icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科61巻8号

2007年08月発行

雑誌目次

今月の臨床 産科超音波診断─正診への道筋 妊娠初期

1.注意すべき稀な異所性妊娠

著者: 花岡有為子 ,   栁原敏宏 ,   秦利之

ページ範囲:P.987 - P.993

はじめに

 超音波診断装置の普及により,妊娠初期における妊娠の診断のために経腟超音波検査は必須のものとなった.近年の高感度の尿妊娠反応検査と超音波検査を併用することで早期に妊娠の診断が可能となり,多量の腹腔内出血を伴った急性腹症として子宮外妊娠が診断されることは少なくなった.経腟超音波断層法を使用すれば妊娠4週後半から子宮内に胎嚢を確認できるようなり,正常妊娠においては一般に妊娠5週前半には全例に子宮内に胎嚢が認められる1).一方,最近多くの施設で頻用されている尿中hCG定性キットの感度は25~50IU/mlと非常に高感度であり,早ければ妊娠3週後半には陽性となる.このように妊娠反応が陽性になる時期と経腟超音波検査で胎嚢が確認できるようになる時期には数日の差があるため,日常の臨床のなかでも妊娠反応が陽性で子宮内に胎嚢を認めない症例をしばしば経験する.妊娠の極早期には0.8mm/日程度で胎嚢の発育がみられる2)ので,2~3日経てば確認できるようになる.したがって,このような場合は数日から1週間後には再度経腟超音波で胎嚢を確認するべきである.妊娠5週以後で妊娠反応が陽性であるにもかかわらず,子宮内に胎嚢を認めない場合は異所性の妊娠を強く疑う必要がある.基礎体温の記録があったりARTで成立した妊娠など妊娠週数が正確である場合を除いては,患者の自己申告である最終月経をもとに妊娠週数を算出することが多い.しかしながら,最終月経が不正確であったり月経と思っていた出血が妊娠初期の出血であったりする場合もあるため,妊娠反応が陽性で子宮内に胎嚢を認めない場合は子宮から付属器にかけてとその近傍を十分に観察する必要がある.尿中hCG値が1,000IU/ml以上であるにもかかわらず子宮内に胎嚢が確認できない場合は80%以上の確率で子宮外妊娠である3)といわれており,子宮内腔以外の観察や骨盤内の腫瘤の有無について注意深く観察する必要がある.

 子宮外妊娠はIVF-ETなどの生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)の普及ならびに,クラミジアや淋菌などの性行為感染症(sexually transmitted diseases:STD)の蔓延に伴い近年増加傾向にある.自然妊娠における子宮外妊娠の95~98%は卵管に発生するのは既知のことであるが,卵管妊娠以外の異所性妊娠には,卵管間質部妊娠,子宮頸管妊娠,帝王切開瘢痕部妊娠,卵巣妊娠,腹腔内妊娠などがある.本稿では異所性妊娠のなかでも比較的稀な頸管妊娠,卵管間質部妊娠,帝王切開瘢痕部妊娠の診断について,主に超音波検査所見を中心に述べる.

2.多胎妊娠の膜性診断を正確に

著者: 村越毅

ページ範囲:P.994 - P.1001

膜性診断と卵性診断の違い

 一昔前までは,産婦人科医の間でも膜性診断(chorionicity)と卵性診断(zygosity)が混同して使用されていた.そのため,当然ながら一般妊婦においてはこの傾向がより強く,卵性診断と膜性診断が混同して使用されていることが多い.妊娠のプロセスは,1つの卵子と1つの精子が受精して受精卵となり,細胞分裂の過程を経て胎芽・胎児となっていく.そのため通常の単胎妊娠は1つの受精卵から1人の胎児となるためすべて一卵性(1つの受精卵)の単胎ということとなる.この通常の妊娠の過程が同時に子宮内で複数起きる場合が多卵性の多胎妊娠となる.2つの受精がほぼ同時に起こり,子宮内で2つの受精卵から2人の胎児が成長していく場合は,二卵性双胎(dizygotic twin, fraternal twin)となる.この場合,お互いの受精卵(および胎児,胎盤)は完全に独立しているため,実質的には兄弟姉妹が同時に子宮内で発育していると考えると理解しやすい.兄弟であるため,よく似ていることも似ていないこともあり,性別や血液型なども同じことも異なることもあり得る.一方,一卵性の多胎妊娠は,受精卵は1つであるが,細胞分裂の過程で(通常は胚盤胞程度まで)複数に分裂し,それぞれから胎芽・胎児へと成長していく.そのため一卵性双胎(monozygotic twin, identical twin)では,原則的に同じ遺伝情報を引き継ぐためよく似ていることは当然であり,性別や血液型なども同一である(図1).

 膜性診断は,絨毛膜および羊膜の数で診断する.通常,1人の胎児(胎芽)には,1つの羊膜と1つの絨毛膜で囲まれていて胎嚢を形成する.二卵性双胎では互いに独立しているため,1人の胎児の周りにはその胎児に属する羊膜と絨毛膜が1つずつあるため,全体では2絨毛膜2羊膜となる.最近報告されているごく一部の例外(二卵性1絨毛膜双胎:後述)を除いて,二卵性双胎はすべて2絨毛膜2羊膜双胎となる.一卵性双胎では,受精卵の分割する時期により3つの膜性診断のパターンに分類される.すなわち,2絨毛膜2羊膜(dichorionic diamniotic:DD)双胎,1絨毛膜2羊膜(monochorionic diamniotic:MD)双胎,1絨毛膜1羊膜(monochorionic monoamniotic:MM)双胎である.一卵性双胎では,原則的に受精後3日以内の桑実胚までの時期であればDD双胎,4~7日の着床前の胞胚の時期ならMD双胎,8~12日の着床後の胚盤であればMM双胎となると考えられている(図2).

3.NTの正しい計測法と患者への説明

著者: 増崎英明

ページ範囲:P.1003 - P.1009

はじめに

 Nuchal translucency(以下,NTと略)とは,妊娠初期の胎児を超音波検査で観察する際,後頸部に存在する低エコー域のことである(図1).

 NTそのものはすべての胎児が有する所見であるが,この低エコー域が通常の胎児に比べて厚くなっているときは,染色体異常や心奇形などの可能性があるとされている.欧米におけるNTの取り扱いは,出生前診断のマーカーの1つであって,母親の年齢や母体血清マーカー試験などと組み合わせて用いられている.その背景には,長年培われてきた出生前診断のシステムが存在しており,専門家による遺伝カウンセリングや心理士によるフォロー体制が充実している.つまりNTが臨床応用される以前から,欧米では混乱なく受け入れられる素地はできあがっていたといえる.

 一方,わが国では,欧米で行われている出生前診断システムの技術的側面は取り入れたものの,肝心の出生前診断の運用システム(カウンセリングやフォロー体制)を軽視したことから,一般の臨床において種々の混乱を生じていることは否めない.母体血清マーカー試験については現場における諸種の混乱から,国は自粛を求めたが,NTについても同じことがいえそうである.

 また,NTについては膨大な論文があるものの,そのほとんどは欧米からの報告であって,ただちにわが国の胎児に適応しうるか否かは必ずしも明らかでない.NTが極端に増大した胎児に染色体異常や心奇形を伴う例の多いことは事実だが,NT増大の程度と胎児異常との関連は年齢などのほかの因子を抜きには語れない.わが国の出生前診断は,カウンセリングやサポート体制が整っているとはいい難く,このような状況を考慮すると,NTと胎児異常との関連を強調し過ぎることはむしろ慎むべきではないかと筆者は考えている.

 本稿では,基礎的にも臨床的にも多くの問題を抱えるNTを取り上げ,主に英国で行われている実際の計測法や精度管理について述べるとともに,わが国でNTを臨床応用するに際して注意すべき問題点についても言及したい.

4.初期に診断できる胎児奇形

著者: 堤誠司

ページ範囲:P.1011 - P.1015

はじめに

 ヒトが胎芽から胎児へと成長する妊娠初期は各臓器や各器官が発生分化する時期であり,この期間に生じる形態の変化とその大きさの変化は著しい.そのため胎芽・胎児の各部位や各臓器の発生時期を理解したうえで超音波診断を行う必要がある.本稿では,妊娠初期に遭遇する代表的な胎児奇形などについて,自験例を呈示し概説する.

妊娠中・後期

1.胎児異常スクリーニングの手順

著者: 左合治彦

ページ範囲:P.1016 - P.1023

はじめに

 先天奇形は新生児の約2~3%みられるといわれており,決して稀ではない.近年の超音波診断技術の進歩により,その約半数が出生前に診断されるようになってきた1).胎児超音波検査はいまや日常産科臨床において必要不可欠な検査であり,その手順についてある程度習熟していることが臨床を行ううえで重要である.しかし一般産婦人科医の多くは,胎児超音波検査をどのような手順で行い,どのように観察し,どの程度までみたらいいかいまだ判然としないのが実情だと思われる.本稿では,妊娠中・後期の超音波検査による胎児異常スクリーニングの手順について,わかりやすく解説した.

2.胎児心臓スクリーニングのコツ

著者: 千葉喜英

ページ範囲:P.1024 - P.1029

心臓をみる前に胃をみよう

 いきなり,胎児心臓の観察をしようとするから,胎児の左と右を誤る原因となる.胎児の心臓の観察を始める前に,腹部の横断像をみる.内臓逆位がなければ,胎児の胃は左側に観察され,拍動する大動脈の横断像が脊柱の左前方にある.そのまま,プローブを平行に頭側に移動すれば,胎児心臓の四腔断面がみえる.

3.胎児頭蓋内構造観察の基本

著者: 夫律子

ページ範囲:P.1030 - P.1033

はじめに

 胎児の中枢神経系診断は難しい.その理由としては,画像診断において最低限必要な脳解剖や中枢神経系の先天異常についての知識が少ないこと,胎児中枢神経系は胎芽期からかなりその形態を変貌させながら発育するためにどの週数でどのような脳あるいは脳室であれば異常であるかがわかりにくいこと,胎児計測の基本とされているBPD(biparietal diameter)の計測をする水平断面のみで胎児脳を把握しようとすることに無理があること,などが挙げられる1).基本構造と胎児期の脳発育を理解したうえで脳を観察すると日常臨床での観察は容易となる.

4.ソフトマーカーの検出とその意味

著者: 小林浩一

ページ範囲:P.1035 - P.1041

はじめに

 NT(nuchal translucency)という言葉が随分定着してきた感がある.最近では,多くの産婦人科医が妊娠初期に超音波検査をする際にNTの有無に注目して行うようになってきた.こうしたなかで,second-trimester検査の1つであるソフトマーカーの検査意義が変化しつつある.本稿では,今日の,ほぼルーチンでNTが計測される時代にどのようにソフトマーカー検査を組み入れていくべきかを中心に述べてみたい.

5.頸管長の正しい計測法

著者: 坂田麻理子 ,   重富洋志 ,   植田祥代 ,   春田祥治 ,   吉田昭三 ,   佐道俊幸 ,   小林浩

ページ範囲:P.1043 - P.1047

はじめに

 切迫流産および早産の管理は,妊娠中期の周産期管理上,最も重要な問題の1つである.切迫流・早産の予測には,妊産婦自身の子宮収縮の有無などの自覚症状,腟分泌物培養や頸管粘液エラスターゼの測定をはじめとする細菌学的・生化学的検査,経腟超音波による画像診断など,さまざまなパラメータが用いられる.なかでも経腟超音波による子宮頸管長の計測は,リアルタイムに判断でき,簡便かつ客観的な再現性の高い情報を得られる点で有用である.

 本稿では子宮頸管長の正しい計測法について概説する.

6.中期における前置・低置胎盤の診断

著者: 市塚清健 ,   長谷川潤一 ,   松岡隆 ,   大槻克文 ,   下平和久 ,   関沢明彦 ,   岡井崇

ページ範囲:P.1048 - P.1051

はじめに

 前置胎盤,低置胎盤の診断は胎盤と組織学的内子宮口の位置関係に基づきなされる.したがって,これらの診断には経腟超音波断層法(経腟超音波検査)が最も有用であり,現在はほとんどの例で無症候の時期に診断をつけることが可能となっている.しかしながら,診断をつける際には,前述のごとく組織学的内子宮口の同定が必要であり,それには検査の時期が重要で,子宮峡部と子宮頸部の妊娠経過に伴う変化への理解が要求される.ここでは正常な子宮峡部,子宮頸部について述べた後,経腟超音波検査による前置胎盤,低置胎盤の診断と診断時の注意事項について述べる.

7.癒着胎盤は診断できるか

著者: 大屋敦子 ,   中井章人

ページ範囲:P.1053 - P.1057

はじめに

 癒着胎盤は大量出血により母体死亡に至る可能性のある産科救急疾患の1つであり,前置胎盤とともに帝王切開率上昇に伴って増加傾向にある.米国の2002年のACOG Committee Opinion 1)によれば,癒着胎盤はこの50年間で10倍に増加しているという.癒着胎盤は,以前は分娩第3期に胎盤剥離困難であることからはじめて気づかれることも多かったが,近年では超音波診断により分娩前に診断される例も増加している.母児の予後改善には,早期診断,十分な血液準備,分娩様式と術式の検討を行うことが不可欠である.

連載 産婦人科MRI 何を考えるか?・2

T1強調像で淡い高信号を呈する付属器腫瘤

著者: 山岡利成

ページ範囲:P.983 - P.985

 婦人科健診にて右付属器に腫瘤を触知したため,精査目的で紹介された60歳の女性である.腫瘤全体はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈しており,非特異的な信号パターンである.内部にはT1強調像で淡い高信号を呈する粒状影が認められる.T1強調像で高信号を呈するものの鑑別は限られており,診断を絞り込む重要な手がかりとなる.

病院めぐり

呉医療センター・中国がんセンター

著者: 水之江知哉

ページ範囲:P.1060 - P.1060

 当院の前身は明治22年創設の呉海軍病院ですが,第2次大戦後のイギリス,オーストラリア軍による接収が解除され,国立病院として発足したのは昭和31年10月です.その後,平成16年に行われた国立病院・療養所の独立行政法人移行に伴い,現在の名称である「独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター」となりました.

 病院は広島市から電車で約30分南へ下った呉市にあり,呉市街および港湾を眺望できる高台に位置しています.病院前は都市街路公園となっており,大きな老松の並木道,赤レンガの敷石の歩道が整備され,美術館,博物館が並ぶ閑静な風致地区となっています.診療科は25診療科で病床数は700床を有し,地域がん連携拠点病院,救命救急センター,災害拠点病院,地域周産期母子医療センター,臨床研修指定病院など地域の中核病院の役割を果たしています.

松江生協病院

著者: 戸田稔子

ページ範囲:P.1061 - P.1061

 当院は,島根県松江市にある松江保健生活協同組合の病院です.1950年の診療所開設に始まり,1986年に現在の場所に移転して333床の総合病院となっています.

 産婦人科は2000年より女性診療科という名称を用いており,従来の産科・婦人科にとどまらず女性のさまざまなライフステージの身体的・心理的問題や予防に取り組むことを目標にしました.不妊治療や腹腔鏡下手術にも力を入れています.思春期女性の摂食障害・不登校や更年期女性のうつ病が急増したこともあり,心身医学の重要性を実感し,2人の医師が1999年に臨床心理士の資格を取りました.現在は約30分の予約枠でゆっくりとカウンセリングをする女性外来もあります.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・24

産褥期に多量の腹腔内出血を起こした症例

著者: 村上充剛 ,   田中陽子 ,   早田英二郎 ,   吉川智之 ,   水本賀文

ページ範囲:P.1065 - P.1067

症例

 患者:34歳,3経産・2経産

 既往歴:特記すべきことなし.

 現病歴:今回の妊娠経過には特に異常を認めず,妊娠38週5日に自然陣発し正常分娩した(分娩時間3時間20分,出血量216g).産後経過も異常なく産褥5日目に退院となった(退院時Hb 9.6g/dl).産褥6日目の昼過ぎに突然上腹部痛が出現,一時的に意識消失して転倒し救急車で搬送された.

 入院時現症:意識はほぼ清明,顔面は蒼白,血圧76/40mmHg,脈拍92/分であった.下腹部を中心に著明な圧痛を認めた.子宮収縮は良好で,付属器は触知せず,悪露の性状には異常を認めなかった.

 超音波所見:子宮・卵巣には明らかな異常を認めなかったが,ダグラス窩・膀胱子宮窩にecho free spaceを認めた.

 検査所見:WBC 7,600/μl,Hb 9.1g/dl,Ht 28.6%,Plt 24.2万/μl,CRP 2.0mg/dlであった.

臨床経験

経頸管的な処置に経直腸超音波ガイド下の操作が有効であった3例

著者: 佐藤賢一郎 ,   水内英充 ,   塚本健一 ,   藤田美悧

ページ範囲:P.1069 - P.1074

 今回,子宮頸管狭窄例に対して経直腸超音波ガイド下の操作が有効であった3例を経験した.症例1は83歳(閉経50歳),未経妊で中隔子宮に合併した子宮体癌例である.経腹超音波ガイド下の操作を試みたが子宮の描出が困難であったため,経直腸超音波を行った.経直腸超音波ガイド下では子宮頸部から両側の子宮腔が明瞭に描出され,消息子の挿入方向も正確に把握できて左右それぞれの子宮腔から確実に個別に検査が可能できわめて有用であった.症例2は67歳(閉経43歳),未経産で子宮内膜ポリープ例である.子宮腔内の検索に経直腸超音波ガイド下の操作がきわめて有用であった.症例3は72歳(閉経52歳),未経産で子宮頸癌IIIb期例である.同時化学放射線治療を施行していたが,腔内照射のために子宮頸管拡張術を施行する際に経直腸超音波ガイド下の操作がきわめて有用であった.婦人科領域における経直腸超音波ガイド下の操作は有用性が高いと思われた.

子宮頸癌との重複癌症例の臨床的検討

著者: 朝野晃 ,   太田聡 ,   早坂篤 ,   和田裕一

ページ範囲:P.1075 - P.1079

 当科で治療した子宮頸癌551例中,重複癌症例は19例(3.4%)であった.同時性重複癌が7例で,癌種は乳癌,卵巣癌が2例であり,胃癌,卵管癌,膀胱癌が1例であった.子宮頸癌以前に他臓器癌を発生していた異時性重複癌は5例で,乳癌が3例と最も多く,胃癌,直腸癌,甲状腺癌(乳癌と子宮頸癌との三重複癌)が1例であった.子宮頸癌以後に他臓器癌を発生していた異時性重複癌は7例であり,胃癌が2例で,乳癌,頬癌,子宮体癌,膀胱癌,大腸癌が1例であった.また,放射線治療後の2次癌と思われる膀胱癌を1例認めた.

--------------------

編集後記

著者: 岡井崇

ページ範囲:P.1088 - P.1088

〈専門医制度〉

 先日,日本専門医認定制機構の社員総会に出席してきました.同機構は昭和56年に設立された学会認定医制協議会(その後名称を専門医認定制協議会に変更)を前身として平成15年に改組されたもので,現在101の学会が所属し,わが国の専門医制の確立に向けての活動を行っています.

 それまで強硬に反対してきた日本医師会の力が弱まったからか,平成14年,厚労省は第四次医療法改定による広告規制の緩和に基づき,「○○専門医」の表示を許可する方針を打ち出しました.これで専門医の制度化が進むと誰もが思ったのですが,現実はそこから一歩も前進していません.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻12号(2022年12月発行)

今月の臨床 帝王切開分娩のすべて―この1冊でわかるNew Normal Standard

76巻11号(2022年11月発行)

今月の臨床 生殖医療の安全性―どんなリスクと留意点があるのか?

76巻10号(2022年10月発行)

今月の臨床 女性医学から読み解くメタボリック症候群―専門医のための必須知識

76巻9号(2022年9月発行)

今月の臨床 胎児発育のすべて―FGRから巨大児まで

76巻8号(2022年8月発行)

今月の臨床 HPVワクチン勧奨再開―いま知りたいことのすべて

76巻7号(2022年7月発行)

今月の臨床 子宮内膜症の最新知識―この1冊で重要ポイントを網羅する

76巻6号(2022年6月発行)

今月の臨床 生殖医療・周産期にかかわる法と倫理―親子関係・医療制度・虐待をめぐって

76巻5号(2022年5月発行)

今月の臨床 妊娠時の栄養とマイナートラブル豆知識―妊娠生活を快適に過ごすアドバイス

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号 最新の不妊診療がわかる!―生殖補助医療を中心とした新たな治療体系

76巻3号(2022年4月発行)

今月の臨床 がん遺伝子検査に基づく婦人科がん治療―最前線のレジメン選択法を理解する

76巻2号(2022年3月発行)

今月の臨床 妊娠初期の経過異常とその対処―流産・異所性妊娠・絨毛性疾患の診断と治療

76巻1号(2022年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科医が知っておきたい臨床遺伝学のすべて

75巻12号(2021年12月発行)

今月の臨床 プレコンセプションケアにどう取り組むか―いつ,誰に,何をする?

75巻11号(2021年11月発行)

今月の臨床 月経異常に対するホルモン療法を極める!―最新エビデンスと処方の実際

75巻10号(2021年10月発行)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅱ)―分娩時・産褥期の処置・手術

75巻9号(2021年9月発行)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅰ)―妊娠中の処置・手術

75巻8号(2021年8月発行)

今月の臨床 エキスパートに聞く 耐性菌と院内感染―産婦人科医に必要な基礎知識

75巻7号(2021年7月発行)

今月の臨床 専攻医必携! 術中・術後トラブル対処法―予期せぬ合併症で慌てないために

75巻6号(2021年6月発行)

今月の臨床 大規模災害時の周産期医療―災害に負けない準備と対応

75巻5号(2021年5月発行)

今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

75巻3号(2021年4月発行)

今月の臨床 女性のライフステージごとのホルモン療法―この1冊ですべてを網羅する

75巻2号(2021年3月発行)

今月の臨床 妊娠・分娩時の薬物治療―最新の使い方は? 留意点は?

75巻1号(2021年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 生殖医療の基礎知識アップデート―患者説明に役立つ最新エビデンス・最新データ

74巻12号(2020年12月発行)

今月の臨床 着床環境の改善はどこまで可能か?―エキスパートに聞く最新研究と具体的対処法

74巻11号(2020年11月発行)

今月の臨床 論文作成の戦略―アクセプトを勝ちとるために

74巻10号(2020年10月発行)

今月の臨床 胎盤・臍帯・羊水異常の徹底理解―病態から診断・治療まで

74巻9号(2020年9月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅱ)―母体合併症の影響は? 新生児スクリーニングはどうする?

74巻8号(2020年8月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅰ)―どんなときに小児科の応援を呼ぶ?

74巻7号(2020年7月発行)

今月の臨床 若年女性診療の「こんなとき」どうする?―多彩でデリケートな健康課題への処方箋

74巻6号(2020年6月発行)

今月の臨床 外来でみる子宮内膜症診療―患者特性に応じた管理・投薬のコツ

74巻5号(2020年5月発行)

今月の臨床 エコチル調査から見えてきた周産期の新たなリスク要因

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号 産婦人科処方のすべて2020―症例に応じた実践マニュアル

74巻3号(2020年4月発行)

今月の臨床 徹底解説! 卵巣がんの最新治療―複雑化する治療を整理する

74巻2号(2020年3月発行)

今月の臨床 はじめての情報検索―知りたいことの探し方・最新データの活かし方

74巻1号(2020年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 周産期超音波検査バイブル―エキスパートに学ぶ技術と知識のエッセンス

73巻12号(2019年12月発行)

今月の臨床 産婦人科領域で話題の新技術―時代の潮流に乗り遅れないための羅針盤

73巻11号(2019年11月発行)

今月の臨床 基本手術手技の習得・指導ガイダンス―専攻医修了要件をどのように満たすか?〈特別付録web動画〉

73巻10号(2019年10月発行)

今月の臨床 進化する子宮筋腫診療―診断から最新治療・合併症まで

73巻9号(2019年9月発行)

今月の臨床 産科危機的出血のベストマネジメント―知っておくべき最新の対応策

73巻8号(2019年8月発行)

今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす!―漢方診療の新しい潮流をふまえて

73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

今月の臨床 多胎管理のここがポイント―TTTSとその周辺

73巻5号(2019年5月発行)

今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

増刊号 産婦人科救急・当直対応マニュアル

73巻3号(2019年4月発行)

今月の臨床 いまさら聞けない 体外受精法と胚培養の基礎知識

73巻2号(2019年3月発行)

今月の臨床 NIPT新時代の幕開け―検査の実際と将来展望

73巻1号(2019年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 エキスパートに学ぶ 女性骨盤底疾患のすべて

72巻12号(2018年12月発行)

今月の臨床 女性のアンチエイジング─老化のメカニズムから予防・対処法まで

72巻11号(2018年11月発行)

今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

72巻10号(2018年10月発行)

今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

72巻8号(2018年8月発行)

今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

icon up
あなたは医療従事者ですか?