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雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 II 内分泌

【月経困難症】36.月経時の胃痛と頭痛を訴える10歳代後半の患者です.器質的な原因を認めず,機能性の月経困難症と診断しました.

著者: 南佐和子1

所属機関: 1和歌山県立医科大学周産期部

ページ範囲:P.463 - P.465

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1 診療の概説

 月経困難症は「月経期間中に月経に随伴して起きる病的症状」と定義されており,下腹部痛,腰痛がその中心をなすが,嘔気,嘔吐,頭痛,下痢,疲労感,脱力感などとして現れる場合もある.機能性月経困難症は,子宮に器質的な異常が認められないにもかかわらず,痛みが出現するもので若年女性の約50%にみられる 1)

 黄体期後期に卵巣からのプロゲステロンの分泌が低下すると,子宮内膜のサイクロオキシゲナーゼ(COX)の活性化が起こり,アラキドン酸からプロスタグランジン(PG)が産生される(図1).この経路をアラキドン酸カスケードと呼ぶ.カスケードの最終産物の1つであるPGF2αは子宮収縮,血管攣宿を引き起こす.子宮筋層では虚血により低酸素状態となり,これが疼痛の主な原因となっている 2).嘔吐,嘔気,腰痛,頭痛,下痢などの症状はPGsとその代謝産物が体循環に流入し,体内の平滑筋を収縮させるために起こるといわれている.また,カスケードの中間産物であるPGE2は疼痛の誘発に関与している.

参考文献

1) Dawood MY : Dysmenorrhea. Clin Obstet Gynecol 33 : 168-178, 1990
2) Zahradnik HP, Breckwolt M : Contribution of pathogenesis of dysmenorrhea. Arch Gynecol 236 : 99-108, 1984
3) Steinwall M, Bossmar T, Guad C, et al : Inhibitory effects of SR49059 on oxytocin-and vasopressin-induced uterine contractions in non-pregnant women. Acta Obstet Gynecol Scand 83 : 12-18, 2004
4) Abu JI, Konje JCK : Leukotrienes in gynaecology : the hypothetical value of anti-leukotriene therapy in dysmenorrhea and endometriosis. Human Reprod Update 6 : 200-205, 2000
5) Konno R, Fujiwara H, Suzuki M : Effectiveness of leukotriene receptor antagonist montelukast(Singulair)in the management of dysmenorrhea in adolescents. Fam Med 36 : 8-9, 2004
6) 後山尚久 : 女性診療科医のための漢方医学マニュアル.pp56-59,永井書店,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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