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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 II 内分泌

【脱毛】53.髪の脱毛を訴えている患者です.

著者: 高橋一広1 高田恵子1 倉智博久1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科学

ページ範囲:P.520 - P.521

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1 診療の概説

 髪の毛には,毛が伸びる時期の成長期,抜ける準備時期の移行期,抜け落ちる休止期を繰り返す毛周期がある.女性の頭髪の成長期は3~7年,移行期は2~3週間,休止期は3か月続く.人間の頭髪は約10万本あり,うち85%が成長期,5%が移行期,10%が休止期と考えられている.休止期の毛髪は軽微な機械的刺激により容易に抜け,1日に50~100本の脱毛は正常範囲内であり,生理的脱毛という.脱毛は,毛周期に即した生理的脱毛と毛周期を逸脱した病的脱毛に分類される(表1)1).脱毛を訴える場合は,その原因が何であるか慎重に鑑別することが必要となる.

 毛髪の成長には男性ホルモンや女性ホルモンが関与している.テストステロンから5α─リダクターゼにより転換された生理活性の強いジヒドロテストステロン(DHT)は,ひげ,陰毛,四肢毛の発育を促進するが,頭髪に関しては抑制的に作用する.エストロゲン受容体(ERαおよびERβ)は毛乳頭に発現しており,マウスではエストロゲンが毛髪成長を遅らせることが知られている 2).一方,ヒトでは妊娠中に増加するエストロゲンが頭髪の成長期を延長するとも考えられている 3)

参考文献

1) 植木理恵 : 閉経後女性にみられるマイナートラブルとその対策-女性の脱毛症.産婦の実際51 : 105-109,2002
2) Oh HS, Smart RC : An estrogen receptor pathway regulates the telogen-anagen hair follicle transition and influences epidermal cell proliferation. Proc Natl Acad Sci USA 93 : 12525-12530, 1996
3) 畑三恵子,石崎純子 : 皮膚.妊娠・分娩・産褥の生理と異常,武谷雄二,他(編): 新女性医学体系2,pp140-147,中山書店,2001
4) 若槻明彦,渡辺員支,篠原康一 : 内分泌(脱毛).臨婦産57 : 511-513, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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