icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 II 内分泌

【子宮内膜症】39.子宮内膜症の外来治療でGnRHアゴニスト投与を過去に数回受けた患者です.最近,症状が増悪してきたといいます.

著者: 藤原寛行1 鈴木光明1

所属機関: 1自治医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.474 - P.475

文献購入ページに移動
1 診療の概説

 GnRHアゴニストは下垂体におけるGnRH受容体を刺激し,受容体数の低下を引き起こすことによりゴナドトロピンを抑制する.本邦では子宮内膜症に対する内分泌療法として高頻度に使用されている.プラセボとのrandomized controlled study(RCTs)では,月経痛,下腹痛,腹部圧痛のいずれも有意な効果が認められている.有効率は80~100%と高いが,低エストロゲン症状(ほてり,のぼせ,発汗,うつ)や骨塩量低下などの副作用が認められる.そのため持続投与は最長6か月に制限されており,またadd─back療法のようなホルモン補充も行われている.

 GnRHアゴニストは使用期間中の症状は改善させても,再発が高率に起こるため,本症例のように多くの例で反復使用が行われている.しかし漫然と反復するのではなく,以前の使用効果,副作用の程度,現時点での適応などを再考し決定する必要がある.過去の治療で思うような効果が得られていなかったり,強い副作用が出現していた場合にはほかの治療,例えば経口避妊薬(OCs)や外科的治療を考慮する.患者に反復使用の希望があるかも大切であり,代替治療を提示して十分なインフォームド・コンセントのうえで使用か否かを決定する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?