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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション

ここが聞きたい105例の対処と処方 IV 感染症

【カンジダ腟炎,外陰炎】70.難治性で再発を繰り返すカンジダ腟炎,外陰炎の患者です.

著者: 三木明徳1

所属機関: 1埼玉医科大学産婦人科

ページ範囲:P.564 - P.565

文献概要

1 診療の概説

 カンジダ腟外陰炎は本来の腟内細菌叢であるデーデルライン桿菌(乳酸桿菌)が減少し,代わりにCandida albicans, Candida glabrataもしくはCandida tropicalisが腟内にて増殖することによって 1),引き起こされる病態である.症状としては外陰部の発赤,痒み,痛みを訴え,カッテージチーズ,ヨーグルトもしくは中華粥と表現される特徴的な帯下を認める.上記のCandida属はともに身体各部位の常在菌叢の一菌種であり,非妊婦の10~15%,妊婦の20~40%に常在菌として存在する 1).よって,腟,外陰,陰茎などからの真菌培養結果で単に検出されたというだけではカンジダ腟炎とはいえない.上記の症状を伴って初めて治療の対象となる 2)

 腟,外陰部にカンジダが増殖する要因として,妊娠,糖尿病,ステロイド薬投与などの免疫力が低下している状態が挙げられ,日和見感染の一種ともいえる 2).抗菌剤の全身投与により腟内の正常細菌叢が破壊された後にカンジダが優位に増殖してくることがあり,膀胱炎や風邪などで抗菌剤投与をされた後に発症することも多い.妊娠・ピルなどの服用によりエストロゲンが亢進し,このため腟上皮のグリコーゲンが増加し,カンジダの発育に適した条件がつくられると増殖する 1).また,常在菌叢の一部ではあるが,性行為感染症(STD)としての一面も持ち合わせており,パートナー間で性器の痒みなどの症状を共有していないかどうかのチェックも必要である.男性の場合は主に亀頭包皮内に潜んでいることが多い.

参考文献

1) 坂本正一(監修) : プリンシプル産科婦人科学1.メディカルビュー社,pp756-799,pp884-885,1997
2) 木下勝之(編) : 感染とパートナーシップ.研修ノートNo. 69.日本産婦人科医会,2002
3) 山口 徹(編) : 今日の治療指針2007.pp857-858,医学書院,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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