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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション

ここが聞きたい105例の対処と処方 II 内分泌

【月経移動】32.2~3日前に月経が終わった患者です。ちょうど次の月経予定日ごろに旅行したいので,月経を移動させてほしいといいます。

著者: 松崎利也1 水口雅博1 苛原稔1

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部発達予防歯学部門発生発達医学講座女性医学教室

ページ範囲:P.437 - P.439

文献概要

1 診療の概説

 旅行,仕事,スポーツ,結婚式,行事などの理由により,月経時期の移動を希望する女性は多い.月経は女性ホルモンの作用で子宮内膜が周期的変化を起こすものであり,女性ホルモンを投薬することにより月経周期を調節することができる.しかしながら,卵巣から内因性の女性ホルモンも分泌されているので,当然,内因性の女性ホルモンも考慮に入れる必要がある.

 月経時期を移動するには,(1)遅らせる方法,(2)早める方法の2通りがある.(1)の月経を遅らせる方法は,月経周期の黄体期を延長する方法であり,卵胞ホルモン・黄体ホルモンの配合薬(EP薬)を次回月経の数日前から内服し始め,内因性の黄体ホルモンが出なくなった後もEP薬を内服し続けることで子宮内膜を維持することができる.一方,(2)の月経を早めるに方法は,内因性の女性ホルモンを完全に抑制し,投与したEP薬の作用で子宮内膜を整え,内服終了後に消退出血を起こす.この場合に,EP薬が内因性の女性ホルモン分泌,すなわち卵胞の発育を抑制するのは中枢へのフィードバックによってゴナドトロピン分泌を抑制するもので経口避妊薬と同様の機序である.卵胞の発育がまだ十分でない時期から始める必要があるため月経周期の5日目から投与を開始し,次の月経を早めるために10~14日間で内服を終了する.

参考文献

1) 青野敏博,苛原 稔編著 : 月経移動.産婦人科外来処方マニュアル.第2版.pp52-53,医学書院,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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