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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション

ここが聞きたい105例の対処と処方 III 不妊症

【排卵障害】55.排卵障害の治療を行っている患者です.排卵誘発薬のほかに,漢方療法の併用を希望しています.

著者: 安藤索1

所属機関: 1杏林大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.526 - P.527

文献概要

1 診療の概説

 漢方薬は比較的古くから不妊治療に用いられており,最近では排卵誘発の治療薬として,単独あるいは他剤との併用にて使用される頻度も高い.一般的には排卵誘発剤としてクロミフェンやゴナドトロピン製剤投与を行い,hCGや黄体ホルモンによる黄体機能賦活療法が行われることが多いが,排卵障害に用いられる漢方薬として,当帰芍薬散,温経湯,芍薬甘草湯,桂枝茯苓丸などが知られている.

 代表的な漢方薬として,当帰芍薬散は視床下部・下垂体からのゴナドトロピン分泌を促進するとともに,卵巣顆粒膜細胞に直接的に作用しプロゲステロン分泌を促進する作用がある.温経湯は視床下部ならびに下垂体前葉細胞からのゴナドトロピン分泌を促進する.また芍薬甘草湯は下垂体のドパミンレセプターに作用してプロラクチン分泌を低下させるとともに,卵巣からのテストステロン分泌を低下させる作用を有する.桂枝茯苓丸には卵巣顆粒膜細胞からのプロゲステロン分泌促進効果がある.

参考文献

1) 安井敏之,苛原 稔 : 女性医療と漢方医療2.女性不妊.産婦治療92 : 675-680,2006
2) 後山尚久 : 排卵誘発 A.クロミフェン 3.他剤との併用療法.臨婦産55 : 766-773,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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