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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション ここが聞きたい105例の対処と処方 V 腫瘍

【リンパ浮腫】93.広汎性子宮全摘術を受けた患者です.再発もなく順調に経過していましたが,2年過ぎてから片側下肢の著明なリンパ浮腫(疼痛はない)が発生しました.

著者: 青木宏1 鹿沼達哉1

所属機関: 1群馬大学医学部附属病院産科婦人科

ページ範囲:P.618 - P.619

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1 診療の概説

 リンパ浮腫はリンパ管の機能異常や形成異常により毛細血管から漏出した組織間液が運び去られず,組織間隙に貯留した状態である.皮膚・皮下組織中心の浮腫であり症状的には類似しているが,筋肉内にも浮腫像を呈する深部静脈血栓症とは明らかに異なっている.また,二次的にマクロファージなどによる組織間隙の蛋白処理の働きも低下するため,蛋白濃度の高い浮腫になることもリンパ浮腫の特徴である.

 リンパ浮腫の典型的な症状は,ゆっくりと発症して進行する無痛性のむくみである.また多くが片側性であり,両側性であっても左右差があることが多い.疼痛,熱感,発赤などの症状を慢性期のリンパ浮腫に認めることは少ないが,急激に悪化や進行した症例では,皮膚が突っ張るようなピリピリした痛みやびまん性の発赤を認める場合がある.

参考文献

1) 児玉省二,上村直美,生野寿史,他 : 女性性器癌術後の下肢リンパ浮腫.日本臨牀62 : 641-644, 2004
2) Casley-Smith JR, Morgan RG, Piller NB : Treatment of lymphedema of the arms and legs with 5,6 benzo-[a]-pyron. N Engl J Med 329 : 1158-1163, 1993
3) 野田雅也,伊藤英樹,工藤隆一,他 : 骨盤内リンパ節摘出後下肢リンパ浮腫に対する硬膜外ブロック法および腰部交感神経ブロック法の効果.日本産婦人科50 : 947-953,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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