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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション

ここが聞きたい105例の対処と処方 III 不妊症

【頸管粘液分泌不全】67.規則的な排卵はあるものの頸管粘液分泌不全を認める患者です.

著者: 福田淳1

所属機関: 1秋田大学医学部生殖発達医学講座産婦人科学分野

ページ範囲:P.554 - P.555

文献概要

1 診療の概説

 頸管粘液は頸管腺より分泌されるが,その量および性質はステロイドホルモンにより調節されている.エストロゲンにより分泌量は増加し,プロゲステロンにより抑制される.排卵の2~3日前から分泌量は増加しはじめ,排卵期には1日数mlに達する.排卵後にはプロゲステロンの作用によりすみやかに分泌量は低下する.頸管粘液の性状は排卵期に向け,粘稠性から水様透明となり,牽糸性(spinnbarkeit)は著明に増加するようになる.排卵期では9~15 cmにも達する.頸管粘液をスライドガラスに塗抹,乾燥させると植物のシダに似た構造を示し,羊歯状結晶(fern leaf phenomenon : FLP)と呼ばれる.排卵期になると全体的に良好なFLP形成が認められるようになる.

 頸管粘液検査は排卵前後で施行する必要があるため,基礎体温,超音波検査,ホルモン検査などで排卵日を予測することが重要である.頸管粘液をツベルクリン注射筒などで,吸引採取した後,頸管粘液の量,頸管粘液の硬さ,牽糸性,FLP,細胞濃度などの項目について評価する.判定法としてWHO manual 1)に記載されているcervical mucus test(CMT)の診断基準(表1) 2),Moghissi 3)が報告しているcervical mucus score(表2)などを参考にする.

参考文献

1) WHO laboratory manual for the examination of human semen and sperm-cervical mucus interaction. World Health Organization(4th ed). Geneva, pp51-59, 1999
2) 藤井俊策,木村秀崇,福井淳史,他 : 性交後試験の臨床的意義.産婦の実際55 : 129-134,2006
3) Moghissi KS : The cervix in infertility. Clin Obstet Gynecol 22 : 27-42, 1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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