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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 IV 感染症

【梅毒】77.術前検査で梅毒反応が陽性であった患者です.

著者: 古堅善亮1

所属機関: 1順天堂大学附属静岡病院産婦人科

ページ範囲:P.581 - P.583

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1 診療の概説

 梅毒はスピロヘータ科トレポネーマ属の細長いらせん状の細菌,Treponema pallidum(TP)による性感染症である.梅毒は大きく後天梅毒と先天梅毒に分類されるが,まず後天梅毒の自然経過を述べる.

 感染して9週までを第一期,それから3年までを第二期,3年以上を第三期,10~15年で脳・脊髄に変性をきたしたものを第四期梅毒という.第一期梅毒の経過は,まず,3週間の潜伏期間を経て性器に初期硬結が出現する.初期硬結は大豆大の硬い結節で無痛性である.それが自潰して潰瘍となったものを硬性下疳と呼ぶが無痛性である.通常単発性であるが,多発性で,潜伏期間の短い症例も認められる.感染後6週間で鼠径部のリンパ節が腫大し,梅毒血清反応も陽性化する.第二期に入ると皮疹(バラ疹,丘疹)が出現するが痒みもなく,自然に消退する.また,外陰にできた丘疹はびらんとなり扁平コンジローマと呼ばれる.その他,脱毛,粘膜疹がみられることがある.第三期梅毒ではゴム腫,結節性梅毒疹が出現する.ゴム腫は深部皮下組織,骨,筋肉,リンパ節に発生し,深い潰瘍をつくる.結節性梅毒疹は主に顔面に多発し,癒合・瘢痕化する.第四期梅毒では心臓血管系,中枢神経系が侵され,大動脈中膜炎,大動脈瘤,脊髄癆,進行麻痺が認められる.一方,感染していても症状がないものを潜伏梅毒,あるいは無症候性梅毒という.

参考文献

1) Mascola L, Pelosi R, Alexander CE, et al : Inadequate treatment of syphilis in pregnancy. Am J Obstet Gynecol 150 : 945-947, 1984
2) 水岡慶二 : 梅毒血清反応とその臨床的意義.皮膚科MOOK.STD.金原出版,pp25-36,1986
3) 津上久弥 : 梅毒血清反応と治癒判定の問題.皮膚24 : 11-18,1982
4) 大里和久 : 蔓延するSTDの現況と治療的戦略,梅毒.産婦の実際52 : 2133-2141,2003
5) 日本性感染症学会(編) : 性感染症・診断・治療ガイドライン2006.日性感染症会誌17(suppl),2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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