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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻1号

2008年01月発行

今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅

内視鏡下手術

1.腹腔鏡下子宮全摘術

著者: 塩田充1 星合昊1

所属機関: 1近畿大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.11 - P.15

文献概要

はじめに

 わが国では内視鏡手術の保険適用の対象は良性疾患に限られているため,そのほとんどが良性疾患を対象に行われている.しかしながら,わが国で現在どの程度の症例が腹腔鏡下に手術されているかを正確に知るのは困難である.

 日本産婦人科手術学会において,本邦ではじめての内視鏡手術の頻度調査が行われ,その結果が報告されている1).日本産婦人科手術学会員の所属する559施設ないし診療科を対象にアンケート調査が行われた.ただし単年度調査であり,継続的な調査は行われていない.調査対象は2004年度症例であり,回答は295施設ないし診療科より得られた.回答率は52.8%であった.悪性も含めた総手術数は54,707件であり,その内訳は開腹手術29,318件,53.6%,内視鏡手術15,933件,29.1%,腟式手術9,452件,17.3%,その他4件であった.内視鏡手術の内訳は腹腔鏡下が13,107件と82.3%を占めており,次いで子宮鏡下2,759件,卵管鏡下183件であった.腹腔鏡手術のなかで単純子宮全摘術は腹腔鏡下腟式子宮全摘術(laparoscopically assisted vaginal hysterectomy:LAVH)が1,253件,9.6%,全腹腔鏡下子宮全摘術(total laparoscopic hysterectomy:TLH)が263件,2.0%であった.一方,良性疾患に対する開腹手術のうち単純子宮全摘術は8,635件,腟式手術のうち単純子宮全摘術は3,364件であったので,単純子宮全摘術総計13,515件のうち1,516件(11.2%)が腹腔鏡を用いて行われ,そのうちLAVHが82.7%を,TLHが17.3%を占めることが判明した(図1).

 このように子宮筋腫などの良性疾患に対して単純子宮全摘術を選択する際,従来からの腹式,腟式に腹腔鏡下が加わり,その選択の幅は広がっている.そこで,まず腹腔鏡による子宮全摘術のなかでの中心的手術であるLAVHについて,その適応と限界,合併症について述べ,次いでTLHについて述べる.

参考文献

1) 塩田 充,星合 昊,平松祐司:開腹手術,腹腔鏡下手術の割合に関する調査.産婦人科手術16:114-118,2005
2) Johns DA, Diamond MP:Laparoscopically assisted vaginal hysterectomy. J Reprod Med 39:424-428, 1994
3) 塩田 充:子宮筋腫・子宮腺筋症に対する腹腔鏡下腟式子宮全摘術の安全な術式・適応に関する研究.日産婦誌58:1792-1797,2006
4) 塩田 充,梅本雅彦,星合 昊:子宮筋腫患者に対する子宮全摘出術前酢酸リュープロレリン療法の検討.日産婦誌54:1645-1649,2002
5) Johnson N, Barlow D, Lethaby A, et al:Surgical approach to hysterectomy for gynaecological disease(Review).The Cochrane Library, Issue3, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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