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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 IV 感染症

【トリコモナス】72.帯下異常で受診し,腟分泌物ならびに尿中にトリコモナス原虫を認めた患者です.

著者: 野口靖之1

所属機関: 1愛知医科大学産婦人科

ページ範囲:P.570 - P.571

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1 診療の概説

 帯下異常は,婦人科外来診療において最も頻度の高い主訴の1つである.教科書的にカンジダ腟炎は酒粕様の帯下,トリコモナス腟炎は泡沫様帯下と記載されているが,臨床的に典型例は少なく,複数の病原体による混合感染も珍しくない.このため,性感染症である腟トリコモナス症の診断は,生活習慣,性行動など問診により得られる情報が診断の重要な手がかりとなる.

 腟トリコモナス症は,トリコモナス原虫(Trichomonas vaginalis)によって発症する腟炎である.主に性行為により感染するが,性交経験のない女性や幼児にも感染例があり,タオルや便器,浴槽を通じて感染することがあると考えられている.初発症状は,性交渉後10日前後で出現する.悪臭の強い多量の泡沫状黄緑色の帯下(ミルクを流したような),外陰部の強い掻痒感,腟壁の発赤が代表的な臨床症状として挙げられる.しかし,女性における腟トリコモナス症の症状は非常に多様であり,無症候感染も少なくない.さらに,本疾患は,腟だけでなく子宮頸管,尿路,セックスパートナー(パートナー)の尿路,前立腺にも感染する.したがって,治療後もピンポン感染や隣接臓器からの自己感染により再発することがある.このため,パートナーのトリコモナス症に対する検査,治療は必須である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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