文献詳細
今月の臨床 臨床遺伝学─診療に必要な最新情報
遺伝カウンセリングの実際
文献概要
はじめに
産科診療において胎児異常がみつかった場合に,その診断と治療・管理自体が重要であることはいうまでもないが,適切な診断と治療・管理を行い,妊娠経過の全体を見通した診療を行うためには遺伝カウンセリングは不可欠である.また,明らかな胎児異常はみつかっていないが,超音波検査や母体血清マーカー検査などで胎児異常の存在する可能性が高いことが示唆される場合,遺伝カウンセリングが対応の中心となることが多い.妊娠週数によってはこの対応いかんで,夫婦の十分な理解がないままに人工妊娠中絶になったりすることもあり得るので,より慎重な対応が望まれる.そしていずれの場合でも,遺伝カウンセリングにおいてはその妊娠のみならず,将来の妊娠や家系全体への影響などに内容が及ぶこともあり,こうした場合には複雑な多面的な内容を1つ1つクライアント(対象となる妊婦と夫,家族など)とともに解決していくステップが要求される.
もちろん産科診療における遺伝カウンセリングはそのほかの領域の遺伝カウンセリングと本質的に異なるものではないが,その重要性からいくつか留意すべき特有の点がある.
産科診療において胎児異常がみつかった場合に,その診断と治療・管理自体が重要であることはいうまでもないが,適切な診断と治療・管理を行い,妊娠経過の全体を見通した診療を行うためには遺伝カウンセリングは不可欠である.また,明らかな胎児異常はみつかっていないが,超音波検査や母体血清マーカー検査などで胎児異常の存在する可能性が高いことが示唆される場合,遺伝カウンセリングが対応の中心となることが多い.妊娠週数によってはこの対応いかんで,夫婦の十分な理解がないままに人工妊娠中絶になったりすることもあり得るので,より慎重な対応が望まれる.そしていずれの場合でも,遺伝カウンセリングにおいてはその妊娠のみならず,将来の妊娠や家系全体への影響などに内容が及ぶこともあり,こうした場合には複雑な多面的な内容を1つ1つクライアント(対象となる妊婦と夫,家族など)とともに解決していくステップが要求される.
もちろん産科診療における遺伝カウンセリングはそのほかの領域の遺伝カウンセリングと本質的に異なるものではないが,その重要性からいくつか留意すべき特有の点がある.
参考文献
1) Silverstein S, Lerer I, Sagi M, et al:Uniparental disomy in fetuses diagnosed with balanced Robertsonian translocations:risk estimate. Prenat Diagn 22:649-651, 2002
2) Warburton D:De novo balanced chromosome rearrangements and extra marker chromosomes identified at prenatal diagnosis:clinical significance and distribution of breakpoints. Am J Hum Genet 49:995-1013, 1991
3) 佐藤孝道,宮川智幸,塩田恭子:染色体異常の出生前診断と母体血清マーカー試験.新興医学出版社,東京,1996
4) 「母体血清マーカー検査に関する見解」厚生科学審議会先端医療技術評価部会・出生前診断に関する専門委員会.1999年(平成11年)6月23日 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1107/h0721-1_18.html
5) 坂井正人:頭頸部,顔面の異常-NT測定の意義.周産期医学36:151-155,2006
6) 平原史樹:胎児異常と遺伝カウンセリングの実際.産科と婦人科73:434-439,2006
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