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今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅 内視鏡下手術
2.子宮筋腫摘出に対するより実践的な腹腔鏡下手術―“Bottom-up technique”の導入によるTLMとLAMとでの適応拡大
著者: 棚瀬康仁1 奥久人1 佐伯愛1 久野敦1 松本貴1 伊熊健一郎1
所属機関: 1健保連大阪中央病院婦人科
ページ範囲:P.16 - P.23
文献購入ページに移動子宮筋腫に対する治療は,症状の有無,妊孕能温存の必要性,患者の年齢などを考慮して決定される.なかでも妊孕能を温存する場合には,外科的治療である子宮筋腫摘出術がゴールデンスタンダードになるであろう.本邦においても近年の医療技術の進歩から生まれた低侵襲手術とされる腹腔鏡下手術は徐々に普及してきており,患者側もそれによる手術治療を強く希望する傾向が高まっている.特に従来法である開腹による子宮筋腫摘出術では,大きな手術創は避けられず,術中の出血量,術後の感染症,術後の骨盤内癒着などもある程度高率に発生する1).それに対し腹腔鏡による子宮筋腫摘出術では,手術技術の習得には修練を要するが,上述した問題点を解消し得る有用性のある手術法といわれている2).しかしながら,このlaparoscopic myomectomy(LM)の手術適応に関しては,患者の背景,筋腫の性状(大きさ,発育部位,個数,癒着の程度など),術者の技量,器具類の整備などの要因を総合的に判断する必要があり,各施設間で大きく異なっている.そのなか,子宮筋腫に対する当院でのLMは,total laparoscopic myomectomy(TLM)もしくはlaparoscopically assisted myomectomy(LAM)による手術方法の選択肢をもうけたことにより,さまざまな手術条件にも対応でき,より積極的な腹腔鏡下の展開が実現した.
本稿では,われわれが行っているTLMおよびLAMについて紹介するとともに,子宮修復の簡便化により術中出血の減少,手術時間の短縮を実現させた“Bottom-up technique”の手法についても紹介する.
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