icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 III 不妊症

【多嚢胞性卵巣症候群】61.多嚢胞性卵巣症候群と診断された希発月経の患者です.挙児希望があります.

著者: 本田律生1

所属機関: 1熊本大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.540 - P.541

文献購入ページに移動
1 診療の概説

 多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovaries syn drome : PCOS)は,(1)月経異常に加え,(2)内分泌学的にはLH高値(LH>FSH)を呈し,(3)超音波断層法における多数の卵胞の嚢胞状変化(卵巣表層直下に小卵胞の数珠状集積を認める)によって診断される.ほかにも高アンドロゲン血症に伴う多毛(恥毛の男性型形態)や座瘡を伴うことがある.最近,本症候群とインスリン抵抗性・耐糖能異常との関連が注目され,特に肥満を伴うPCOS例では,高率にインスリン抵抗性や耐糖能異常を合併することが知られている.挙児希望例に限ったことではないが,妊娠合併症やメタボリックシンドロームを引き起こすハイリスク群として,肥満PCOS症例を捉える必要がある.

 インスリン抵抗性の評価は,HOMA指数(空腹時の血糖値×インスリン値/405)で行う.HOMA指数が1.6以上の例ではインスリン抵抗性があると考え,さらに糖負荷試験を追加,耐糖能異常の有無を評価する.自験例では,境界型糖尿病と診断される例は肥満PCOS例の44%を占めており,いずれも120分値が140 mg/dl以上を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?