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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻5号

2007年05月発行

文献概要

今月の臨床 母体救急 母体救急―対応の実際

1.大量出血への対応 2)DICの治療

著者: 柳原敏宏1

所属機関: 1香川大学医学部周産期学婦人科学

ページ範囲:P.712 - P.715

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DICの定義と病態

 DIC〔disseminated intravascular coagulation : 汎発性(播種性)血管内凝固症候群〕は,さまざまな原因による血管内の汎発的な凝固による微小血栓形成とこれによる循環障害の結果,臓器障害(腎・肝・肺など)が発生する.さらに消費性凝固障害と二次的線溶亢進による出血傾向を発生させる疾患であり,重傷化すると多臓器不全(MOF : multiple organ failure)へと進展する.

 産科DICでは,基礎疾患をもとにして母体血管内に胎盤・脱落膜・羊水・胎児などの組織トロンボプラスチンなどが混入されることによって,急激に凝固系や線溶系が活性化され,フィブリノゲンの消費による低下と出血が出現する.組織トロンボプラスチン流入によるDICは内科・外科疾患によるDICと比較して発症および進行が急激である.

参考文献

1) 中林正雄,安達知子,斉藤理恵,他 : 急性妊娠脂肪肝の早期診断.周産期医学20 : 1663-1665,1990
2) 真木正博,寺尾俊彦,池ノ上 克 : 産科DICスコア.産婦人科治療50 : 119-124, 1985
3) 真木正博,寺尾俊彦,池ノ上 克,他 : 産科的DICに対するアンチトロンビンIII濃縮製剤の治療効果-多施設共同研究.Jpn J Obstet Gynecol Neonatal Hematol 4 : 37-49,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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