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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻5号

2007年05月発行

雑誌目次

今月の臨床 母体救急

著者: 中井祐一郎

ページ範囲:P.677 - P.677

 本邦における周産期医療の成果は,世界一とされる周産期死亡率に代表されるが,妊産婦死亡率については“健やか21”の目標としてさらなる改善が取り上げられている.一方,昨今の産科医を初めとする周産期医療スタッフの枯渇,高齢妊婦の増加など,妊産婦死亡率上昇因子の圧力が目立つのも事実である.このような背景を受け,日本分娩管理研究会(代表世話人 : 佐藤和雄日本大学名誉教授)では,“母体救急はどこまで達成されるか”の題の下,シンポジウムが開催された.本特集の前半はそのシンポジウムの記録集である.

 いかにわれわれの先人たちが,妊産婦死亡を防いできたのかという歴史的変遷を語られた山崎峯夫神戸大学助教授は,中毒症の概念の成立,産褥熱の克服などを契機として段階的に減少した過程を解説された.また高本憲男岡山大学講師は,昨今増加が著しい高齢妊婦やかつては妊娠を諦めざるを得なかった合併症妊婦などハイリスク妊娠・分娩管理の成果を発表されるとともに,巷間いわれることの多い“よいお産”と安全確保との両立に疑問を投げかけられた.一方,多くの母体搬送症例を受け入れている埼玉医科大学総合医療センターからは,関博之教授が実際に母体死亡に陥った症例の多くがローリスク群に属していたことを指摘され,危険信号を的確に認識することによるローリスク群のリスクマネジメントを提唱された.また,地政学的特徴をも考慮した独自の周産期医療システムを構築され,周産期死亡率・妊産婦死亡率の大幅な改善を達成された宮崎大学の徳永修一助手は,その成果を報告された.北里大学の谷昭博講師は,昨今の産科医枯渇の大きな要因となった法的責任の問題を取り上げられ,いくつかのテーマについて問題点を指摘された.最後に,宮崎日日新聞社の中川美香記者が,ハイリスク妊娠を克服された母親としてまた記者としての眼からみた周産期医療を語られた.

妊産婦死亡の歴史的推移

著者: 山崎峰夫

ページ範囲:P.678 - P.683

はじめに

 古事記には,日本の列島諸島をはじめ数多くの神々がいざなぎの命といざなみの命との間に誕生したというわが国の国産み神話が伝えられている.そのなかでいざなみは,最後の分娩が原因となって死亡したとされており,いわばわが国初の妊産婦死亡例である.そのような伝承が記録された背景には,妊娠・出産が女性にとって危険な難事業であることへの古代人の畏れの念がうかがえる.これに対し現代の先進諸国では,少なくとも一般社会においては「お産は怖い」と考える人はほとんどいない.本稿では,母体死亡が稀ではなかったほんの百数十年前から現在に至る間の医学全般および産科学における診断・治療学の進歩を振り返ってみたい.

ハイリスク妊産婦の管理と対処

著者: 高本憲男

ページ範囲:P.685 - P.689

はじめに

 周産期医療に携わるもので,より安全な周産期管理を願わないものはない.現在の一般の方々の周産期リスクの認識として,分娩は安全であり,出産施設の食事やアメニティを重視するのは否めない風潮であるといえよう.その一方では,医療関係者や医学生の間では,他科に比し,産科は訴訟も多く,選択するのをためらう向きが多いのも事実である.この認識の差は現在の周産期の進歩や実情を一般へ広く伝え,また正しく理解していただくことで,解消できるのかも知れない.そして医療側としては,さらに安全な周産期管理について考え,また医療システムを整備していくことが必要であろう.周産期・新生児医療も日々進歩すると同時に,周産期医療を取り巻く現状も刻々と変化してきている.そこで,まず現在の周産期を取り巻く現状を振り返ってみて,今後どういったことに注意していけば,少しでも周産期リスクを減ずることができるか考えてみたい.

妊産婦の救急対策─特にローリスク妊産婦の急変時の対応─

著者: 関博之

ページ範囲:P.690 - P.693

はじめに

 分娩がどのように進行し終了するかを予測することは困難である.なぜなら,分娩の進行に影響を及ぼす因子は多数存在し,かつ不確定な要素が多いため,その進行を予想するときわめて多岐にわたるカスケードを想定しなければならない.われわれ産婦人科医は,常に注意深く分娩の進行を観察し,各分岐点でどちらの方向(正常な経過か正常を逸脱しているか)に分娩が進行しているか判断し,正常を逸脱する方向に向かい始めたことを認識した場合には,医学的介入を行い,つつがなく分娩が終了するよう努力している.そのような努力の賜物が,1950年に4,117例であった妊産婦死亡数を2004年には49例まで減少させたといえる.死亡数が半世紀で1%にまで減少した分野は周産期領域以外には見当たらず,その減少に努力したわれわれの先人達に心より敬意を表するものである.

 近年,妊産婦の高齢化や合併症を有する妊婦の増加により,ハイリスク妊婦の割合が増加している.にもかかわらず,妊産婦死亡数が激減しているのは,ハイリスク妊婦の管理法の向上とハイリスク妊婦を周産期センターなどの高次医療機関で管理するというシステムが構築されつつあることが大きく貢献していると考えられている.実際,妊娠高血圧症候群の重症型をはじめとする種々の合併症を有するハイリスク妊娠,分娩時大量出血が予想される妊婦(前置胎盤など)などにおける死亡例が大きく減少した.また,近年は分娩直後の血栓性肺塞栓症に対する関心が高まり,予防法や迅速な診断・治療も普及し,重症例は減少傾向にある.すなわち,ハイリスク症例の死亡数は大きく減少している.これに対し,いわゆるローリスク妊娠はどうなのだろうか.当センターの分娩統計からは,妊産婦死亡はハイリスク妊婦よりもローリスク妊婦のほうが明らかに多いという興味深い結果が得られたので,その結果を報告し,その原因について症例を呈示して分析する.

産科救急体制のシステム化─宮崎県周産期症例検討会から─

著者: 徳永修一 ,   池ノ上克

ページ範囲:P.695 - P.699

はじめに

 母体や胎児の突然の急変にはスムースな救急搬送が望まれる.そのためには,一次分娩施設と周産期センターの連携体制と地域の周産期センターの医療が充実化すること必要である.産科救急体制の改善には,医療の地域化(regionalization)を進めていくことが必要である.宮崎県では,県下の周産期センターのスタッフ一同が集まって周産期死亡症例や神経学的予後不良ハイリスク症例を個々に検討する会(宮崎県周産期症例検討会)を1998年より行ってきた.今回は,各周産期センターに母体適応で緊急搬送された症例と,この研究会で行っているpopulation based studyをもとに母体救急症例を検討した.

法制からみた産科リスクマネジメント

著者: 谷昭博

ページ範囲:P.700 - P.703

はじめに

 日本産婦人科医会が行った医療事故・医事紛争収集結果では分娩事故が産婦人科医療事故の約7割を占める.そのうちの36%が分娩に伴う母体異常で,60%が分娩に伴う新生児異常であった1).このことは分娩事故,すなわちほとんどの周産期救急が産婦人科医事紛争の中心であることを示している.

 分娩時のリスクマネジメントを困難にしている背景は,まず妊娠分娩の絶対的な安全性の向上によってそれを当然視する風潮が患者側にあることが挙げられる.分娩の結果が期待と異なった場合,それが稀であるという理由で何らかの過誤の存在が疑われがちになる.

 一方,医療側にも,(1)小中規模施設では,稀に発生する緊急事態(母体大量出血など)に適切に対応する体制を継続的に維持することが困難である,(2)現場の医師の高齢化と絶対数の減少のために,医療レベルの維持が困難となっている,(3)現場は多忙をきわめており,現代の医療に必要不可欠な十分な説明と同意を実施する体制となっていない(言い訳にはならないが,人手不足のために産婦人科の臨床現場が現代医療の標準から取り残されつつある可能性がある),といった要因もある.

 このような背景でひとたび医療事故が生じた場合の争点は,分娩監視義務違反と十分な分娩時のリスクに対するインフォームド・コンセントがなされていたかどうかに大別される.

 英国における大規模な医療事故調査において集積された医事紛争へつながる誘因に関与する事故キーワードは2),母体側誘因としては,(1)1,500 ml以上の出血,(2)8 g/dl未満のHb濃度,(3)臍帯トラブル,(4)分娩第二期遷延(初産3時間,経産1時間),(5)子癇発作,(6)集中治療室(ICU)入室,(7)母体死亡,(8)三度以上の会陰裂傷,(9)吸引・鉗子分娩の不成功である.

 また,胎児・新生児側誘因としては,(1)apgar score<7点,(2)分娩外傷,(3)臍帯動脈pH<7.2,(4)新生児死亡,新生児痙攣,(5)500 g以上の子宮内胎児死亡,(6)妊娠34週以降のNICU入室,(7)肩甲難産が挙げられる.

 また,システム欠陥による誘因としては,(1)スタッフ(オンコール)への連絡遅延,(2)30分以上の緊急帝王切開施行遅延,(3)設備の欠陥・不備,(4)医療従事者間の対立,(5)医療従事者─患者間の信頼関係の喪失,(6)処方ミス,(7)プロトコール違反である.これらの結果から分娩管理におけるリスクマネジメントとしてわれわれが取り組まなければならないものは,(1)胎児機能不全の検出と対応システムの構築,(2)産科ショック・出血をはじめ産科救急への対応システムの構築,(3)信頼関係の構築のための十分なインフォームド・コンセントといえよう.(1),(2)に関してはすでに諸兄が,紛争発生時常に問題となる“医療水準”の認識のために諸外国も含めたガイドラインや日産婦学会「産婦人科研修の必修知識」,日産婦医会「研修ノート」などを学習・活用されているはずであり,救急対応システムは行政も含め密なる連携を深めるよう努力すべき問題であるため誌面の都合もあり論ずることは避けたい.

1.25時代,双子出産で見えたもの

著者: 中川美香

ページ範囲:P.705 - P.707

管理入院で見えた世界

 私は32歳だった2003年,宮崎大医学部附属病院で双子を出産した.出産前は報道部勤務.深夜労働が当たり前の職場で,同僚も取材対象も男性中心だったためか,子供を産むなんて想像もしていなかった.それが双子を授かったことで,がらりと新しい世界が見えた.すべては管理入院のおかげである.

 DDツインで子供も母体も比較的安定していたのをいいことに,妊婦やスタッフに多くの話を聞いた.当時の日記をベースに,育児休業明けに書き始めたのが,妊娠・出産・育児をテーマにした連載「ハロー!ベイビーズ~双子育児で見えたもの」.親たちや病院スタッフのご理解,ご協力をいただいて実現した.2006年末現在,86回を越えた.読者の方から多くのお便りをいただき,妊娠・出産への関心の高さをひしひしと感じている.

母体救急―対応の実際

1.大量出血への対応 1)輸血と自己血貯血

著者: 小島原敬信 ,   中原健次 ,   倉智博久

ページ範囲:P.708 - P.711

はじめに

 本稿では主に自己血輸血を含む赤血球輸血に関して述べる.


輸血を要する病態

 われわれ産婦人科医が関与する輸血の適応は,血液内科的疾患や慢性消耗性疾患よりは,むしろ手術・分娩・外傷などによる急激な血液の喪失が主となる.後者の場合は特に,病態において循環血液量不足と酸素運搬能の不足(赤血球不足)とを分けて考える必要がある.実際,出血多量による死亡は循環血液量不足が主因といわれている.循環血液量が保たれている場合は,ヘモグロビン値が一時的に1.1 g/dlまで低下したものの生存した例が報告されている1)

1.大量出血への対応 2)DICの治療

著者: 柳原敏宏

ページ範囲:P.712 - P.715

DICの定義と病態

 DIC〔disseminated intravascular coagulation : 汎発性(播種性)血管内凝固症候群〕は,さまざまな原因による血管内の汎発的な凝固による微小血栓形成とこれによる循環障害の結果,臓器障害(腎・肝・肺など)が発生する.さらに消費性凝固障害と二次的線溶亢進による出血傾向を発生させる疾患であり,重傷化すると多臓器不全(MOF : multiple organ failure)へと進展する.

 産科DICでは,基礎疾患をもとにして母体血管内に胎盤・脱落膜・羊水・胎児などの組織トロンボプラスチンなどが混入されることによって,急激に凝固系や線溶系が活性化され,フィブリノゲンの消費による低下と出血が出現する.組織トロンボプラスチン流入によるDICは内科・外科疾患によるDICと比較して発症および進行が急激である.

2.重症感染症・敗血症への対応

著者: 藤森敬也 ,   佐藤章

ページ範囲:P.716 - P.721

はじめに

 周産期領域における感染症は,かつては妊産婦死亡の大きな原因の1つであったが,抗生物質の使用や周産期管理の充実により減少してきていることは事実である.しかしながら,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin─resistant Staphylococcus aureus : MRSA)感染症の出現や,劇症型A群レンサ球菌感染症といった再興感染症,長期カテーテル留置による感染症など,新たな感染症の問題も起きている.母体に炎症性疾患がある場合は子宮収縮が誘発され,切迫早産や早産となることも多く,絨毛羊膜炎(chorioamnionitis : CAM)との鑑別が重要となることもある.

 本稿では,われわれが経験した重症感染症・敗血症症例として,劇症型A群レンサ球菌感染症(分娩型),MRSA産褥感染症,妊娠中の肺炎,長期カテーテル留置(tocolysis)によるエンテロバクター菌の敗血症の臨床像を中心に解説する.

3.高血圧・子癇への対応

著者: 正岡直樹 ,   浅沼亜紀 ,   中島義之 ,   山本樹生

ページ範囲:P.722 - P.725

はじめに

 重症妊娠高血圧症候群は,母体救急が必要となる疾患のうち,常位胎盤早期剥離,HELLP症候群などと関連があり,さらに分娩前後に緊急高血圧症をきたすことが多い.迅速かつ適切な対処が行われなかった場合には,子癇発作,高血圧脳症,脳内出血,多臓器不全,胎児機能不全,胎児死亡など,母児ともに不幸な転帰をとる可能性がある.本稿では,分娩前後の緊急高血圧症および子癇への対応について具体的に解説したい.

4.肺水腫・ARDSへの対応

著者: 酒井啓治

ページ範囲:P.727 - P.729

はじめに

 妊娠中は1回換気量,分時換気量が約40%増加するため,動脈血酸素分圧は軽度上昇し,炭酸ガス分圧は軽度低下する.このため,妊娠中は気道閉塞や低換気により急速に呼吸不全となりやすい状態である.妊娠中~後期・産褥期において最も頻度の高い肺機能不全は肺水腫であるが,悪化すると母体死亡を引き起こす重篤な疾患である.肺水腫は肺毛細管圧の上昇から肺の間質,肺胞腔内に体液が貯留するもので,周産期における肺水腫の原因には妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension : PIH),切迫早産に対する子宮収縮抑制剤やステロイドの投与,多胎妊娠,大量出血などがある.また,妊娠・産褥期の最も重篤な肺機能不全は成人呼吸窮迫症候群(adult respiratory distress syndrome : ARDS)である.その病態は肺毛細血管内皮細胞の透過性亢進によるもので,敗血症などに合併することが多く,予後不良な疾患群である.

 これらの肺機能不全は不可逆的になる前に診断し早期より集中治療室で管理し,適切な治療を開始しなければならない.

5.羊水塞栓症への対応

著者: 木村聡 ,   杉村基 ,   金山尚裕

ページ範囲:P.730 - P.733

羊水塞栓症とは

 羊水塞栓症(amniotic fluid embolism : 以下,AFE)は周産期領域において妊産婦死亡を起こす主要な疾患である.現在の妊産婦死亡率は1万分娩に1例以下と減少しているが,そのなかで第1位は産科的塞栓症である.産科的塞栓症には肺血栓塞栓症(PTE)とAFEがあるが,PTEに対しては血栓症予防ガイドラインがあり,予防策が講じられていることもあってPTEによる死亡例は現在減少傾向にあるといわれる.しかし,AFEに対しては原因がいまだによくわかっていない部分も多いため,定まった診断法や治療法が確立していない.そして,ひとたび発症すると死亡率は60~80%と高率であり,その原因の究明と対策はわれわれの大きな課題である.

6.深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症への対応

著者: 小林隆夫

ページ範囲:P.735 - P.739

はじめに

 静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism : VTE)はこれまでわが国では比較的稀であるとされていたが,生活習慣の欧米化などに伴い近年急速に増加している1~3).血栓症で臨床的に問題となるのは,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis : DVT)とそれに起因する肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism : PTE)である.PTEはDVTの一部(5~10%)に発症する疾患であるが,一度発症するとその症状は重篤であり致命的となるので,急速な対処が必要となる.本稿では,VTEの診断・治療,およびVTE合併妊婦への対応について解説する.

連載 産婦人科エコー 何を考えるか?・15

妊娠初期絨毛膜の嚢胞性変化

著者: 竹内久彌

ページ範囲:P.673 - P.676

 他院での妊娠8週の妊娠診察で胞状奇胎と診断されたとして,セカンド・オピニオンを求めて最終月経より8週6日に受診されたケースである.

 経腟超音波(周波数7.5 MHz)で描出すると,子宮内のGS,すなわち絨毛膜の一部に小水胞が発生した塊状の肥厚(矢印)がみられ,ほかの部分にも肥厚(小矢印)がある.胎児像はみられなかった.この小水胞像をみての他院での胞状奇胎との診断であったと思われる.当科での診断としては,絨毛膜の部分的肥厚部分への小嚢胞発生であるため,部分奇胎が考えられるとした.なお,絨毛膜下血腫(*印)がみられるが,これの存在は胞状奇胎の診断に影響を与えない.その後,他院でのD&Cの結果,部分奇胎であることが確認されたという.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・21

卵巣過剰刺激症候群による卵巣茎捻転後に特異な経過をとった2症例

著者: 長谷川功 ,   吉谷徳夫 ,   湯澤秀夫 ,   新井繁 ,   木戸直子

ページ範囲:P.742 - P.745

症例(1)

 患者:30歳,0経妊・0経産

 主訴:右下腹痛

 既往歴:特記事項なし.

 現病歴:排卵障害(ovarian hyperstimulation syndrome:PCOS)による不妊症にて他院にて加療中であった.2004年5月13日からの月経周期の5日目よりhMG製剤150単位を計7回投与後,5月26日に首席卵胞18mmの時点でhCG 5,000単位を投与した.6月1日に強い右下腹痛が出現したため,当院に紹介となった.

 入院時現症:全身状態は良好で,血圧118/60mmHg,脈拍/72分,体温37.6℃であった.内診上,右付属器が腫大し,強い圧痛があった.超音波断層法にて,右卵巣が径80×50mm,左卵巣が径37×44mmに腫大してた.Multicysticな典型的なOHSSの像であった.腹水はダグラス窩に少量のみ認めた.

 検査所見:WBC 14,700/mm3,RBC 389/mm3,Hb 11.0g/dl,Ht 32.9%,Plt 21.3/mm3,CRP<0.28mg/dlであった.

病院めぐり

坂総合病院

著者: 舩山由有子

ページ範囲:P.748 - P.748

〈当院の歴史と概要〉

 当院の前身は1912年創立の私立塩釜病院です.その後,坂病院と改め,1950年に宮城厚生協会として財団法人化しました.地域のニーズに応えて徐々に規模を拡大し,1965年に産婦人科開設,1970年に総合病院認可,1979年,1990年と新病棟を増築し,2005年11月に隣地に10階建ての新病院をオープンし,旧病棟はクリニック,管理棟,駐車場となりました.新病院は339床で,産科21床,婦人科6床という配分です.仙石線「下馬駅」隣という一見恵まれた立地ですが,土地の拡張が困難で駐車場問題が患者サービス上最大のネックです.

 診療圏は周辺の2市3町約20万人ですが,隣の仙台市をはじめ仙石線沿線地域からの受診も多くあります.24時間救急対応で救急車受け入れが年間約2,600台ある一方,リハビリや緩和病棟,往診もあり,診療内容は全22科で多岐にわたります.2002年から電子カルテが稼動中で,2004年には日本医療機能評価機構による病院機能評価の認定を受けました.

―財団法人湯浅報恩会―寿泉堂綜合病院

著者: 鈴木博志

ページ範囲:P.749 - P.749

〈病院の沿革〉

 「医の家に寿の泉あり」を掲げ,明治20年8月,初代湯浅為之進が郡山の地に医院を始めたことに病院の歴史は始まります.産婦人科は明治36年11月,延100坪の洋風病院を新築した際に,内科,外科,耳鼻咽喉科,眼科,歯科とともに診療を開始しています.昭和27年4月に総合病院の承認(病床数140床)を受け,以後数回にわたる病床増床を経て,平成15年8月に一般病床(305床)を届出し,急性期病院として現在に至っています.

 当院は今年よりDPC準備病院となり,看護体制7対1を取得しました.JR郡山駅より徒歩3分の立地条件に位置し,救急医療や急性期医療を担う一方で,患者さんにやさしい,患者さん中心主義の地域基幹病院でもあります.創立以来「愛と奉仕の具現」を基本理念とし,120年,患者さんとともに歩んできた病院です.

OBSTETRIC NEWS

妊娠中の細菌性腟症

著者: 武久徹

ページ範囲:P.750 - P.751

 細菌性腟症は外来で非常によくみられる疾患である.臨床的な診断基準は以下の4つの項目のなかの3つ以上が該当することである.すなわち,(1)異常な灰色帯下,(2)腟内pHが4.5以上,(3)アミンテスト陽性,そして(4)上皮細胞の20%以上がクルー細胞であること,である.

 非妊婦では,細菌性腟症は生殖器の感染(例 : 骨盤内炎症性疾患,婦人科処置後の感染,HIVと2型単純ヘルペス感染)と関連がある.人工妊娠中絶または子宮摘出術前に治療をすることによって,術後感染性合併症のリスクを有意に減少させられる(Sex Transm Dis 28 : 292, 2001).治療後,3か月以内に多ければ30%が再発する(Sex Transm Infect 80 : 8, 2004).性交相手を治療しても予防効果はないことが報告されている(BJOG 95 : 920, 1988/Genitourin Med 73 : 267, 1997).

Estrogen Series・73

子宮摘出術後女性におけるエストロゲンと乳癌の発生

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.752 - P.753

 更年期後女性にエストロゲン単剤を使用するとき,子宮内膜の増殖症および癌の発生を予防するために黄体ホルモンを併用することはきわめて日常的に行われている.しかし更年期後エストロゲン補充療法に際して,すでに子宮摘出をした女性に対してはエストロゲンのみの単剤を使用すればよい.過去の文献をみるとエストロゲン+プロゲスチンの併用は乳癌の増加を伴うとするものが多い.しかしエストロゲン単剤の場合には乳癌発生との関係は一定していない.ここにご紹介する論文の研究者(WHI Investigators)らはエストロゲンの単剤使用と乳がん発生との関連をみるために子宮摘出を過去に行った女性のみ10,739名を対象に,その乳癌発生との関連をみた.これは全米40か所の病院を巻き込んだ1993~1998年にいたる期間に行われた試験で,50~79歳の更年期後女性を対象とした.患者はランダムに二分され,抱合型エストロゲン(conjugated equine estrogen : CEE)0.625?mgを投与された群(CEE群)と外見上は見分けのつかないプラセボ群とに分けた.追跡期間は7.1年+/-1.6年であった.

 浸潤性乳癌の発生を両群でみると,そのhazard rateは0.80(信頼限界0.62~1.04,p=0.09)であった.年間発生率はCEE群が総数104例で0.28%,プラセボ群では133例で0.34%であった.Ductal carcinomaの発生はプラセボ群に比較してECC群でより低下していた.しかし,腫瘍タイプ別の発生率には有意差がなかった(p=0.54).

臨床経験

高度肥満妊婦の帝王切開の経験

著者: 佐藤賢一郎 ,   田原康夫 ,   越後谷雅代 ,   水内英充

ページ範囲:P.757 - P.761

はじめに

 肥満妊婦においては種々の合併症の頻度が増加し,帝王切開率も高まるとされている.肥満妊婦の帝王切開についての報告は,主に麻酔管理の観点から麻酔科領域でなされており,産婦人科領域では散見されるのみである.しかし,開腹・視野の確保,児の娩出・予後,出血量,術後合併症など,産婦人科医にも密接にかかわってくる問題点が考えられる.

 今回,われわれは,BMI 46.1,体重123.9kgの高度肥満妊婦の帝王切開(下腹部横切開)の1例を経験したので,本例の経験をもとに文献的考察も含めて高度肥満妊婦の帝王切開における臨床的問題点について検討した.

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編集後記

著者: 岡井崇

ページ範囲:P.770 - P.770

〈拉致〉

 北朝鮮による日本人の拉致は非人道的行為の最たるもので,被害者や家族にとって憤懣やるかたない悲惨で痛ましい事件である.今もなお,生存する被害者の存在が疑われ,解決したとは到底いえない.

 一方で北朝鮮は“核”開発を進めており,これを断念させることは日本のみならず国際的視野からみても最重要課題である.安倍内閣は,総理自身が拉致被害者の救済に向けた強い意志を示したことで国民から支持を得た経緯があり,北朝鮮との交渉に際し,拉致問題の解決を最優先する姿勢を崩していない.そのことが,6か国協議において日本が蚊帳の外に置かれた原因であることはいうまでもなく,冷静にわが国の国益を考えると,拉致問題よりも核問題を優先させることのほうが大切なのも明白である.もちろん,政治家達も同様に考えているのだろうが,そう口に出せないのだ.マスコミの論調も同じで,“拉致問題の解決を”と騒ぎ立てる.どちらも国民の感情を無視できない,というより,感情的になっている国民にただ諂っているように私には思える.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 専攻医必携! 術中・術後トラブル対処法―予期せぬ合併症で慌てないために

75巻6号(2021年6月発行)

今月の臨床 大規模災害時の周産期医療―災害に負けない準備と対応

75巻5号(2021年5月発行)

今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

75巻3号(2021年4月発行)

今月の臨床 女性のライフステージごとのホルモン療法―この1冊ですべてを網羅する

75巻2号(2021年3月発行)

今月の臨床 妊娠・分娩時の薬物治療―最新の使い方は? 留意点は?

75巻1号(2021年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 生殖医療の基礎知識アップデート―患者説明に役立つ最新エビデンス・最新データ

74巻12号(2020年12月発行)

今月の臨床 着床環境の改善はどこまで可能か?―エキスパートに聞く最新研究と具体的対処法

74巻11号(2020年11月発行)

今月の臨床 論文作成の戦略―アクセプトを勝ちとるために

74巻10号(2020年10月発行)

今月の臨床 胎盤・臍帯・羊水異常の徹底理解―病態から診断・治療まで

74巻9号(2020年9月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅱ)―母体合併症の影響は? 新生児スクリーニングはどうする?

74巻8号(2020年8月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅰ)―どんなときに小児科の応援を呼ぶ?

74巻7号(2020年7月発行)

今月の臨床 若年女性診療の「こんなとき」どうする?―多彩でデリケートな健康課題への処方箋

74巻6号(2020年6月発行)

今月の臨床 外来でみる子宮内膜症診療―患者特性に応じた管理・投薬のコツ

74巻5号(2020年5月発行)

今月の臨床 エコチル調査から見えてきた周産期の新たなリスク要因

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号 産婦人科処方のすべて2020―症例に応じた実践マニュアル

74巻3号(2020年4月発行)

今月の臨床 徹底解説! 卵巣がんの最新治療―複雑化する治療を整理する

74巻2号(2020年3月発行)

今月の臨床 はじめての情報検索―知りたいことの探し方・最新データの活かし方

74巻1号(2020年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 周産期超音波検査バイブル―エキスパートに学ぶ技術と知識のエッセンス

73巻12号(2019年12月発行)

今月の臨床 産婦人科領域で話題の新技術―時代の潮流に乗り遅れないための羅針盤

73巻11号(2019年11月発行)

今月の臨床 基本手術手技の習得・指導ガイダンス―専攻医修了要件をどのように満たすか?〈特別付録web動画〉

73巻10号(2019年10月発行)

今月の臨床 進化する子宮筋腫診療―診断から最新治療・合併症まで

73巻9号(2019年9月発行)

今月の臨床 産科危機的出血のベストマネジメント―知っておくべき最新の対応策

73巻8号(2019年8月発行)

今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす!―漢方診療の新しい潮流をふまえて

73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

今月の臨床 多胎管理のここがポイント―TTTSとその周辺

73巻5号(2019年5月発行)

今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

増刊号 産婦人科救急・当直対応マニュアル

73巻3号(2019年4月発行)

今月の臨床 いまさら聞けない 体外受精法と胚培養の基礎知識

73巻2号(2019年3月発行)

今月の臨床 NIPT新時代の幕開け―検査の実際と将来展望

73巻1号(2019年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 エキスパートに学ぶ 女性骨盤底疾患のすべて

72巻12号(2018年12月発行)

今月の臨床 女性のアンチエイジング─老化のメカニズムから予防・対処法まで

72巻11号(2018年11月発行)

今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

72巻10号(2018年10月発行)

今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

72巻8号(2018年8月発行)

今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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