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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション

ここが聞きたい105例の対処と処方 I 周産期

【子宮復古不全】6.出血量が多い子宮復古不全の妊婦です.

著者: 柳原敏宏1

所属機関: 1香川大学医学部周産期学婦人科学

ページ範囲:P.362 - P.363

文献概要

1 診察の概説

 子宮復古とは,妊娠により増大した子宮が非妊時へ復帰する過程を意味する.通常4~6週で子宮のサイズは非妊時に戻り,内膜機能も6~8週で回復する.この過程が障害されたものを子宮復古不全と呼ぶ.正常産褥における子宮サイズの変化は,産褥3日目で臍下3横指前後であり,7日目には恥骨結合上縁の高さとなる.約4週間で妊娠前のサイズに復帰する.悪露の正常産褥の経過は,赤色悪露が3日間,それ以後褐色悪露となり,2週間で黄色悪露,3週間で白色悪露となる.

 診断は,産褥の日数に比較して,大きく軟らかい子宮の触知と出血の持続(間欠的なものも含める),または血性悪露の持続と増加を認める場合に子宮復古不全とする.しかし,極端に悪露が少ない場合には帝王切開後などの子宮口早期閉鎖による異常の場合がありうる.また,子宮内感染が関与している場合には悪臭のある悪露を認める.原因は表1に示したが,最も多い原因は胎盤・卵膜片遺残である.また,子宮内感染の有無が重要であり,感染は子宮収縮を妨げる重要な要因であるうえに取り扱いも異なるため,注意が必要である.感染徴候がある場合には必ず治療開始前に子宮腔内の悪露培養を行い,起炎菌に対する抗生剤の感受性を確認する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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