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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 I 周産期

【子宮頸管熟化不全】5.分娩誘発の目的で入院した子宮頸管熟化不全の妊婦です.

著者: 柳原敏宏1

所属機関: 1香川大学医学部周産期学婦人科学

ページ範囲:P.360 - P.361

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1 診察の概説

 子宮頸管熟化不全とは,正式な定義は存在しないが,臨床的な概念として,分娩時期に至っても子宮頸部における分娩準備が整ってない状態である.子宮頸部は妊娠初期から中期においては,子宮の増大と内圧の増加に対し,その硬度の維持と頸管長を保持することにより支持組織として正常の妊娠経過を支えている.子宮頸部の分娩の前段階とは,頸部の結合組織が軟化し伸展性を持ち,さらに子宮体部の収縮の増加と児頭の下降により頸部は挙上され,頸管の短縮(展退)と開大を起こすことをいう.子宮頸管熟化不全とは,これらの変化が欠如または遅延した状態を示す.子宮頸部が妊娠週数によって変化する現象についてさまざまな研究が行われており,子宮頸部は主に結合組織で形成されているが,好中球浸潤などにより,硬いI型コラーゲンが減少し,軟らかいIII型コラーゲンが主体になることも1つの要因とされている.

 診断基準も学会などによる正式なものは存在しないが,主にBishop scoreによって診断されている.妊娠37~38週で2点以下,妊娠39~40週で4点以下の場合には子宮頸管熟化不全が示唆され,有意に過期妊娠・遷延分娩が多いとされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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