文献詳細
今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方 I 周産期
文献概要
1 診療の概説
子宮筋腫合併妊娠は全妊娠の1.5~4.0%と考えられているが,日本においては妊娠分娩の高齢化に伴いその頻度は増加傾向にある.一般には子宮筋への胎盤付着部位下に3 cm径以上の筋腫が存在する場合,流早産,常位胎盤早期剥離の危険度が増加するとされ,筋腫核の位置,径によっては妊娠後期での胎位異常の頻度が増加する 1).また,産褥期には分娩後出血の増加や,変性を伴う筋腫核では感染を発症した場合,敗血症といった重篤な合併症を併発する危険性を伴う.
妊娠に伴う子宮筋腫の変化としては腫瘍径の増大がある.子宮筋腫自身はエストロゲン依存性腫瘍であるため,妊娠に伴い腫瘍径の増大が起こりうる.ただ,腫瘍径と妊娠中の変化を詳細に観察すると6 cm径以上の筋腫核は妊娠初期において80%が径の増大を示すのに対し,妊娠中期から後期では約80%で計の縮小もしくは変化なしとなることが観察されている.一方,3 cm径以下の筋腫核の場合は腫瘍径が増大するものは約40%であるものの,妊娠中期にも増大するものが30%程度ある 2).
子宮筋腫合併妊娠は全妊娠の1.5~4.0%と考えられているが,日本においては妊娠分娩の高齢化に伴いその頻度は増加傾向にある.一般には子宮筋への胎盤付着部位下に3 cm径以上の筋腫が存在する場合,流早産,常位胎盤早期剥離の危険度が増加するとされ,筋腫核の位置,径によっては妊娠後期での胎位異常の頻度が増加する 1).また,産褥期には分娩後出血の増加や,変性を伴う筋腫核では感染を発症した場合,敗血症といった重篤な合併症を併発する危険性を伴う.
妊娠に伴う子宮筋腫の変化としては腫瘍径の増大がある.子宮筋腫自身はエストロゲン依存性腫瘍であるため,妊娠に伴い腫瘍径の増大が起こりうる.ただ,腫瘍径と妊娠中の変化を詳細に観察すると6 cm径以上の筋腫核は妊娠初期において80%が径の増大を示すのに対し,妊娠中期から後期では約80%で計の縮小もしくは変化なしとなることが観察されている.一方,3 cm径以下の筋腫核の場合は腫瘍径が増大するものは約40%であるものの,妊娠中期にも増大するものが30%程度ある 2).
参考文献
1) Exacoustos C, Rosati P : Ultrasound diagnosis of uterine myoma and complication in pregnancy. Obstet Gynecol 82 : 79-101, 1993
2) Lev-Toaff AS, Coleman SG, Argar PH : Leiomyomas in pregnancy : Sonographic study. Radiology 164 : 376-380, 1987
3) 杉村 基,金山尚裕 : 血液疾患 血栓症.荻田幸雄,武谷雄二(編) : 新女性医学大系32 産褥.pp257-260,中山書店,2001
4) 長澤邦彦,林 卓宏,川真田樹人 : 子宮筋腫合併妊婦の疼痛管理において硬膜外麻酔を使用した1症例.周産期医学34 : 561-565,2004
5) 山本 宝,冠野 博 : 子宮筋腫 7.妊娠合併子宮筋腫の管理.産婦人科の良性腫瘍.青野敏博,他(編) : 新女性医学大系39.pp302-307,中山書店,1999
6) 杉村 基,金山尚裕 : 周産期 切迫早産の管理 子宮収縮抑制剤の使い方 塩酸リトドリン,硫酸マグネシウム,インドメサシンの適応と禁忌.産婦の実際52 : 1799-1804,2003
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