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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 III 不妊症

【男性不妊】63.精子を増加させ,妊娠を目指すための処方を希望している乏精子症の患者です.

著者: 片寄治男1

所属機関: 1福島県立医科大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.544 - P.545

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1 診療の概説

 男性不妊症患者の増加に関する報告は近年多くみられるが,現在では顕微授精法の臨床応用により治療可能な時代になっている.男性因子不妊症の診断はWHO(1999年)の基準によりなされ,乏精子症は精子濃度2,000万/ml未満の症例を指す.原因はほとんど特発性であり,造精機能障害の約60%を占めるといわれ,治療を難渋させるゆえんである.

 精巣内の精細管における精子形成は精母細胞からの減数分裂の過程と,円形精子細胞が成熟した精子に変態するspermiogenesisの過程に大きく大別される.この過程は視床下部─下垂体─精巣系のaxisにより巧妙に調節されている.さらに局所ではセルトリ細胞,ライディッヒ細胞あるいは筋様細胞によるパラクライン,オートクライン機構により細胞機能が調節を受けていることが知られている.精巣網から精巣上体に移行した精子はさらに管内でいわゆる精子成熟過程を経て受精に必要な能力を獲得することができ,精子形成開始から射出までに必要とされる期間は74日といわれている.したがって,何らかの治療後の造精機能評価には約3か月の時間を要することに注意が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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