動低下などの内分泌的要因,また精神医学的素因や母体の社会的環境変化への不適応などが関与していると考えられている 2)

参考文献

1) 丸尾 猛,武内享介 : 妊娠悪阻にまつわる諸問題.日産婦誌50 : 143-146,1998
2) Erick MS : Hyperolfaction and hyperemesis gravidarum : what is the relationship? Nutr Rev 53 : 289-295,1995
3) 北川道弘 : 悪心・嘔吐.産婦の実際44 : 1649-1652,1995
4) 河上祥一,本田賀裕,東矢俊光 : つわり,妊娠悪阻の漢方.産婦の世界50 : 211-219,1998
5) Hallak M, Tsalamandris K, Dombrowski MP, et al : Hyperemesis gravidarum. Effects on fetal outcome. J Reprod Med 41 : 871-874, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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