文献詳細
文献概要
今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 II 内分泌
【老人性腟炎】52.主に外陰部痛と掻痒感を主訴とする老人性腟炎の患者です.
著者: 高橋一広1 高田恵子1 倉智博久1
所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科学
ページ範囲:P.518 - P.519
文献購入ページに移動腟はエストロゲン欠乏の影響を強く受ける器官の1つである.エストロゲン低下は腟粘膜上皮内のグリコーゲン含有の低下を招き,腟内酸性度の低下,乳酸桿菌の減少・消失により自浄作用が失われる.このような感染防御機構の破綻とともに腟粘膜の萎縮により外的刺激や感染に対して抵抗力が減少し,萎縮性腟炎,老人性腟炎を発症するようになる.主な症状は,帯下感,掻痒感,疼痛,性器出血や性交痛である.掻痒感は外陰,腟上皮の菲薄化や炎症によるものであり,腟粘膜の萎縮やうるおいの不足は性交痛の原因となる 1).臨床診断として,腟鏡診では粘膜の点状出血,および細菌感染も併存した場合は黄色帯下がみられ,腟分泌の顕微鏡検査では多数の多核白血球と細菌が観察される.
参考文献
掲載誌情報